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ATLIA STAFF BLOG
カテゴリ:鑑賞講座・実技講座( 34 )
開催中の企画〈アートな年賀状展〉最後のイベントとなった本プログラム。
展覧会全体のテーマである「竹」にちなんで、かごやざる、インテリアなどでもおなじみの「竹工芸」を話題にしました。
講師には、東京国立近代美術館特任研究員の諸山正則(もろやま・まさのり)さんをお迎えしました。

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まずは基礎として、人と竹の関わりについてお話を伺いました。山林に自然に生え細工もしやすい竹は、昔から人々の暮らしに身近な素材でした。なんとあの「竹取の翁」の職業も、「竹を取って」かごをつくる職人だったと言われるほどです。また、竹は種類が豊富で、太さや色、模様、節の形もそれぞれに違いがあります。中でも節の出っ張りが少なく節と節の間が長い真竹(まだけ)は、強靭であり、かごを編む際によく使われるそうです。


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by atlia | 2018-01-31 16:46 | 鑑賞講座・実技講座
竹に親しみながら籠をつくる実技講座の2日目。「竹ひごづくり」に挑戦した前回に続いていよいよ「竹を編む」回です。
材料として参加者に配られた竹ひごは皮付きが8本「身(み:皮の内側の部分)」だけのものも8本で計16本。全て講師の石山さんのお手製でまるでリボンのように薄くしなやかです。思わず指で撫でながらその幅と厚みの均等さに目を見張る参加者たち。前回苦労した分なおさら職人の技術の高さが分かる様子です。
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制作に入る前にまず石山さんが籠を編む手順を通しで実演しました。15分足らずでてきぱきと編み上げてしまう手際の良さに感心しつつ、参加者一同食い入るように見つめます。



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by atlia | 2018-01-17 13:51 | 鑑賞講座・実技講座
展覧会〈アートな年賀状展2018〉関連イベントとして、日本の縁起物である「竹」に親しみ2日間をかけて籠をつくる実技講座を開催しました。ものづくりのプロセスを本格的に学ぶべく、タイトル通りに「竹を編む」だけではなく籠の材料となる「竹ひごづくり」から体験します。
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講師は若手の竹職人である石山好美さん。郷里に伝わる「房州うちわ」の技術を受け継ぐ傍ら自身の工房も構えて籠やオブジェなど多彩な竹細工を制作しています。
竹の採取から始まる制作工程の写真や作品の実物を見ながら、普段の仕事についてお話を伺いました。日本各地に分布し、私たちの身近に生えているイメージがある竹には実は様々な種類があり、加工に向き不向きがあるほか、採取の時期や1本1本の状態、採取後の下処理や保管の仕方などいくつもの条件をクリアして初めて使用に耐える材料となるそうです。編むことで見えてくる材料の性質に合わせて制作の方針を変えることもあり、自然と向き合いながら全ての工程を自身の手で完結させられることに竹細工の醍醐味を感じているのだとか。



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by atlia | 2018-01-16 10:45 | 鑑賞講座・実技講座
1月21日(日)、久しぶりの「やさしい鑑賞講座」を開催します。
様々な分野の美術作品について分かりやすくご紹介する、スライドレクチャー方式のプログラムです。

今回のテーマは「竹工芸」です。多くのコレクションを持つ東京国立近代美術館から、特任研究員の諸山正則(もろやま まさのり)さんを講師にお迎えし、近代の名品を中心にご紹介いただきます。
本ブログでは、当日ご紹介いただく作品の一部を、ちょっとだけお見せします。

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生野祥雲斎《怒涛》1956年 東京国立近代美術館蔵

上の画像は、人間国宝の竹工芸家、生野祥雲斎(しょうの しょううんさい)の作。タイトルの通り、竹の弾力を生かした激しく力強い動きが特徴です。それでいて、か細く割かれた竹の一本一本が飴色に輝く様は、思わずうっとりするほどの美しさです。
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宮崎珠太郎《ねじり編み花篭》1998年 東京国立近代美術館蔵

こちらは熊本県出身の竹工芸家、宮崎珠太郎の作。一見素朴なカゴですが、よく見ると横ひごがねじりながら編まれ、それによって編み目がさざ波のような模様になっているのが特徴で、味わいがあります。


竹工芸の魅力は、何といっても編み目の美しさと繊細さ。
加えて、しなやかさ、力強さ、色つや、編みによってできる模様なども、一つ一つの作品によって違いがあり、鑑賞の面白味があります。
そういった「竹工芸の鑑賞ポイント」について、当日はより詳しくご紹介いたします。ぜひお楽しみに!

みなさまのお越しをお待ちしております。

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やさしい鑑賞講座「竹工芸の魅力」
日時:2018年1月21日(日)14:00~16:00
参加者:18歳以上 40名
参加費:300円
講師:諸山 正則(東京国立近代美術館特任研究員)
事前申込不要(当日受付)
公式ホームページでもご紹介中!

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by atlia | 2018-01-13 12:05 | 鑑賞講座・実技講座

924日(日)、日本画の魅力や楽しみ方を学ぶ講座シリーズ「日本画ウィーク」第三弾として「やさしい鑑賞講座」を開催しました。講師は文化財保存技術者の鈴木晴彦さん。


日本画の「保存修理」と聞くと、絵具の剥離や本紙が破れた作品など破損してしまった作品を直すイメージがあるかもしれません。しかし実際には、前もって劣化や破損を防ぐための予防を講じておくことが重要。鈴木さんは作品が経年変化していく過程、劣化と損傷について身近な日用品を例にお話しました。


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手がけた修理の実例をいくつかスライドでご紹介いただきました。巻いた状態で保存していた掛軸の部品がいつの間にか腐食してしまい、布部分を突き抜けて画面にまで影響を及ぼしてしまった例も。大きな破損でしたが、原因に対処した修理後はほぼ元通りの姿になりました。



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by atlia | 2017-10-01 10:14 | 鑑賞講座・実技講座
日本画の魅力や愉しみ方を学ぶ講座シリーズ「日本画ウィーク」。第二弾は9月16日(土)、たのしい実技講座[日本画を描く]と題し、作品制作を体験しながら日本画の基礎を学びました。講師は前回に引き続き今西彩子さん(鎌倉市鏑木清方記念美術館 学芸員)、ほか鏑木清方記念美術館のサポートメンバーである寺澤さん、三澤さん、津久井さんにも実技指導していただきました。
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制作を始める前に今西さんから日本画の絵具について解説を受けました。日本で古くから使われている「岩絵具(いわえのぐ)」は孔雀石(くじゃくいし:マライカイト)や藍銅鉱(らんどうこう:アズライト)などの言わば宝石を原料にしたもの。各地の土を精製してつくられていた「水干絵具(すいひえのぐ)」は後に色鮮やかなものが開発されたそうで、これらに動物の皮や骨からとった「膠(にかわ)」を接着剤として加え、練り混ぜてから水で溶いてようやく1色が使えます。棒状に固められた「三千本膠(さんぜんぼんにかわ)」は残念ながら職人が少なくなり、材料全ての貴重さが増しているのだとか。



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by atlia | 2017-09-17 12:00 | 鑑賞講座・実技講座
9月の第3~4週にかけて「日本画ウィーク」を開催しました。日本画を見たり描いたりしながらその魅力や愉しみ方を学ぶ初心者向けの講座シリーズです。
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第一弾は13日(水)、たのしい鑑賞講座[日本画をみる‐明治~昭和を中心に]と題し、講師の今西彩子さん(鎌倉市鏑木清方記念美術館 学芸員)に日本画の特徴や鏑木清方をはじめとする近代の画家・作品ついてお話しいただきました。


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by atlia | 2017-09-14 12:00 | 鑑賞講座・実技講座
展覧会〈アートな年賀状展2017〉関連イベントとして、日本の文化に親しんでいただくことを目的に開催しました本講座。建具や日本家屋の素晴らしさを広める活動に携わる小清水謙太さん・クルシノ沙貴子さんを講師に迎え、釘を使わずに木材を組み上げる「組子」の技法を使ったコースターづくりを行いました。

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小清水さんは「『組子』と聞いて、すぐイメージできる方は少なくなってきている」と語り、組子の歴史や特徴についてレクチャーをしてくださいました。組子は、元々は建具職人が自らの腕を自慢するために技巧的装飾を施すようになったのが始まりで、昔ながらの日本家屋が減少するとともに現在は姿を消しつつあるそうです。また、組子と聞くと木を削る技術にばかり目が行きがちですが、本当に必要なのは、反り・割れなど1本1本異なる木の癖を事前に見極め選別する『木を見る力』だとも。

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コースターのつくり方は、クルシノさんが実演しながら教えてくださいました。まずは最も基礎的な、木材に溝を付ける技法から。2本の木材に同じ大きさの溝を付け、それを十字形になるようにはめ込めば完成。手順自体はシンプルなのですが…。

「本来は、極細の線が引ける専用の道具を使います。鉛筆の線は太すぎて誤差の原因になるので。」
「ノコギリのアサリ(互い違いになっている刃)の分だけ大きく削れてしまうので、刃の一番外側が線に来るように注意してください。」
「ほんの少しだけ、ほんの気持ちだけ、内側に溝が入るようにノコギリを入れると良いです。」

クルシノさんはさくさくと手を進めながら、思いのほか難しそうなコツを、何でもないことのようにさらりと口にします。全て、1mmよりもずっとずっと小さい単位での話です。参加者の顔に不安の色が浮かびますが、笑顔で続けます。
「大丈夫です。手を動かすうちに、何となく掴めてきますから。」

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とにもかくにも、手を動かして挑戦です!
まずは練習用の木材を使って肩慣らし。重要なのは、全ての作業を慎重に、正確に行うこと。ほんの僅かなズレが後々の仕上がりに大きく響きます。
まずはスコヤ(直角を出すための定規)をまっすぐに当て、カッターの角度がブレないように注意しながら木材に線を引いて…。

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先ほど引いた線に合わせてノコギリを入れます。割り箸ほどの太さしかない木材に、髪の毛の先ほどの細い線。しかもノコギリの厚み分も考慮しつつ、刃の角度は垂直(気持ち内側)に…。気にすべきポイントがたくさんありすぎて肩に力が入ってしまい、うまく刃が入らない方も。それでもどうにか、切れ込みを入れることができました。

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あとは切れ込みにノミを差し込めば、自然とコの字形にえぐれて溝が付きます。さっそく出来た2本の木材を組み合わせてみるのですが…溝が小さすぎてはめることができなかったり、逆に大きすぎて隙間があったり、十字のはずがX字に組み上がったりと、全員大苦戦。
しかしながら、失敗を経験することで「次はこの部分に気をつけよう」というポイントもそれぞれに見つけることができ、次第に肩の力が抜けていった様子。ノコギリを引く姿が様になってきました。

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ノコギリの使い方に慣れてきたところで、いよいよコースターづくりに取り掛かりました。2種類の太さの木材をそれぞれピッタリ同じ長さで、4本+22本、狂い無く切り揃えます。そのうちの一部には、先ほど習得したばかりの溝付けも。組み上げてみて不具合があれば、ヤスリで長さを揃えたり、金づちで木材を叩いて潰す「木殺し」という力技によって溝を調整したりと、さらなる技法を駆使します。ミシミシと不安な音を立てながらも、何とか全ての木材が組み上がり、格子状のコースターが完成しました。

参加者の表情を見ると、作り終えた喜びもさることながら、見た目以上に難しかったことへの驚きが大きい様子。実際に手を動かしてみて始めて分かる建具職人の技術力に驚嘆していました。

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その後、組子の模様の代表格である「アサノハ」形のコースターの組み立てにも挑戦しました。驚くべきは、皮一枚を残して切れ込みを入れた木材に別の木材を差し込み、まるで3本で支えあっているかのように組み上げる技法。それも、ほんの少し指に力が入っただけで折れてしまいそうな薄い木材が使われています。

格子のコースターづくりの難しさを実感した直後の参加者たち。木材の1片を見るにつけ目を丸くし、どうやって切ったのか、溝を付けたのだろうかとあれこれ分析していました。

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全員のコースターを台座に並べての鑑賞会。製作中は手元に夢中でしたが、こうして離れて見てみると、木の個性によって色に違いがあったり年輪が光を反射して艶があるように見えたりと、それぞれに味わい深さがありました。

「思ったよりも難しかったけれども、自分でつくってみて初めて、組子の技術の凄さが分かりました」といったコメントが多く聞かれた今回の講座。
失われつつある伝統技術、そして昔ながらの日本の暮らしに思いを馳せる体験となりました。
本講座が、日常生活の中で見かける障子・欄間などの組子に関心を持つきっかけとなりましたら幸いです。

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by atlia | 2017-01-28 11:37 | 鑑賞講座・実技講座
12月23日(金祝)から25日(日)まで「クリスマス・ワークショップウィーク」と題し、クリスマスに因んだイベントを行いました。
第1段は、和ろうそく制作ユニット「haze(ヘイズ)」の寺澤勇樹さん・戸田佳佑さんを講師に迎え、18歳以上を対象に開催。天然の櫨蝋(はぜろう/櫨の実から搾り取った蝋)を用いた昔ながらの制作方法で、日々の暮らしと心をあたたかくする和ろうそくをつくりました。

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制作に入る前に、まずは講師から和ろうそくについてのお話をききました。
櫨蝋を用いた和ろうそくの始まりは室町時代。型取りする方法もあるけれど蝋の融点が低いので、手でつくることができるのだそう。表面には手のぬくもりが感じられ、安価な石油で大量生産される洋ろうそくより匂いも煤も少なく空気を汚しません。その特徴を大切にしてhazeのお2人は手づくりにこだわった制作活動を続けています。
櫨の実から絞ったままの生蝋(きろう)、和紙とイグサの髄(ずい)でできた燈心も専門の職人につくられた貴重なもの。それぞれ手に取り、触り心地や匂いを確かめました。

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今日つくるろうそくは生蝋とクリスマスらしいカラーのもの合わせて2本。参加者全員で1つのテーブルを囲み1本目に取りかかりました。
溶かした蝋の温度はおよそ40度。手ですくって燈心に塗り重ね、自身の体温も移っていくのを感じながら少しずつ少しずつ太らせていきます。手元に集中し、無心で繰り返す作業は瞑想にも似ていて、会場が静寂に包まれていきました。そうして生まれるろうそくの形は先細りだったり尻すぼみだったり。色の深いものや浅いもの、表面に様々な筋模様のあるものなど、同じ材料と手法でつくっていても個人差が出てくるのが不思議です。

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蝋の感触と制作方法をつかんだところで2本目をイメージしました。自然素材で色付けされた緑とピンクの蝋、どちらかで本体を成形し、仕上げに白い蝋を薄く塗り重ねる手の動きで表面に模様を施します。その技法を講師が実演。温度が高めの蝋を少量塗って素早く手を動かすと細かな斑点ができ、温度が下がって粘り気の出た蝋を多めに塗って捩じるようにすると螺旋模様が現れます。

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つくりたい色を選び、1本目と同じ要領で本体をつくりました。塗り付けた蝋が乾ききる前に次を重ねていく方が色が深くなると講師からアドバイス。各々一瞬の緊張感とともに表面も仕上げ、どんな具合にできたかを見せ合いながら会話が弾みました。

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全員の作品を並べてみるとそれぞれの個性と味わい深さが際立ちます。
「夢中でつくって偶然できた形が気に入った。」
「冬の空と平原に雪が降り積もる情景を表現した。雪の日にともしたい。」
「イメージ通りにはいかなかったけれど、ぬくもりを感じるとても良い時間が過ごせた。」
と1人ずつ感想を述べていきました。自らの手で生み出した1本1本に思いが込められています。

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作品を使う日への気持ちを高めるため、最後にろうそくを主人公にした絵本の朗読をききました。灯をともす人のひたむきな祈りや成長を描いた物語を、しっとりと読み上げる図書館員さん(川口市立中央図書館にご協力いただきました)の声にきき入る参加者たち。これからの暮らしと自分がともす特別な灯りへの期待を胸に、講座は静かに幕を閉じました。各々が大切に持ち帰った和ろうそくは、その心をどのように照らし、あたためるでしょうか。
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by atlia | 2017-01-04 09:00 | 鑑賞講座・実技講座
9月17日(土)、伝統技法「金継ぎ」を体験する講座を開催しました。
金継ぎとは割れたり欠けたりした器を漆でつなぎ合わせ、その部分を金で装飾しながら修復する修理法のこと。通常は漆を乾かすのに数日かかりますが、今回はどなたでも気軽に楽しんでいただける「入門編」として新うるし(漆の代用品として使用される塗料)を使って数時間で仕上げる方法を学びました。
講師は川口市内在住の金継ぎ師、吉沢博さん。今回のような簡易的な方法も含め幅広い金継ぎ技法に精通しておられます。
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会場にやってきた参加者はさっそく持参した器の傷を吉沢さんにチェックしてもらいます。そっと開けた包み紙から取り出したのは、長年愛用の湯呑み、夫婦茶碗、自作の香炉など、どれも思い出深い大切な器ばかり。
「これは良い器ですねぇ」「きっと金が映えるでしょう」
自慢の器を吉沢さんに褒められ、参加者のやる気は倍増です。

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講座が始まると、参加者は映像やテキストを見ながら器の修理方法の歴史を学びました。
金継ぎは室町時代に始まったと言われていますが、その源流は縄文時代にまで遡るというのだから驚きです。割れた土器を漆で接着し、光沢のある砂粒で装飾したものが縄文遺跡から発掘されているのだとか。これはほとんど金継ぎと同じ考え方です。
そこから現代へと受け継がれる間に開発された修理技法は多種多様。金具で器をホチキスのように留める「かすがい継ぎ」、欠けた部分に別の器の欠片をはめ込む「呼継ぎ」、 まるで一度も割れていないかのように修理する「とも直し」。金継ぎ師は器の用途やデザインなどに合わせてこれらの技法を使い分けるそうです。

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金継ぎの一通りのやり方を吉沢さんに教えていただいた後、それぞれの器で実践スタート。割れた部分は接着剤でつなぎ合わせ、欠けている部分には小さな和紙とガラスの粉を埋めます。和紙の大きさは1cmに満たないどころか、ほんの数ミリ。うっかり落として見失いそうになりながらも、全神経を指先に集中させて取り組みました。
さらに埋めた部分の表面をヤスリがけして滑らかにします。ここでの磨き残しは金の発色不良のもと。器を光にかざして何度も確認し、凹凸がある場所には再び接着剤を詰め、徹底的に磨き上げました。

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十分にヤスリがけができたら、割れ目・継ぎ目をなぞるように新うるしを塗ります。はみ出さず、塗り残しのないよう、そして均一な厚みになるよう。息をするのも忘れるほど慎重に筆を進めました。

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塗った新うるしを数分乾かし、いよいよ金紛を蒔きます。
筆に金粉をたっぷりつけ、新うるしの上からサッとなぞるように。数回なぞっただけでもしっかりと紛がくっつきました。
傷の修復にかけた時間に比べると金蒔きはほんの一瞬。でもたったその一瞬で、まるで新しい命が吹き込まれたかのように、器にしっとりとした輝きが宿ったのです。
金を蒔いた器を見た途端、参加者の表情までも明るくなりました。

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出来がった器は金が剥がれないようそっと机に並べ、全員で見せ合います。締めくくりに参加者一人ひとりが今日の講座を振り返って感想を述べました。
「壊れてから長い間しまっていたけれど、また使えるようになって嬉しい」
「金継ぎしたことで以前よりもっと素敵になった」
器を手にする参加者の眼差しは一様に優しげ。講座終了後には、器の入った箱をまるでわが子のように大事そうに抱いて帰る姿も見られました。

壊れて使えなくなった器を修復し、新たな魅力をも与える金継ぎ。傷によって価値を増すという考え方は、器が今よりもずっと貴重だった時代の先人たちの「心」から生まれたものに違いありません。
今回の講座は、器を使い続けるための知恵だけでなく、器を大切にする気持ちをも学ぶ機会ともなりました。

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by atlia | 2016-09-23 09:00 | 鑑賞講座・実技講座