3月29日(金)午後7時から、春の企画展〈絵画展...なのか?〉の関連イベントとして、やさしい鑑賞講座「絵画の現在(いま)を楽しむ」を開催しました。
成相さんには〈絵画展...なのか?〉の図録の論文の執筆もお願いしていますが、今回の講座では展覧会の出品作品を離れて、現代の絵画を中心とした美術作品の見方、楽しみ方についてお話しいただきました。

会場は展示室内。一旦閉館した後、講座用に会場を整えて特別に開館。
参加者の皆さんは山本修司さんの作品に囲まれながら熱心に聴き入っていました。
東京ステーションギャラリーの前は府中市美術館で教育普及を担当していたという成相さん。まずはその頃、子どもたちによく見せてお話ししていたという清水登之の作品から始めます。

描かれている様々な要素に気づくことで同じ絵でも見え方や解釈が大きく変わる、ということを丁寧かつ具体的に説明。聴講の皆さんも見え方が大きく変わったようでした。
絵の中の要素だけで見え方が変わるということは、ただ見ているだけでは見えていない、見落としているものが多くあるということ。
次には「丁寧に見る」ための方法として「ディスクリプション」という方法を説明しました。美術史の学生が必ず学ぶというディスクリプション。感想や解釈を交えずに淡々と作品の様子、何がどのように描かれていくかを記述していくものです。

成相さんは優れたディスクリプションの例として、印象派のピサロの風景画に対する美術評論家の藤枝晃雄さんの記述を紹介しながら、詳しく絵を見ていきました。

それはまた、「今後の美術鑑賞の幅を広げる」という展覧会のねらいにもつながる内容でした。
