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ATLIA STAFF BLOG
第7回新鋭作家展 アーティストトーク開催

7回新鋭作家展「見しらぬ故郷/なじみの異郷」の最終日、92日の14時から、出品作家の力石咲さんと津田隆志さんによるアーティストトークを行いました。

まず展示室Bに入り津田さんからトークをスタート。今回の展示〈mirror / river_旧芝川〉のメインといえる周囲の風景が写り込んだ川面を捉えた写真作品について、その発想のきっかけから、実際の撮影の様子、以前名古屋の川で同様の撮影を行った時との違いなどをユーモアを交えながらテンポよく解説していきます。

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その後、順路を逆にたどるように展示室をめぐり、事前イベントで撮影された水鏡による肖像写真では古代ギリシャのナルキッソスの神話などから人間と水鏡の長い歴史にも話しが及びました。

また、フィールドワークで見出したさまざまなものを配置した空間では、作者本人が「作品未満」と呼ぶそれらのものについて、取材中の体験や実現しなかったアイディアとの関連を説明。しかし展示ではあえて説明的な要素を付け加えずに、鑑賞者が自分なりに展示物同士の結びつきやストーリーを考える余地を作ったとのこと。自分の考えの表明・主張よりも、鑑賞者に何かに気づき考えるきっかけをもたらしたいという、津田さんの制作姿勢につながる話しで締めくくられました。

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その後の質疑ではいくつかの質問が出されました。中でも旧芝川の近くに長年住むという参加者から出された「写真の旧芝川は実際に比べて美しすぎるのではないか」との意見は「汚い川でも水鏡の写真では美しく見える。むしろそのギャップよってさまざまなことを考えさせたい」という答えとともに、このプロジェクトの本質をつくものとなりました。

会場をスタジオに移した力石さんのトークは、はじめに全体的なことを話し次いで個々の展示物について解説するという構成。

作品にニットを使う理由やこれまでの作品展開、地域と関わる活動についての考えなどを述べた後、これまでとは違い室内中心の展示となった川口での活動の進行と、それに伴うプランの変化について、時折メモに目を落としながら丁寧に説明していきます。

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リサーチによって見いだしたさまざまな自分が「川口らしい」と感じるものを会場に集めることによって「川口のまち」を表し、それらを鋳物の溶けた鉄を象徴する色の毛糸で編みくるむプランに最終的に落ち着いた、というところでトークはそれぞれの展示物とその編みくるみ方の工夫などの解説に移ります。

その中には事前イベントの参加者に持ち寄ってもらった、その人にとっての「川口らしいもの」もあり、その人の考えた編みくるみ方がなされている、またそれ以外のものでも一般の来場者の手によって編みくるまれている部分もあり、展示全体としては単純に「力石咲の作品」とはいえないとのこと。むしろ多くの人とその歴史が自分や土地と関わる入り組んだ構造が〈ニット・インベーダー〉の面白さであると考えている、という作者の考えも表明されました。

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質疑では「実際の鋳物で使う溶鉄の色はもっと白い。毛糸の色は温度の下がった状態ではないか。」という質問が鋳物関係者から出され、力石さんが「実際の色の再現よりも内部から光を発する感じを何とか毛糸で表すことを優先したため、明るい黄色を選んだ」と答えるという、鋳物のまち川口ならではの一幕もありました。

          
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第7回 新鋭作家展 見しらぬ故郷/なじみの異郷
2018年7月14日(土)~9月2日(日)
出 品 者 力石咲・津田隆志


by atlia | 2018-09-09 11:29 | 企画展