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8月24日(日)、開催中の企画展〈アーティスト・ラボ「つくられる」の実験〉関連ワークショップ[つくって投げて!体で楽しむ粘土のかたち]を開催しました。
小学3年生~6年生の11名が参加しました。

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講師は出品者の谷本真理さん。もともとは粘土でつくった壺や猫などを作品として発表していました。しかし、一度かたちにした粘土を何かの力で変形させたら面白いのではないかと考え、床に投げつけてみると、新たなかたちが生まれたそうです。
今回のワークショップでは、質感や色の異なる3種類の陶芸用粘土を使います。谷本さんのように粘土を様々な方法で触り、自分が気持ちいいと思う動きやさわり心地、面白いと思う粘土のかたちを見つけてみましょう!

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まずはウォーミングアップで、粘土の感触を確かめます。手で丸める、平たくする、細長く伸ばす、くるくると巻いて一つにまとめる…。谷本さんの掛け声にあわせ、3つの大きな粘土の塊をどんどん変形させていきます。色違いの粘土を混ぜてマーブル模様をつくり、「冷たい」「気持ちいい」と感触を楽しむ参加者。
粘土の扱いに慣れたところで、いよいよ作業開始。色々なさわり心地を味わうために、いくつかの「さわり方」を谷本さんが順番に教えてくれました。


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1.粘土を高く積み上げる。
柔らかい粘土を、とにかく誰よりも高くなるよう工夫して積み上げます。コロンとした丸い粘土を積み上げるとマカロンタワー、平たい粘土だとホットケーキのように見えます。

2.積み上げた粘土を崩す
せっかく積み上げた粘土ですが、これを壊します。名残惜しいけれど思いきって、えいっ!足で踏み潰したり、なぎ倒す姿は怪獣さながら。

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3.床に粘土を敷き詰める。
陣地取りゲームのように、どんどん粘土を床に敷き詰めます。表面をただ平らにするのではなく、足の指やかかとでデコボコを作る参加者もいました。ジャンプやキックなど、ダンスのようなダイナミックな動きを見せる参加者も。

4.敷き詰めた粘土を剥がす。
敷き詰めた粘土をめくるように剥がします。中には重すぎて2人掛りでも剥がせない粘土もありました。

5.粘土を細かくちぎる。
薄くめくった粘土を、紙のようににビリビリちぎります。ちぎった粘土を見てみると、大きさやかたちもさまざま。落ち葉のように細かくちぎれた粘土もありました。

6.粘土をまとる。目をつむって、気持ちいいと思うかたちをつくる。
感触に集中するために、目を閉じて粘土を触ります。どんなかたちになるかな?目を開けて粘土を見てみると、指の跡がくっきりと付いていたり、予想もしていないかたちになった粘土もありました。

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7.粘土を床に叩きつける。
小さい粘土をメンコのように叩きつけたり、大きな粘土を「おりゃ!」と声を上げながら勢いをつけて落としたり。大きさによって叩きつけた時の音も違いました。 同じ粘土を何度も叩きつけていくと、どんどん平たくなっていきます。かたちがどんどん変化していく様子も面白いですね。

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一通り作業が終了したところで、自由時間です。今までの作業で一番気持ちよかったものや、やってみたい動きを自由にやってみましょう!
平たくした粘土を手足にくっつけて「ひんやりシート」。粘土の冷たさを利用したアイディア商品です。

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全ての作業が終了し、鑑賞タイム。できた粘土のかたちが何に見えるかを発表します。足を冷やすブーツ、豚の顔をしたイモムシ、さまざまな大きさのバター、アンモナイト、春巻や鮭といったメニューの朝ごはん…
心地よいという感触をからだ全体で楽しみ、さまざまな作品が生まれました。

自分がつくりたいと思うかたちを表現するための粘土。しかし今回のワークショップを通し、冷たさ・柔らかさ・なめらかさ・弾力など、さまざまな面白い感触を持つものだと気づかされました。粘土だけでなく、身の回りの色々な物にも、面白いさわり心地が見つかるかもしれませんね。

今回のワークショップの作品は谷本さんの展示空間に取り入れられ、8月26日(火)・27日(水)には作品に触れることのできるイベントを行います。今回つくった粘土がどのようにかたちを変えていくのか、スタッフ一同とても楽しみにしています。
たくさんのみなさまのお越しをお待ちしております。
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谷本真理 作品参加可能日 (残り2日間!)

8月26日(火)、8月27日(水) 両日10:00~18:00

布団や粘土が散りばめられた展示空間の中で、素材のさわり心地を感じながら自由に遊ぶことができます。
参加無料(観覧料別途)、予約不要
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by atlia | 2014-08-26 10:56 | ワークショップ
8月23日(土)、開催中の企画展〈アーティスト・ラボ「つくられる」の実験〉関連アートウォッチング谷本真理編[さわり心地を探そう]を開催し、一般3名が参加しました。

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谷本さんは本展にて、空間の中に布団・ぬいぐるみ・粘土などの素材が散りばめられたインスタレーションを出品しています。制作上の関心事は素材の「感触」を楽しむことにあり、何か明確なかたちをつくるのではなく遊びや動きの「痕跡」をそのまま提示しています。
今回は谷本さんと同じように様々な素材の「さわり心地」を見つけた後、その体験を踏まえて展示作品を鑑賞しました。

作業の前にまず谷本さんの作品を鑑賞し、率直な感想を話し合います。
「秘密基地みたい。」「幼い頃に布団に落書きいたずらして怒られたことを思い出す。」「粘土で布団が汚れていて、住むとしたらちょっと抵抗感がある。」との呟きが。散らかったように見える空間に懐かしい思いを抱いたり、自分が住むことを想定したり。身近な素材をつかっているためか、自分の生活に置き換えた感想が多く聞こえてきました。
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次に作業場に移動し、自分の好きな「さわり心地」を探します!スポンジ、針金、ネット、新聞紙、消しゴム…いくつもの素材から気になるものを選びます。

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並んだ素材を端から端まで何度も触ってみて、感触を吟味していきます。中には穴を開けてみる参加者も。
「これだ!」という素材が決まったら、思いおもいの触り方で一番お気に入りの感触を探します。紙をくしゃくしゃにして布のように柔らかな感触にしたり、重ねた紙をずらす行為に心地よさを見出したり、針金を伸ばす抵抗感を楽しんだり…。同じ素材でも固くなる瞬間を楽しむかた・柔らかい感触を楽しむかたの両方がいて、一つの素材の中にも様々な感触が見つかりました。


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15分ほどかけて素材を触り続けた後は、それぞれお気に入りの「さわり心地」を発表し合いました。紙テープの芯をずらす感触、クラフトテープが手に張り付く粘着性、アルミ線を曲げ伸ばしするときの弾力など、なかなか言葉では伝わりにくい「さわり心地」も。また、さわることで変化した素材のかたちを眺めることで参加者がどのような「さわり心地」を見つけたのか、身振りを加えながら想像し合う場面もありました。

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心地よい感触を見つけた後にもう一度谷本さんの展示エリアへ。
じっくり触った後に作品を見ると、先ほどとは違うものが気になる様子。
「裸足で歩き回って粘土や布団の感触を確かめてみたい。」「どうやって楽しんだのか、粘土の触り心地はどうなったのか、気になる。」「ポップに感じる!」などの声が上がります。スタッフが「ポップに感じるとはどういうことか?」と質問すると、「白い壁に青や緑のテープが散りばめられていて明るい感じがする」という意見が。一方「ポップではないと思う。けれども、そういう見方をすることもできるのかと驚かされた」「ポップというより夢見心地に感じる」と、他の参加者の意見をきっかけにどんどん話題は膨らみます。アートウォッチングの前よりもたくさん感想の言葉が聞こえ、作品の違った見え方や思いが心に浮かんだようでした。

谷本さんの作品に触れ、かたちを変えられる参加可能日は8月26日(火)と8月27日(水)の残り2日間です!夏休み最後の思い出づくりに、ぜひアトリアへお越しくださいませ。
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by atlia | 2014-08-26 10:37 | ワークショップ
8月23日(土)、開催中の企画展〈アーティスト・ラボ「つくられる」の実験〉関連として、出品者の谷本真理さんによるアーティストトークを開催しました。


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谷本さんは美術大学に在籍していた際、粘土・木材など様々な素材をつかった立体作品やインスタレーションを制作していました。しかし自分の手で制作すると思い通りのかたちにしかならないことに、どこか不自由さを感じていたと言います。

そんな学校生活の中で、ふいに「粘土を地面に落としてみたらどんなかたちになるだろう?」と思いつきます。早速粘土を買ってきてウサギのかたちをつくり床に向かって落としてみると、ウサギは横に寝そべるような状態でつぶれてしまいました。そのかたちは「なんとも情けないのだけれど、今まで見たことのない、面白くて良いかたちだった」と谷本さんは振り返ります。しかも粘土が床に叩きつけられる音やその動作自体がとても心地よく、以降の作品でも「素材から得られる心地よさ」を大切にして制作をするようになりました。

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《あたらしい遊び》2011年
滑り台や輪くぐりなどの装置をつかって粘土に偶然の力を加えることで、元のかたちを変形させたインスタレーション。タイトルの通り、谷本さんが粘土をつかって色々な遊び方をした様子が想像できます。このような「一人遊び」の痕跡を提示するような作品をいくつか発表するうち、「他の誰かが作品を触れば、もっと予想外のかたちが生まれるのではないか」と考えるようになったそうです。

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 《つみきくずし》2012年
そしてそのアイデアを試すように、作品の一部が自然に壊れたり鑑賞者に触られたりすることを期待してこの作品を展示しました。しかし1週間ほどの期間の中で作品に触れようとする鑑賞者は少なく、思ったほど作品が変化することはなかったようです。「いつかは鑑賞者に『つくられる』展示をしてみたい」と思いながら、その後もアイデアを温め続けていたのだとか。

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本企画ではそのアイデアを実現し、「作品参加可能日」に展示空間の中にある布団や粘土などに自由に触れることのできるインスタレーションを発表しました。5回の「参加可能日」を得て、スタート時は真っ白だった布団はペンで絵や文字があちこちに書かれ、柔らかかった粘土は完全に乾いて粉々になっています。

その変化を見て谷本さんは
「全てを許容することに戸惑う気持ちも多いけれど、絶対に自分では思いつかないような面白いこともたくさん起こっている。自分の作品の中に人が集まり、作品の一部になっている状況を見るのもすごく新鮮だった。」
と率直な感想を語りました。

谷本さんの作品は、会期中にアトリアに来たみなさんが参加することで予測不可能に変化してきました。このイベントも、8月26日(火)・27(水)の残り2日間となりました。多くの方に、谷本さんが感じている「素材の心地よさ」や「かたちの面白さ」を実感していただけると嬉しいです。
みなさまのお越しを、スタッフ一同心よりお待ちしております。
http://www.atlia.jp/exhibition/

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by atlia | 2014-08-26 10:35 | 企画展
実技講座[和竿師に学ぶ竹釣竿づくり]追加募集を行います。

江戸時代から続く川口の伝統的な産業である「竹釣竿づくり」に挑戦します。和竿師から手順やポイントを学びながら、実際に海の船釣りで使用できる竹釣竿を制作します。釣りの初心者や和竿に初めて触れる方でも気軽に参加できる実技講座です。
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たくさんのみなさまのご応募、お待ちしております!

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実技講座[和竿師に学ぶ竹釣竿づくり]

日時 9月6日(土)、7日(日)、13日(土)、14日(日) 全4回 各回13:00~17:00
定員 15名(18歳以上、全日程に出席できる方)
講師 山野正幸(和竿師)
参加費 5,000円(材料費込)
申込締切日 9月4日(木)
申込はお電話(048-253-0222)または窓口にて直接受付いたします。

http://www.atlia.jp/ws_lecture/

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by atlia | 2014-08-21 16:38 | 鑑賞講座・実技講座
8月10日(日)、開催中の企画展〈アーティスト・ラボ「つくられる」の実験〉関連アーティストトークを開催しました。今回の話者は知念ありささん。

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知念さんはこれまで一貫して「てんてん」をつかって制作をしてきました。はじめは自分の住むアパート付近で撮影した風景や人物の「何か気になる」と感じたことを描写していきました。素材としてなんとなく捨てられないものを扱ったこともあるそうです。中でもチョコレートの包み紙に友人とピクニックに行ったときの記念写真を「てん」で描き、自分が気になるものが消えてしまう時間を先延ばしにしたかった、と語りました。


知念さんの作品には青が多用されています。この青は太平洋の島国ツバルを訪れた際目にした空や海、トタン屋根、パスポート、子どもたちの制服の色を意識しています。ツバルは地面が低いため、温暖化のよる海水面上昇の影響で世界で最初に沈んでしまうと言われています。ふと地図を見てみると、ツバルも青い大海に浮かぶ「てん」ということに気づきました。その青を壁の色に用いることで、白い壁では気づくことのなかった影の美しさや時間の移ろいに気づくことができ、それ以降作品に青を取り入れるようになったのだとか。
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また知念さんの日常の「何か気になる」という目線は自身の身体に移っていきます。身体に生まれつきある母斑(あざのようなもの)をかたどって「てんてん」で描いたり、足を「てんてん」で埋め尽くしていったり、自分の身体の気になるをつむいでいきます。そしてその制作は本展の作品につながっていきます。
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《Topography of the Dots/点々の在り処》
「写真を撮ったり、ものを取っておいたりするだけでは足りない。自分がなぜ『気になる』のか知りたい。」そのために、小さな点で細部を紡ぎとるようにして作品を制作し、その度に少しずつ「答え」を見つけているのだそうです。
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15日(金)にはワークショップで制作した作品が知念さんの展示空間で展開されます。今後知念さんの「てんてん」と参加者の「てんてん」とが、どのような世界を広げていくのかとても楽しみです!!

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8月15日(金)午後より 知念ありさ 公開制作
アトリアに出品作家がやってきて作品づくりの様子を公開します。※終了時間は未定です。
http://www.atlia.jp/exhibition/
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by atlia | 2014-08-12 17:22 | 企画展
8月2日(土)、開催中の企画展〈アーティスト・ラボ「つくられる」の実験〉関連ワークショップ[てんてんボディ・ペインティング]を開催しました。
小学4年生~5年生の4名が参加しました。

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講師は出品者の知念ありささん。知念さんは身近にある風景に焦点を当て、それらを点で紡ぎとるような作品制作をしてきました。また作品に使われている素材もシールなどの身近なものです。本展では誰もが身近な存在である自分の身体、そしてその中の「足」をよく見ることで膨らんだイメージを「てんてん」で描いています。
それを受け今回のワークショップでは、普段はあまりじっくり見ることのない自分の足には何があるのかを探しながら、知念さんと同じように「てんてん」をつかって足に絵を描きました。

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まずは準備運動。自分の足を見ていると同じ姿勢をとり続けて疲れてしまうので、入念に身体を動かします。足を前に出して、のび~と前屈。すると、自然と自分の足を観察することができます。指を曲げると、普段は見えないしわや骨が出てくるなど、早速発見が!

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それでは、いよいよスタートです。今回使う道具はボディ・ペインティング用の絵具と、歯医者が使う細い棒です。

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初めは緊張気味だった参加者も、時間が経つと真剣に黙々と足にてんてんを描いています。自分の足と向き合い、さまざまな発見をしながら描いているのでしょう。

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「足の指を曲げると、てんてんが綺麗だね」など、自分では見ることのできない角度での発見もありました。また、片足だけでなく、両足をくっつけることで形が見つかるという発見も。足の見方を変えると、さまざまな発見がありますね。
発見はかたちだけではありません。同じ色を「てんてん」で描いても、肌の色は人それぞれなので、どこか違う色に見えます。

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作品が完成したら、自分のお気に入りの角度で写真をパチリ。花を描いた作品もあれば、海と少女を描いた物語のような作品もありました。

自分の足をじっくり観察することにより普段気づかなかった自分の身体に目を向け、さらに他の人と比べてみることで独自の面白さを見つけることができます。人と違うということは悪いことではなく、素晴らしいことなのだと感じられるワークショップでした。
今回制作した作品の写真は、8月15日(金)の知念さんの公開制作に取り入れられ、会期中展示空間に展示されます。どのように作品に取り入れられるのか、ぜひアトリアでご覧ください。
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by atlia | 2014-08-10 14:30 | ワークショップ
8月3日(日)、開催中の企画展〈アーティスト・ラボ「つくられる」の実験〉関連として、出品作家 安西 剛さんのアーティストトークを開催しました。

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安西さんはまず、今回の出品作だけでなく過去作品にも何度も登場してきた「きかい」についてお話してくださいました。
日用品がモーターと組み合わさり、不思議な動きをする「きかい」。その部品となっているプラスチック製の日用品はどこででも手に入る大量生産品ばかりで、掃除・料理などの決められた使い道とそのためのかたちをもっています。しかしそれらを機械のパーツとして扱い、モーターに繋げると思いもよらない有機的な動きが生まれ、全く別の意味を持ったものに見えてきます。安西さんはこのように、あらかじめ決められていた用途とかたちの結びつきを解放することに興味を持ち、「きかい」の制作に取り組み始めたそうです。

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《Useful Days》2013年
当たり前に見かけるモノだからこそ、無意識に使い方を決めつけてしまっている日用品。その「決めつけ」をさらに崩していくため、安西さんは様々なやり方で「きかい」を提示してきました。博物館のジオラマに登場する古代の動物や江戸時代の人々がそれぞれの時代背景を踏まえながら「この『きかい』は何なのだろう」と話をする作品や、壊れやすい「きかい」とその修理方法を展示し鑑賞者がまるでペットシッターのように「きかい」を世話する作品。
それぞれの作品に登場する日用品は似たようなものばかりですが、毎回違った用途や意味合いを感じさせるような仕掛けがあります。

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そして、本展の出品作で行った「実験」」についてのお話。本作《platonic machines》は、安西さんとワークショップ[不思議なきかいをつくろう1.2]の参加者が制作した「きかい」・「指示書(『きかい』のつくり方)」が展示されています。しかもそれらの「きかい」は来場者によって毎週手が加えられるため、その変化は誰にも予測不可能です。
安西さんは、今回の出品作を含めた制作の動機について
「意図していない過程・結果も、作品として成立させるためには許容しなくてはいけない。思った通りにならないこととどうやって向き合うかという問題は、他者とのやり取りに似ている。従わせることが唯一の正解じゃない。僕は、他者とよりうまくやっていけるようになりたいから、作品をつくっているのかもしれない。」と語りました。

放っておくと具合が悪くなり、誰かに修理してもらうと違うかたちになってしまう「きかい」たち。一度「面白い」と思っても次に目にするときには変化してしまっている儚さは、人と人の「一期一会」に似ているのかもしれません。

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by atlia | 2014-08-09 17:17 | 企画展
8月3日(日)、開催中の企画展〈アーティスト・ラボ「つくられる」の実験〉関連アートウォッチング安西剛編[不思議なきかいとの向き合い方]を開催し、一般6名が参加しました。

安西さんは本展にて、プラスチック製品とモーターを組み合わせた不思議な「きかい」を展示しています。また、それらの「きかい」付近にはつくり方を記した「指示書」が置かれ、来場者はそれを見ながら「きかい」を修理したり、つくり変えたりすることができます。
今回は安西さんの「きかい」制作を追体験するため、前日に開催したワークショップ[不思議なきかいをつくろう1.2]にて作成された指示書をもとに、「きかい」の続きをつくりました。

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テーブルの上に置かれた「きかい」と「指示書」。既に自重を支えきれずに倒れてしまったものや部品が外れてしまっているものがあり、まずは修理が必要なようです。しかし付属の「指示書」の内容は曖昧で、書かれていない部分は想像で補うしかありません。どう手を出して良いのか分からず「うーん」と考え込む参加者も。

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部品をつけ直したり、新しい部品を足したりして、やっと「きかい」らしいかたちになってきました。しかし、ここでタイムリミット。「まだ出来てない!」という参加者も、頭の中で完成を予想しつつ、自分がつくっていた「きかい」を手放します。
そして席替えをし、今度は途中まで他の参加者が組み立てた「きかい」の続きをつくりました。

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最初に手を入れた参加者と二番目の参加者の間で相談はできません。頼れるのは「指示書」と自分の想像力のみです。

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互いが手を加えた「きかい」について、仕上がりを見ながら話し合います。交換する前と後で動き方や部品のつなげ方が大きく変わったものもあり、「自分が思っていた完成予想図とは違っていた」「想像以上に面白い結果になった」というコメントがありました。

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その後、安西さんの展示空間へ移動し、作品を見て感じたこと・気づいたことを話し合いました。
「モップの部分が植物みたい。成長しそう。」
「モップが回転して、周囲にあったブラシを吸い集めたように見える」
「私は逆に、モップが回転することでブラシを飛ばすことができると思った」
特定の用途がないはずの安西さんの「きかい」。それらに役割を与え、意味づけをするような発言が飛び出しました。
「動きがペットみたいで可愛がりたくなる」との意見も。
自ら「きかい」に触れ、壊れた部分を直す(世話をする)ことによって、不思議と愛着が湧いてきたのでしょうか。

作品制作の一部に触れ、参加者同士で意見交換することで、出品作を多方向から鑑賞することができるアートウォッチングとなりました。

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by atlia | 2014-08-09 13:03 | 企画展
8月2日(土)、開催中の企画展〈アーティスト・ラボ「つくられる」の実験〉関連ワークショップ[不思議な「きかい」をつくろう1.2]を開催しました。
全2回の開催、1回目は小学生14名、2回目は中学生以上の5名に参加いただきました。

講師は出品者の安西剛さん。
本展では日用品とモーターを組み合わせて不思議な動きをする「きかい」を展示しています。
しかも、その周りには「指示書(つくり方)」が併せて置かれており、遊びにきてくれた皆さんが「きかい」そのものをつくれるようになっているのです!
安西さんの制作を受けて、今回のワークショップでは「きかい」はもちろん、誰かにそれをつくってもらうための「指示書」をつくることにも挑戦しました。

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まず第1回、小学生の皆さんに参加いただいた回。

安西さんはホワイトボードをつかって、丁寧なイラストを描きながら「きかい」づくりのポイントを説明します。
材料として用意されているのは、どこにでもありそうなバケツ・ボールペン・たわしなどの日用品と、結束バンド・青いテープ。そして動力となるモーター。安西さんが日頃の制作でつかっているものと全く同じ。
ハサミなどの道具は一切与えられません!すべてその中で工夫しながら制作せねばならないのです。
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テープのつかいかたを丁寧に教わった後、気になる日用品をチョイス。モーターにテープや結束バンドで固定していきます。
固定できたら少し実験。どんな動きをするのか、電源がきているコードにつなげて確かめます。
そうすると、あらら?思ったより強いモーターの回転で接着がとれてしまったり、部品自体が重くて回らなかったり。
単純な作業に見えていたのに、思ったより難しい!試行錯誤の繰り返しです。
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でも、制作時間には制限があります。次に他の人にその「きかい」をつくってもらうための「指示書」を書かねばならないのです。
今まで自分が夢中になってつくっていたものを客観的に説明するのは案外難しいもの。
完成形を想像しながら、そして今までの自分の作業を思い出すのに苦労しながら、言葉で説明したりイラストを描いたり。
安西さんの「直してほしいポイントや壊れやすいところも教えてあげよう」というアドバイスに応えるのにも四苦八苦。

しかしここで終わりじゃありません!
実際にその「指示書」で他の人がどうやって制作するか、それも実験してみます。
今まで自分がつくっていた「きかい」と「指示書」を、名残惜しくもその場に残し、席替えタイム。他の参加者がつくっていたものの前に座ります。
まったく違う「きかい」を前に、「指示書」を一生懸命に読み解こうと、ここでも一苦労。
それでもこれをより良くするにはどうしたら良いか、長い時間考える人、ひとまず手を動かしてみる人などなど、様々な反応が。
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続いて第2回目の一般の部。

小学生の部と同じようにモーターとテープの説明の後に「きかい」をつくります。
モーターを付ける土台からつくり始める、モーターを回してみて動き方からつくるなど、つくりかたに個性が表れます。ときおりコードに部品が絡まったり、取り付けた部品が飛んでいったりとアクシデントの連続で戸惑いつつも、試行錯誤しながらきかいをつくり上げていきます。
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「きかい」制作の後は絵や文章で「指示書」をつくります。次の人に「こんなことをしてほしい!」と希望を託す指示書や「あとはお任せします」と自由な発想を期待する「指示書」もありました。

そして席替えの時間!他の参加者が作成した「指示書」を読んで続きをつくり、壊れたところを直します。部品をつけ足したり、テープで補強したり…こうした方がいいのでは?というアイデアを膨らませてきかいをつくりかえていきます。中には自分がつくったきかいの変貌ぶりに思わずツッコミを入れる場面も。完成したきかいを見た参加者からは「指示書」を的確に読み取ったという表情、新たな組み合わせに対する驚きの表情、様々な反応が。
「指示書」に託した意図とそれを受け取る人の解釈の間で起きた捉え方のズレを参加者のみなさんが感じられたワークショップになりました。
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今回制作した作品は会期中展示空間に展示され、毎週木曜日の午後には来館者の手が加えられます。「きかい」たちがどのようにつくらりかえられていくか、その様子をぜひアトリアでご覧ください。
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by atlia | 2014-08-08 10:22 | ワークショップ
7月27日(日)、開催中の企画展〈アーティスト・ラボ「つくられる」の実験〉関連アーティストトークを開催しました。今回の話者は江川純太さん。

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江川さんは多摩美術大学の日本画専攻を卒業された後、鉄板に砂、バナナを使ったインスタレーションなど様々な実験的段階を経て、現在のようなペインティングに取り組み始めました。

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《深呼吸した。流れに乗る為に。逆らう為に。》2011年
画面全体に色面や点が規則性を持って描かれる作品からスタートし、その一部分をクローズアップしたもの、黒い枠で囲んで焦点を絞ったものなど、いくつかの方向性へと発展していきました。常に多数の作品を同時進行で制作することについて、「自分は常に色々なものを疑っていて、だからこそ何度も試している。一度試してみて、もう少し深めた方が良いと思うことは後でもう一度やってみる。」と語りました。

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そして今回の出品作にも描かれている「ストライプ」の出現について。この印象的な縞模様はもともと江川さんが画面の中に取り入れようとしたものの上手くいかず、知人アーティストに頼んで描いてもらったものだそうです。有機的な江川さんのタッチとは正反対の、規則正しいストライプ。最初の1枚はその主張の強さに負けてはならないという思いで描いたものの、次第にストライプを生かすようにして描くことができるようになったそうです。

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最後は、本企画で取り組んだ「実験」について、7月26日(土)に開催したワークショップ[となりの色+じぶんの色=みんなの絵]・7月27日(日)に開催したアートウォッチング[絵が「絵」になるとき]の感想を交えながらお話いただきました。今回の「実験」で、江川さんは制作の一部を誰かの手に委ねています。しかしそれによって今までになかった展開が引き出される瞬間はとても楽しく、今回もどんな作品が完成するのかワクワクしているとお話してくださいました。

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by atlia | 2014-08-02 16:10 | 企画展