公式ホームページへ
ATLIA STAFF BLOG
AIS13:vol.5 思いきって振りぬけ-まとめとふり返り
アーティスト・イン・スクール(AIS13)、講師の浅見貴子さんと芝樋ノ爪小学校5年生29人。
《校庭の樹-墨の点々で描こう》と題した授業、いよいよ全5回の活動も最後です。

前回までに、図工室で作品を仕上げた児童たち。今日はアトリアに自分たちの展示の見学へ!学校から観光バスに乗り込んで、いざ出発。
しかしこの日は、前回から約2週間、久しぶりの授業でもありました。ちゃんと自分たちの制作を覚えているかな?
先生が「これまでの授業で何をやったのかな」と投げかけると、はい!はい!と盛り上がるバスのなか。
どうやら心配ないみたい、多くの手があがります。
そうこうしているうちに片道約25分、バスはアトリアの正面へ。そこで浅見さんがお出迎えです。
よく晴れたこの日、浅見さんも児童たちもややまぶしそうな表情、はやく展示をみたくてそわそわ。
作品にはさわらないこと、お話はよく聞いて、他のお客様のご迷惑にならないように、など、館内での過ごし方を確認した後、まずは自由に見学することに。
最初の部屋に、さっそくクラスの作品が展示されているのを発見!
今までじっくり図工室で向き合ってきたときとは、また随分違う雰囲気。
自分のはどこだろう?まるで迷路みたいに並べられた台に展示されている作品を、ぐるぐるとたどるように探していきます。
一人一人の作品には、浅見さんからのカードが添えられていました。
「墨の性質に気づいて、たくさんためしてたね。うす墨ぬってて、くもりの日の感じがよく出ています」
「筆づかいが工夫してあって、いろんな表情が描けました。思い切ってていいね!」
「一度描いた墨の上から濃い墨の枝をしっかり描き込んでますね。樹のどっしりした存在感が出ています」
c0222139_15182383.jpg
すべての児童たちにきちんと自分の意見や感想を伝えたかった浅見さん、すべてのカードに異なることばを書き込んで用意していたのです。
先生としての視点でも、アーティストとしてのメッセージでもある、そのカード。浅見さんからのプレゼントとして、またとないものになった、かな?
児童たちは自分あてに書かれたそれを見つけると、手にとって確認します。ふむふむと読んでみたり、友達と見せ合いっこしたり、作品と見比べたり。授業のふり返りにも役に立ったよう。
自分たちの作品を見つけ、浅見さんのことばとともに味わった後は、隣の部屋へ。
そこには浅見さんの作品が展示してありました。最初の授業で写真を見せてもらってはいたけれど、本物を目の前にしたのは、これがはじめて。
浅見さんは自分の作品について、詳しくお話ししてくれました。モデルとなった樹のこと、描いたときの気持ち、どんな工夫をしたのか。
墨のにじみ方の実験や樹木のスケッチなど、浅見さんと一緒に過程を経験したからか、児童たちはそれぞれに興味を持って鑑賞したようです。
最後に一緒に廊下にある作品の前へ。これは児童たちが描いた小さめの作品を、浅見さんがパネルに貼り合わせてくれたもの。
共同制作、と言っていたのは、これのことだったのか!ひとりずつ描いていた作品が集合し、1枚の大きなものに生まれ変わった感じです。
自分のはどこかな?これは誰が描いたのだろう?やっぱり探すようにして鑑賞する児童たち。
c0222139_15545150.jpg
浅見さん、そのままその絵の前でお話をはじめました。
「今回、みんなと一緒にやっていて、いいなと思ったのは、墨をはじめて画材としてつかったと思うんだけど、それからスケッチもあんまりやったことなかったと思うんだけど、新しいことにも恐れずにすぐに手を動かせていて、それぞれが感じたことを思いきり描いてくれて、すごいと思いました」
確かに、浅見さんは早く作品を仕上げる人ではありません。だけどその分じっくり制作に向き合います。今回、ひとりひとりにカードを書いて、異なることばを贈ったことからも、「じっくり」な姿勢がよく伝わります。浅見さんのスピードや取り組み方は、そういう感じ。
c0222139_17242746.jpg
c0222139_17245151.jpg
それを受け、児童たちは「最初はちょっと難しかったしどうかなって思ったんだけど、慣れてきて、なんか、いいなって思うようになりました」という感想を話してくれました。
それぞれのはやさで、それぞれの見方で、かかわっていけるのが美術。だから正解やはっきりとした答えがないものだと、浅見さんは言います。
「私が制作で目指してるのは、スポーツ選手みたいな感じ。追求すると世界にひとつの絵ができる。失敗しても、そこから何か発見すればいいし、それを生かしてるうちに自分だけの絵を発明すればいい。だから、失敗してもいいから思いきり、三振になってもいいから思いきりバットを振るってことが大事」

世界にひとつ、自分だけの絵。何気なくそう言った、浅見さんのことば。
くり返し伝えられた、失敗を面白がること、思いきってやることで思わぬ発見をするという視点。
浅見さんのまっすぐなことばたち、児童たちにはどんな風に聞こえたのでしょう。


児童たちの作品は、展覧会〈樹々あそぶ庭々〉で、浅見さんの作品とともに、展示しています。
短かったけれどしかし密度の高い、特別な図工の授業、そしてそこから生まれた樹々。ぜひご高覧ください。

photo: Kozo Kaneda


---
〈樹々あそぶ庭々〉
第13回アーティスト・イン・スクール
校庭の樹-墨の点々で描こう 
浅見貴子×川口市立芝樋ノ爪小学校5年生29人 
成果発表展@川口市立アートギャラリー・アトリア
2018年11月10日(土)~12月9日(日) 
10:00~18:00(土曜日のみ20:00まで開館)
観覧無料
※関連展示として講師作品展〈日々の樹-生々を描く庭〉を先行公開 10月27日(土)~
---

本事業に関する過去の記事↓



c0222139_18092818.jpg


by atlia | 2018-11-28 17:45 | 学校×アトリア