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ATLIA STAFF BLOG
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タムラサトルさんの授業もいよいよ大詰め。作品づくりの授業は今日で最後となります。細かいパーツをとりつけたり色を塗ったりと、仕上げの段階に入ります。
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最初は歯と手足などのパーツ、そして作品を回転させるための軸を本体となる成形したスタイロにとりつけます。タムラさんはこの3つの「とりつけ」を一気に説明しました。
歯は、短く切った針金がたくさん用意してあって、それを本体に刺し込むだけ。前回つくった手足などのパーツも芯にした針金を刺しますが、歯よりもずっと大きくて重いので、動いたり落ちたりしないように接着剤で補強します。回転軸は、お腹にカッターで切れ目を入れて、そこにT字形に折り曲げた針金をラジオペンチでグッと押し込みます。その上から紙粘土を詰めて抜け止めに。
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歯は刺すだけでいいと言われたけれど、実際にやってみると、口があまり開いていなかったり、小さすぎたりして、なかなかてこずります。むしろ手足の方が簡単かも。
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タムラさんは机の間を歩き回ってアドバイスしたり、上手く行かない児童のフォローをしたり。中でも回転軸のとりつけは、ワニが立ち上がっていたり丸まっていたりすると、最初に説明した方法や材料では上手くできません。タムラさんはその場で針金を曲げてそれぞれの形に適した軸をつくります。
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とりつけの工程が終わったら、いよいよ色塗りです。使える色は、敢えて1人1色。最初の授業で10色の中から選んでおいた色を塗ります。教室にはペットボトルに小分けした絵具が用意されています。
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色塗りの途中では目もとりつけます。マップピン(頭が玉になった画鋲)やまち針を刺して目玉にしますが、先につけてしまうと絵具がついてしまうし、全部塗った後だと乾くまで本体をしっかり持つことができないので刺しにくい...なので頭の部分だけ先に色を塗ってから目をつけます。目は大きさも色も何種類かあるので、ちょっと迷います。大きなぎょろ目かつぶらな瞳か、体の色と同系色にするか、対比的な色使いで目立たせるか...。
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目をつけたらお腹(下)から上の方へと、どんどん塗っていきます。スタイロはしみ込みが多いので、筆にたっぷり絵具をつけて、すみずみまで行きわたらせます。中には手だけでなく顔にまで絵具がついてしまう子も。そんなことは気にせず夢中になって塗り進めます。
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絵具を塗り終えたらほぼ完成! 別の部屋に持って行って乾燥させます。(数日乾燥させたら補強のためにニスを塗ります。)
最後に5回目の授業について少しだけインフォメーション。いよいよ自分の作品が展示されている展覧会を観に行って、最後のまとめをします。みんな楽しみにしていてね。

Photo: Kozo Kaneda

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by atlia | 2019-10-31 17:08 | 学校×アトリア
毎回、授業の最初にはあいさつとスタッフ紹介を行います。講師のタムラさん、アトリアから2人の他、クラスによってはビデオや写真のカメラマン、さらにメディアの取材が加わることもあります。
その後は前回の振り返りです。授業も既に3回目、佳境に入る頃でもありますが、慣れて気が緩みやすい時期でもあります。特にケガをしやすいカッターの注意は大きくプリントして貼り出されています。
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前回はスタイロフォームのブロックから、大まかな形を削り出しました。今日は更に削って形を整え、自分の考えるワニの形に近づけていきます。そのために、これまでの道具に加えて新しく紙やすりを使います。
まずはタムラさんが使い方の実演。表面をこすって滑らかにする他に、折りたたんだ角でこすると細い切れ込みができて、デコボコや模様をつくることもできます。
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紙やすりの使い方が分かったら、さっそく自分の作品に取り掛かります。今習った紙やすりをまずは使ってみる人、カッターでの削り出しの続きからはじめる人、ヒートカッターで大きくスタイロを切り落としていく人...。そうそう、紙やすりをかけるとスタイロの細かい粉が散るのでマスク着用を忘れずに。
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使い方に慣れてきたのか、児童たちは自分つくりたい形が実現しやすい道具を選べるようになってきました。タムラさんも机の間を動き回り、時には実演を交えながらアドバイスしていきます。
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ある程度形ができ上がったところでタムラさんから手足のつくり方の説明がありました。手足のように本体から飛び出している部分は、ねじった針金を芯にして紙粘土でつくります。腕や脚の曲がり具合や本体との大きさの比率を見ながら、針金を埋めるように紙粘土を付けていきます。指などの細かい部分は、ハサミで粘土に切れ込みを入れる方法も。
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みんな「自分らしいワニ」を目指しているので、中には翼やヒレ、角をつけたい子もいます。タムラさんは一人一人の希望をきいて、スタイロからつくって接着する方法や、紙粘土で成形する方法など材料を示しながらアドバイス。目指す形がはっきりしている児童たちはすぐにつくり始めます。スタイロのパーツはできたら本体に接着、竹串で固定します。
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紙粘土でつくったパーツは1週間乾燥させ、次の授業で本体に取付けます。
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Photo: Kozo Kaneda
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by atlia | 2019-10-26 09:27 | 学校×アトリア
前回は巨大な作品のワニのいる図工室で、発想力を鍛える2時間の授業に取り組んだ児童たち。
今回は教室に入っても巨大ワニはいません。次は展覧会でお目にかかれます。
今日は1回目の授業で描いたアイディアスケッチと、そこから制作した平面図・立面図をもとに、いよいよ立体の「自分のワニ」をつくります。

最初はタムラサトルさんが、四角いスタイロフォーム(スタイロ)から自分の望む形を切り出していく方法を実演します。
まず上から見たワニの輪郭(平面図)をスタイロのブロックに大きく描き写します。このとき、作品をなるべく大きく取るために、手足などの突起は描かないようにします(別につくって後から接着します)。その線に沿って、前回の授業でもちょっと登場した「ヒートカッター」を使って切ります。
ヒートカッターには据え置き式と手持ち式の2種類があります。四角いブロックから切り出すのはどちらかというと据え置き式がやりやすいかも。どちらも熱くなるので注意が必要です。
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平面図を切り終えたら、今度は立面図を側面に描き写して、またヒートカッターで切り出します。
今度は手持ち式のヒートカッターで立面図を切り落とすと...ちょっとだけワニっぽい形になってきた!
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タムラさんの実演をじっと見ていた子どもたち、次はいよいよ自分たちの番です。
さっそく平面図をスタイロに写して...と、ちょっと待って。前回の授業で描いた平面図は小さすぎたり、向きが間違っていたり。手直しが必要なことも多く、意外と時間がかかります。
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平面図を描き込んだらいよいよヒートカッターを使います。初めて使うヒートカッターはゆっくり切れるけれど力加減が難しく、なかなか思い通りに切れません。
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中には斜めに切れたり残すはずの部分を切り落としたりして大失敗、という時もありますが、そんな時は接着剤と竹串を使ってスタイロをしっかりつけ直し、もう一度チャレンジできます。
また、児童の中には、自分らしいワニを追求した結果、丸まっていたり翼があったり、長方形のブロックから切り出すには不向きな形の人もちらほら。そんなときはブロックを二つに切って接着したり、翼(!)を別につくって取り付けたり、いろんな形のワニが実現できるようタムラさんはどんどんアドバイスをしていきます。
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平面図を切り終え、立面図を写して切るころには、ヒートカッターの使い方もだいぶ慣れてきました。
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立面図をうまく切り落としたら、次はカッターを使ってスタイロを削り、思う形にだんだん近づけていきます。いつものカッターの使い方とは少し違って、刃をやや長めに出して斜め削ぐように削ります。これもタムラさんが実演しましたが、コツをつかむと気持ちよく削ることができます。でもケガをしやすいので注意事項を確認しながら作業を進めます。
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自由に形をつくれる粘土などと違い、「引き算」でつくっていく方法に戸惑っていた児童たちも、削り出しの技法にに少しずつ慣れていきました。だいぶん「自分のワニ」らしい形が見えてきたところで、今回の制作は終了。集中して制作したから、いつの間にか机の上も床の上もスタイロの削りくずだらけ、お掃除と後片付けをして授業を終わりました。


Photo: Kozo Kaneda

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by atlia | 2019-10-18 12:00 | 学校×アトリア
9月21日(土)、小学1年~4年生を対象に、空間を意識して立体造形をするワークショップを開催しました。講師は彫刻家の奥村拓郎さん。立体とは?難しいテーマですが、参加者17名で取り組みました。

最初に、それぞれのテーブルに、2種類の長さの木の棒が12本並んでいます。それをボンドで接着し組み立てることから制作開始。奥村さんの説明を聞きながら、棒を順番にくっつけます。丁寧にやらないとくずれてしまう作業にとまどっていたのは序盤だけで、徐々に組み立て方が予想できてしまう人も。立方体が順調に完成しました。
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次に、自分でつくったものに色を塗ります。用意された色は、赤・青・黄・緑・白・黒の6色。ここで、奥村さんから提案です。
「今日使う色は1色のみです」
会場からは不満の声も聞こえます。そこで再び説明が。今回の色は1色しか使えませんが、部分的に木の色をそのまま残しておいてもいいこと。1色しか使えない理由は、この後の工程が重要で、立方体にさまざまな色のひもを結んで作品を完成させること。あくまで、今つくっているのは立体造形の外枠みたい。
奥村さんが見本を取り出すと、参加者たちもイメージがわいた様子。好きな色を選び、思い思いに塗っていきます。

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カラフルな外枠ができたところで前半が終了。後半は、メインのひもを使った制作です。
まずは実演。奥村さんは、立方体を転がしながら、木の棒の角にひもを結んでいきます。
「木の枠の内側に、絵を描くようにひもを結びます」
参加者たちは、多方向から結ばれていくひもを食い入るように見つめます。
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そしていよいよ、各自で挑戦!細いひもを結ぶ手順は難しく、みんな真剣そのもの。最初は1方向から作業していた人も、奥村さんの転がしながらすべての方面に目を配るというアドバイスで、ひもを電車の路線に見立てる・角度によって見える形をつくる等の発見もあり、どんどん手が動きます。 
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最後は、じっくりと講評会。まずは、すべてを並べてながめます。枠づくりでは全員同じだった立方体が、色を塗りひもを結ぶことで、表情豊かな作品となり、ひとつとして同じものはありません。
続いて、ひとりずつ発表です。注目されることに恥ずかしがりながらも満足そうな参加者。奥村さんからの感想を嬉しそうに耳をかたむけます。
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多方面から見て作業するという平面ではできない制作を通し、立体造形の基本的な考え方を体感する今回のワークショップ。新しい見方に発想が刺激されたのか、個性的な作品がうまれました。
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by atlia | 2019-10-14 10:07 | ワークショップ
アーティストやデザイナーを市立の小中学校に派遣して特別な授業を行うアーティスト・イン・スクールは9月下旬から授業がスタートしました。
今年で14回目を数える毎年恒例のプログラム、今回は前川東小学校6年生3クラス、89人の児童たちと、“意味を超越したマシーン”で注目される現代美術家、タムラサトルさんが、制作に1クラス4回8時間、鑑賞1回2時間をかけた授業に取り組みます。

今日から本物のアーティストに会えるよ、とだけ言われ図工室にやってきた児童たち。室内に入るといきなり目に飛び込んできたのは、巨大な緑色をしたワニのオブジェ。全長4.5メートルもあるワニが、教室の天井近くをぐるぐると回転しています。
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何? …これはいったい…
驚き、戸惑いながら教室に入ってきます。このワニが今日の授業やアーティストに関係することは分かるけど、まさかこれを作るんじゃないよね? じゃあ何のために? そもそもこのワニは何でできている? ひそひそ話が拡がっていきます。
前日に講師とアシスタントが苦労して運び込み設置した作品《スピンクロコダイル》は、見事に子どもたちの好奇心と思考力のスイッチを入れてくれました。

興奮(?)が少し収まったところで、席に着き、授業が始まります。(頭をぶつけないようにワニの回転は止められました。)
まずは講師のタムラさんの自己紹介から。

タムラさんは目の前にあるワニの作品から、自分の仕事を説明していきます。
最初のワニは大学の課題で作ったこと。朝起きた時「ワニを回そう」と思い浮かんだこと、ワニの次にはクマの作品を作ったこと、作品の意味よりもユーモアを大切にしていること…。
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タムラさんは面白おかしく話したわけではありませんでしたが、モニターに映し出される作品のユーモラスな様子に、時折子どもたちから歓声が上がります。

ひとしきりタムラさんの自己紹介で笑った後は、いよいよこの授業ですることの発表です。
それは、やっぱり、回転するワニを作ること! そう、この特別な授業と成果発表展のタイトルは〈われわれはワニを回す〉。
みんなで大きなワニを作るのではなく、1人1つのワニを作ります。
なーんだ、とちょっと思ったところで、タムラさんからさらに課題が…。
それは、作る材料と大きさは決まっているけど、その中で自分なりの、自分だけのワニを作ること。今見ているワニからなるべく離れた作品にしてほしい…制約の中でいかに自由な発想ができるか、6年生らしいちょっと高めのハードルです。

急にオリジナルのワニと言われてもできるものではないので、まずは自分の持つワニのイメージや知識をワークシートに言葉で書き出していきます。その中にはきっと自分なりのワニのとらえ方が出てくるはず。時おり思いついたイメージを発表したりしながら、発想をふくらませていきました。
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言葉がたくさん出てイメージが豊かになったところで、いよいよ作りたいワニのアイディアをスケッチします。
みんな「自分なりのワニ」に苦労するかな、と思いきや、意外とすいすいとスケッチしていきます。
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タムラさんも教室を動き回って、スケッチがより具体的に、オリジナルになるように「これはどんなワニ?」とか「〇〇だけがワニじゃないよ」などと声をかけていきます。
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スケッチが出来上がってきたら、次はいよいよ3次元化、と言いたいところですがそうはいきません。今回使うスタイロォーム(スタイロ)という素材は粘土のように自由に形が作れるわけではないので、カッターなどを使って形を削り出していきます。そのために必要なのが「平面図」(真上から見た図)と「立面図」(真横から見た図)。
タムラさんは実際に平面図と立面図が描き込まれたスタイロのブロックを、ヒートカッターという専用の道具で切り進んでみせて、なぜこの二つの図が必要なのかを説明していきます。
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子どもたちも図面に取り組みますが、自由に描けたアイディアスケッチと違って、意外とむずかしい? 斜め上から見た図になっていたり、横と上が混じったり、なかなかうまく描けません。
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頭と手を使って何とか平面図・立面図を仕上げたところで、1回目の授業は終わりとなりました。

Photo: Kozo Kaneda

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by atlia | 2019-10-13 10:50 | 学校×アトリア