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ATLIA STAFF BLOG
AIS14:vol. 1 図工室に巨大ワニ出現!
アーティストやデザイナーを市立の小中学校に派遣して特別な授業を行うアーティスト・イン・スクールは9月下旬から授業がスタートしました。
今年で14回目を数える毎年恒例のプログラム、今回は前川東小学校6年生3クラス、89人の児童たちと、“意味を超越したマシーン”で注目される現代美術家、タムラサトルさんが、制作に1クラス4回8時間、鑑賞1回2時間をかけた授業に取り組みます。

今日から本物のアーティストに会えるよ、とだけ言われ図工室にやってきた児童たち。室内に入るといきなり目に飛び込んできたのは、巨大な緑色をしたワニのオブジェ。全長4.5メートルもあるワニが、教室の天井近くをぐるぐると回転しています。
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何? …これはいったい…
驚き、戸惑いながら教室に入ってきます。このワニが今日の授業やアーティストに関係することは分かるけど、まさかこれを作るんじゃないよね? じゃあ何のために? そもそもこのワニは何でできている? ひそひそ話が拡がっていきます。
前日に講師とアシスタントが苦労して運び込み設置した作品《スピンクロコダイル》は、見事に子どもたちの好奇心と思考力のスイッチを入れてくれました。

興奮(?)が少し収まったところで、席に着き、授業が始まります。(頭をぶつけないようにワニの回転は止められました。)
まずは講師のタムラさんの自己紹介から。

タムラさんは目の前にあるワニの作品から、自分の仕事を説明していきます。
最初のワニは大学の課題で作ったこと。朝起きた時「ワニを回そう」と思い浮かんだこと、ワニの次にはクマの作品を作ったこと、作品の意味よりもユーモアを大切にしていること…。
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タムラさんは面白おかしく話したわけではありませんでしたが、モニターに映し出される作品のユーモラスな様子に、時折子どもたちから歓声が上がります。

ひとしきりタムラさんの自己紹介で笑った後は、いよいよこの授業ですることの発表です。
それは、やっぱり、回転するワニを作ること! そう、この特別な授業と成果発表展のタイトルは〈われわれはワニを回す〉。
みんなで大きなワニを作るのではなく、1人1つのワニを作ります。
なーんだ、とちょっと思ったところで、タムラさんからさらに課題が…。
それは、作る材料と大きさは決まっているけど、その中で自分なりの、自分だけのワニを作ること。今見ているワニからなるべく離れた作品にしてほしい…制約の中でいかに自由な発想ができるか、6年生らしいちょっと高めのハードルです。

急にオリジナルのワニと言われてもできるものではないので、まずは自分の持つワニのイメージや知識をワークシートに言葉で書き出していきます。その中にはきっと自分なりのワニのとらえ方が出てくるはず。時おり思いついたイメージを発表したりしながら、発想をふくらませていきました。
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言葉がたくさん出てイメージが豊かになったところで、いよいよ作りたいワニのアイディアをスケッチします。
みんな「自分なりのワニ」に苦労するかな、と思いきや、意外とすいすいとスケッチしていきます。
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タムラさんも教室を動き回って、スケッチがより具体的に、オリジナルになるように「これはどんなワニ?」とか「〇〇だけがワニじゃないよ」などと声をかけていきます。
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スケッチが出来上がってきたら、次はいよいよ3次元化、と言いたいところですがそうはいきません。今回使うスタイロォーム(スタイロ)という素材は粘土のように自由に形が作れるわけではないので、カッターなどを使って形を削り出していきます。そのために必要なのが「平面図」(真上から見た図)と「立面図」(真横から見た図)。
タムラさんは実際に平面図と立面図が描き込まれたスタイロのブロックを、ヒートカッターという専用の道具で切り進んでみせて、なぜこの二つの図が必要なのかを説明していきます。
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子どもたちも図面に取り組みますが、自由に描けたアイディアスケッチと違って、意外とむずかしい? 斜め上から見た図になっていたり、横と上が混じったり、なかなかうまく描けません。
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頭と手を使って何とか平面図・立面図を仕上げたところで、1回目の授業は終わりとなりました。

Photo: Kozo Kaneda

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by atlia | 2019-10-13 10:50 | 学校×アトリア