たのしい実技講座「金継ぎ技法入門―繕いのうつわ」を開催しました
4月24日(土)と25日(日)、たのしい実技講座「金継ぎ技法入門―繕いのうつわ」を開催しました。前回大好評だった金継ぎ講座(イベントのレポートはこちら)、5年ぶりの開催です。今回は入門編としてより初心者向けの内容に、そして自宅でも気軽にできるような手順にパワーアップしました。
前回と同じく、講師は金継ぎ師の吉沢博さん。アシスタントは吉沢さんのお弟子さんの斎藤さんです。
まずは吉沢さんと斎藤さんによる、参加者が持ってきた器の欠けや割れの状況チェック。そこでは「この器をどうしても直したくて、、!」という参加者の言葉が聞かれ、それぞれの割れた器・欠けた器への強い想いがひしひしと伝わってきます。

今回の講座も、器の修理についての歴史のお話から始まります。江戸時代後期には「焼き継ぎ屋」という陶磁器を修理する商売があり、瀬戸物屋の売り上げが落ちるほど人気があったそう。器の修理が今よりもずっと身近な時代があったことがわかります。
ここで、吉沢さんご自身の作品を紹介。金箔を用いて割れたグラスを継いだり、異なる素材の片で欠けたお皿を継いだりと、吉沢さんが実践するさまざまな技法に参加者は興味津々。
続いて、金継ぎの実演に移ります。欠け・割れの2種類について、合成漆と真鍮粉を使った技法で実演を行いました。
実は今回、吉沢さんは事前にこの手順を動画にまとめてくださり、参加者のみなさんはその動画で予習していただいてからの参加です。それでも実際に目の前で進む細かい作業と、見慣れない材料の扱いに、真剣な眼差しが向けられます。
休憩を挟んで、いよいよ実践。
欠けた器には、まずは下地づくり。欠けた部分にパテを盛り、器の面に沿って平らになるよう余分なパテを削っていきます。はみ出た部分を大まかに削ってから、紙ヤスリなどを使い、表面を滑らかに仕上げます。

下地が出来上がったら、真鍮粉を混ぜた合成漆を、筆で慎重にのせていきます。

これで欠けの器の金継ぎが完成です。

割れた器は、テープで破片を貼り合わせるところから始まります。これは一見簡単なようで高い精度が求められる難しい作業。少しでも接合がずれていると吉沢さんから「やり直し!」(不合格)のお言葉。何度も貼りなおし、ようやく合格が出ると参加者はほっとした表情に。

次に、貼り合わせた割れ目の部分に接着材を染み込ませます。はみ出た接着剤は削り落して、表面を整えます。

続いて、筆で線を引くように、真鍮粉を混ぜた合成漆を割れ目の部分にのせていきます。
ぐっと金継ぎらしくなる瞬間。みなさんの手つきから緊張が伝わります。

これで割れの器の金継ぎも完成です。

最後に出来上がった器を並べて鑑賞会。参加者の方々からは「大切な器がよみがえって本当に嬉しい」という喜びの声や、「自宅でも金継ぎに挑戦したい」「金継ぎについてもっと知りたくなった」と今後を見据えた声が聞かれました。それぞれの器に今日の思い出が加わり、そのよみがえった器をこれからも長く使っていただけることでしょう。金継ぎを通して、大切な物との向き合い方についても考えさせられる時間となりました。
