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ATLIA STAFF BLOG
アートさんぽ[マンホールをめぐって ー 足元にある世界]を開催しました。
6月8日(土)、アートさんぽ[マンホールをめぐって ー 足元にある世界]を開催しました。講師は白浜公平さん(マンホール愛好家)と長谷川善一さん(長谷川鋳工所社長、彫刻家)。鋳物のまち川口の産出品である、マンホールの蓋の鑑賞ポイントと製造技術に詳しいお2人の案内のもとアトリア~川口駅周辺を探索し、普段はあまり注目しない足元から、まちの魅力をとらえ直そうという企画です。
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スタート地点の館内会場には、講師からお借りしたマンホールの関連グッズや資料が展示されています。興味深そうに見入る参加者に向けて、まずは白浜さんが「そもそもマンホールとは何か」といった根本的なところから、基礎知識と見どころをレクチャーしました。「地紋(蓋全体を覆う模様)」から製造元や設置された歴史的経緯を推理できることなど、蓋が示す情報の幅広さに驚かされます。
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続いて長谷川さんが、生産者の視点からマンホールの蓋の機能とつくりについて解説しました。「鋳型となる砂の中に、製品の形の空洞をいかにつくるかが勝負」と長谷川さん。鋳物師たちの高度な空間把握能力によって、気密性と耐久性に優れたマンホール鉄蓋が生み出されています。
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鉄蓋鑑賞の視点が備わったところでいざ、さんぽへ出発!一歩外に出れば、もうそこら中の地面にある蓋が目につきます。例えば雨水を地下に流すもの、消火設備を内蔵するものなど、マンホールの種類と役割は様々。
鉄砲百合と竹ざるをモチーフにした蓋は川口のご当地マンホールのひとつ。「技巧派」と白浜さんが賞する複雑な立体構造が特徴です。市の下水道維持課職員の協力のもと、内部が特別公開されました。滅多にない機会に一同拍手喝采して覗き込みます。
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アトリアが位置する「リボンシティ」の奥には、星マークの鉄蓋が3つ仲良く並んでいます。かつてこの地で80年間操業していた「サッポロビール埼玉工場」を記念したモニュメントです。本来の機能は失われていますが「まちの記憶を伝えるものとしてきちんと残すことが重要」と白浜さん。マンホールの蓋もひとつの文化遺産なのですね。
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「ふじの市商店街」には12星座をあしらったマンホールの蓋が並んでいます。絵柄のユニークさについて白浜さんが語り、素材や製法について参加者から質問があると長谷川さんが答えていきました。
道と商店との間に散らばる「制水弁」などの小さな蓋にも注目。道路をつくる際の「土木」と、建物をつくる際の「建築」のどちらに属するのか見極めることも、都市設備を知るポイントなのだそう。
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道を更に進んで、モザイクタイルのカラフルなマンホールが並ぶ「樹モール(川口銀座商店街)」へ。描かれた動植物をよく見れば、同じ柄でも配色がひとつひとつ違うこだわりっぷり!
隣接する広場では、川口の歴史文化を描いた鋳物のレリーフにも注目しました。交通の変化が地域にもたらす影響などを昔の地図からたどることができ、参加者同士で会話が弾みます。
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商店街から川口駅前へ抜けると、東口ロータリーには長谷川さんが代表を務める長谷川鋳工所製の鉄蓋が並んでいます。中でもひときわ異彩を放つ黄金色の蓋。真鍮でコーティングした独自のデザインで、世界にたったひとつなのだそう。
考案したのは先々代の社長。その時代の蓋には、全体の補強と踏まれた時のガタつき防止のためドーム状のわずかな膨らみがあります。製造技術の向上により今現在のマンホールはみな平板。足の裏で確かめる参加者たちに加えて言うことには「雨にさらされて出る錆が人や車に踏まれることで安定し、それ以上の腐食を防ぐ効果になることが、マンホールの蓋が古くから鉄でつくられるひとつの理由」なのだとか。
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ひたすらに下を向き歩き続けた数時間、常ならば15分ほどの道のりに、これまで見えなかったディープな世界が広がりました。マンホール鉄蓋の凝ったデザインに産地ならではのこだわりを感じつつ、鋳物産業と都市機能の結びつきに思いをめぐらす、川口らしいアートさんぽとなりました。

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by atlia | 2019-06-12 14:29 | アートさんぽ