講師に浅見貴子さん(画家)、対象校には芝樋ノ爪小学校5年生29人をむかえて活動中です。
浅見さんの普段の制作である「身近な樹木を描く」「和紙に墨で描く」というところから、《校庭の樹-墨の点々で描こう》というテーマでスタート。
本ブログでは授業の様子を随時レポート、さっそく初回の様子をお届けします。
これから墨をつかって校庭の樹の絵を描こうと思うけれど、私は絵の描き方は教えません、と話をはじめました。
筆の使い方や墨の特性、ちょっとしたコツなど基本的なことは教えるけれど、あとは工夫次第。自身も失敗を繰り返して今の制作を続けているから、みんなもどんどん挑戦して・試して、失敗を恐れずにやってみることが大切、と前置きします。
筆を転がすように描いたビリビリ・ガタガタの線、それが紙に染みこんだときに裏側から見えた点の連なり。
はじめは失敗したかも?と思ったその表現を面白がってくれる人がいて、じゃあやってみようかな、と試行錯誤しはじめたのが、今の樹木の作品のきっかけだとお話ししてくれました。
ビリビリ線はそのまま空気が揺れる様子になり、点の連なりは葉や光の動きになり。画面のなかで生き生きしてきたと言います(浅見さんの作品はこちらの記事でご紹介!)
身を乗り出すように作品を見ていた児童たちからは「なんかキレイ!」「点々は人が並んでるみたいにも見えるね」など、ちらほら感想が聞こえ始めます。
実際に自宅や近所に生えている樹木を直接見ながら描いたというそれには、不思議な色がつけられています。3日前に見た部分は水色で描いたから、今日は紫で、なんていう風にメモしている、とのこと。浅見さんは「対象をじっくり観察して描くと面白い」と言います。
待ってました、とばかりに、自分が持ってきた筆を取り出す児童たち。書写でつかうもの・水彩でつかうものなど、様々な筆が机に並びます。それと同時に1枚の和紙と画板を受け取って、準備完了!これに、まずは筆で点々を描く練習です。
浅見さん、「筆は上の方を持つと良いです」「紙からすぐ離したり、じっと置いてから離すと滲みかたも変わります」とアドバイス。
しかし児童たち、最初はおっかなびっくり。こういう感じでいいのかな?と顔を見合わせ、筆も少々緊張しています。
「水で墨を薄めると、どんどん色がかわるから試してごらん」「点に点を重ねたり、近くに置いてみるとまた違う感じになるよ」と声をかけながら、浅見さんも一緒に筆を動かします。
わりばしをカッターで削りつけペンの要領でつかう、わりばしペン!これがあると毛筆ではなかなか描けない細くて鋭い線が描けます。
先端が平たいものと尖ったものの2種を受け取って、これも試し描き。ひょろひょろ線やまっすぐ線が点々の間を通って、なんだか違うリズムが生まれはじめました!
次の授業では校庭に樹木をスケッチしに行こうと言った浅見さん、宿題として「今日覚えた点々や線で描いてみたら面白くなりそうな、お気に入りの樹を見つけておくこと」と連絡しました。はい!と元気よく返事をした児童たち、どんなモデルを見つけてくるでしょうか?
そして最後に、スタッフからも重要なお知らせが。この授業は全部で5回あるけれど、浅見さんはあと3回しか学校にきません、とお話しします。今日で1回・残りは4回…あれ、回数が合わない?
「最後の授業は学校じゃなくて、アトリアでやります!何をやると思いますか?」え、なんだろう?すぐに答えが浮かばない児童たち。
「それはね、自分たちの作品が飾られているギャラリーの見学に行くんです。しかも、浅見さんの作品も一緒に展示します!」
「えー!」「ほんとに?」と最初は驚いていたものの、しかしすぐに笑顔に変わって、拍手!自分たちの作品がギャラリーに飾られる、ましてアーティストの作品と一緒にだなんて、児童たち全員がはじめてのこと!アーティストを先生にむかえての授業だけでも楽しみにしていたけれど、また新しい期待が増えた様子です。