AIS13:vol.3 失敗は面白い-墨と和紙で制作1
講師の浅見貴子さんと芝樋ノ爪小学校5年生29人が、《校庭の樹-墨の点々で描こう》というテーマで活動中です。
随時更新中のスタッフブログでは、ふだんはなかなか見えない学校内の様子をレポート。
前回の授業では、校庭に飛び出して樹木のスケッチを行った児童たち(その様子はこちらから)。
墨の点や線で描いたら面白いであろうお気に入りの樹を見つけ、鉛筆で描きました。
今回の授業から、その和紙の下書きの上から墨をつかって表現していきます。
樹の様子がスムーズに思い出せるようにと、学校の先生が校庭の樹々の写真をプリントしてくれました!
それをお借りしながら、浅見さんは、スケッチのときのこと、最初の試し描きのときのこと、それぞれを思い出しながらやってみよう、とお話しします。
さっそく墨をもらった児童たち、最初は緊張して…と思いきや、どんどん描いていきます!
ある人は薄い墨をたっぷり筆に含ませ、すっすっと素直に伸びた感じの枝をなぞります。ある人は濃い墨を少しだけ太い筆につけ、ざらざらとした質感を追求している様子。また、ある人は割りばしペンでさりげない点々から描いて、紙の様子を確かめているよう。
その間、浅見さん、学校の先生やスタッフも、いろいろな机をまわって、児童たちとお話ししながら、描き方にアドバイスをしたり、墨を足してあげたり。
思わぬスピードで思わぬ表現を次々に見つけていく様子に、驚くこともしばしば。
しかし時間が経ち、制作が進むにつれて、「なんか、わかんなくなってきちゃった」「あーちがった、やばいやばい、どうしよう」という声も、ちらほらと聞こえ始めてきたようです。
「これは、枝を筆で勢いよく描いてて、力強さがありますね。ざらざらしている細い線と、すっとした太い線が混じってて、そのバランスっていうか、リズムみたいなものが、独特で良いです。周りも描くと良いね」
「こっちは、樹の輪郭を繊細になぞってます。しっかりなぞるのは大変だけど、ちゃんとやると雰囲気がちがってくるから、頑張ってつづけた方がよさそう」
「これも面白くて、割りばしペンの細い線で描いた枝の上から、薄い墨をぽんぽんって置きはじめてるのかな。なんか葉っぱみたいでもあるし、空気みたいだし、生き生きしてる感じがします」
失敗は成功のもとなんだから。失敗しても、それを生かすものを描き足せばいい。失敗した、と思ったその表現を面白がってくれる人がいる。
だから、自分の見たままでいいし、思い切ってやればいいし、いろいろ実験すればいい。
これまでの授業で、浅見さんは児童たちの作品を常に面白がって、良さを見つけてくれました。しかもその言葉は具体的です。
児童たちも、自分の作品をつくるだけでなく、浅見さんの視点を交えながら他のクラスメイトの作品をみることで、違った発見をしたかもしれません。
少し自分の作品から手や目を離してみると、また違うところが見えてくるもの。
そう、失敗したと思っても、それは思わぬ面白さに化けるかもしれないのです。
次回はいよいよ制作の最終回!それぞれに個性が見えてきたお気に入りの樹は、どんな風に完成するでしょうか?
photo: Kozo Kaneda
本事業に関する過去の記事↓
by atlia
| 2018-10-23 17:53
| 学校×アトリア

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