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ATLIA STAFF BLOG
AIS13:vol.1 点々を描こう-導入と試し描き
9月末から授業がはじまりました、第13回アーティスト・イン・スクール(AIS13)。
講師に浅見貴子さん(画家)、対象校には芝樋ノ爪小学校5年生29人をむかえて活動中です。
浅見さんの普段の制作である「身近な樹木を描く」「和紙に墨で描く」というところから、《校庭の樹-墨の点々で描こう》というテーマでスタート。
本ブログでは授業の様子を随時レポート、さっそく初回の様子をお届けします。
はじめて児童たちとの対面とあって、ちょっと緊張気味な浅見さん。
これから墨をつかって校庭の樹の絵を描こうと思うけれど、私は絵の描き方は教えません、と話をはじめました。







筆の使い方や墨の特性、ちょっとしたコツなど基本的なことは教えるけれど、あとは工夫次第。自身も失敗を繰り返して今の制作を続けているから、みんなもどんどん挑戦して・試して、失敗を恐れずにやってみることが大切、と前置きします。
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では、浅見さん、どんな作品をつくっているのでしょうか?全員を中心に集めて、まるで紙芝居みたいに、これまでの作品の写真をたくさん見せてくれました。
筆を転がすように描いたビリビリ・ガタガタの線、それが紙に染みこんだときに裏側から見えた点の連なり。
はじめは失敗したかも?と思ったその表現を面白がってくれる人がいて、じゃあやってみようかな、と試行錯誤しはじめたのが、今の樹木の作品のきっかけだとお話ししてくれました。
ビリビリ線はそのまま空気が揺れる様子になり、点の連なりは葉や光の動きになり。画面のなかで生き生きしてきたと言います(浅見さんの作品はこちらの記事でご紹介!)
身を乗り出すように作品を見ていた児童たちからは「なんかキレイ!」「点々は人が並んでるみたいにも見えるね」など、ちらほら感想が聞こえ始めます。
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そして、その作品たちの陰にあるのは、何枚ものスケッチ。松を描いたというそれを浅見さんが取り出したとき、児童たちからは「おー!」と声が上がりました。浅見さん、照れつつも嬉しそうな表情。
実際に自宅や近所に生えている樹木を直接見ながら描いたというそれには、不思議な色がつけられています。3日前に見た部分は水色で描いたから、今日は紫で、なんていう風にメモしている、とのこと。浅見さんは「対象をじっくり観察して描くと面白い」と言います。
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「では、ちょっと戻って、今日は初回だから、まずは筆や墨の使い方を試してみましょう」
待ってました、とばかりに、自分が持ってきた筆を取り出す児童たち。書写でつかうもの・水彩でつかうものなど、様々な筆が机に並びます。それと同時に1枚の和紙と画板を受け取って、準備完了!これに、まずは筆で点々を描く練習です。
浅見さん、「筆は上の方を持つと良いです」「紙からすぐ離したり、じっと置いてから離すと滲みかたも変わります」とアドバイス。
しかし児童たち、最初はおっかなびっくり。こういう感じでいいのかな?と顔を見合わせ、筆も少々緊張しています。
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でも、点をひとつ、紙においてしまえば、もう大丈夫!これまでの緊張が解けたみたい。どんどん点が増えていき、浅見さんのビリビリ線をまねたもの、くるくると筆を横に転がした円も登場し、紙が埋まっていきます。
「水で墨を薄めると、どんどん色がかわるから試してごらん」「点に点を重ねたり、近くに置いてみるとまた違う感じになるよ」と声をかけながら、浅見さんも一緒に筆を動かします。
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筆の使い方や薄めた墨の滲み方をなんとなく覚えたところで、浅見さん、ちょっと違う道具を取り出しました。
わりばしをカッターで削りつけペンの要領でつかう、わりばしペン!これがあると毛筆ではなかなか描けない細くて鋭い線が描けます。
先端が平たいものと尖ったものの2種を受け取って、これも試し描き。ひょろひょろ線やまっすぐ線が点々の間を通って、なんだか違うリズムが生まれはじめました!
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そのわりばしペンで名前を書き込み、ひとまず初回の授業は終了。
次の授業では校庭に樹木をスケッチしに行こうと言った浅見さん、宿題として「今日覚えた点々や線で描いてみたら面白くなりそうな、お気に入りの樹を見つけておくこと」と連絡しました。はい!と元気よく返事をした児童たち、どんなモデルを見つけてくるでしょうか?

そして最後に、スタッフからも重要なお知らせが。この授業は全部で5回あるけれど、浅見さんはあと3回しか学校にきません、とお話しします。今日で1回・残りは4回…あれ、回数が合わない?
「最後の授業は学校じゃなくて、アトリアでやります!何をやると思いますか?」え、なんだろう?すぐに答えが浮かばない児童たち。
「それはね、自分たちの作品が飾られているギャラリーの見学に行くんです。しかも、浅見さんの作品も一緒に展示します!」
「えー!」「ほんとに?」と最初は驚いていたものの、しかしすぐに笑顔に変わって、拍手!自分たちの作品がギャラリーに飾られる、ましてアーティストの作品と一緒にだなんて、児童たち全員がはじめてのこと!アーティストを先生にむかえての授業だけでも楽しみにしていたけれど、また新しい期待が増えた様子です。

次回からは制作も本格化!校庭での授業、お天気が良いことを願って。
本blogの更新も、ぜひお楽しみに。


photo: Kozo Kaneda


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〈樹々あそぶ庭々〉
第13回アーティスト・イン・スクール
校庭の樹-墨の点々で描こう 
浅見貴子×川口市立芝樋ノ爪小学校5年生29人 
成果発表展@川口市立アートギャラリー・アトリア
2018年11月10日(土)~12月9日(日) 
10:00~18:00(土曜日のみ20:00まで開館)
観覧無料
※関連展示として講師作品展〈日々の樹-生々を描く庭〉を先行公開 10月27日(土)~
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本事業に関する過去の記事↓

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by atlia | 2018-10-04 16:19 | 学校×アトリア