公式ホームページへ
ATLIA STAFF BLOG
たのしい実技講座[竹を編む]を開催しました①
展覧会〈アートな年賀状展2018〉関連イベントとして、日本の縁起物である「竹」に親しみ2日間をかけて籠をつくる実技講座を開催しました。ものづくりのプロセスを本格的に学ぶべく、タイトル通りに「竹を編む」だけではなく籠の材料となる「竹ひごづくり」から体験します。
c0222139_15433876.jpg
講師は若手の竹職人である石山好美さん。郷里に伝わる「房州うちわ」の技術を受け継ぐ傍ら自身の工房も構えて籠やオブジェなど多彩な竹細工を制作しています。
竹の採取から始まる制作工程の写真や作品の実物を見ながら、普段の仕事についてお話を伺いました。日本各地に分布し、私たちの身近に生えているイメージがある竹には実は様々な種類があり、加工に向き不向きがあるほか、採取の時期や1本1本の状態、採取後の下処理や保管の仕方などいくつもの条件をクリアして初めて使用に耐える材料となるそうです。編むことで見えてくる材料の性質に合わせて制作の方針を変えることもあり、自然と向き合いながら全ての工程を自身の手で完結させられることに竹細工の醍醐味を感じているのだとか。





c0222139_15434558.jpg
参加者たちは竹を割るところから挑戦。石山さんの手入れが行き届いた竹は緑が鮮やかでつやつやと光っています。今回つくる籠には長い竹ひごが必要ですが、まずは短い竹で練習。最後にひごの幅を微調整することを踏まえ、少し広めの間隔で竹の小口に印を付けていきました。
c0222139_15435050.jpg
付けた印に沿ってナタを入れ、等間隔で割っていきます。ナタを垂直に下ろすことに成功すると亀裂が先端までひとりでに進んでいき小気味よくパカリ!なるほど、「竹を割ったような性格」とはまさにこれだと実感しつつ、ここまでは順調です。
c0222139_15435746.jpg
ところが竹を「剥ぐ(へぐ)」段階に進むと状況は一変!竹の皮と「身(み:皮の内側の部分)」を分けるようにナタを入れていくのですが、進む方向をコントロールできずに厚みが不規則になってしまいます。ナタを交代で使いながら参加者同士で励まし合い、石山さんの手助けも借りながら何とか各自1、2本のひごをつくることができました。
c0222139_15440502.jpg
今度は本番として、長い竹を使って同じ作業をしました。ナタを進める距離が倍以上あるため悪戦苦闘!斜めに割れてしまったり、剥ぐうちにどんどん薄くなって途中で切れてしまったり。集中力の要る作業にいつしか額に汗が滲みますがナタをうまく入れられた瞬間、独特の澄んだ音とともに竹の繊維がするすると裂けていく感触に笑みがこぼれました。仲間と称え合い、会場全体が和やかな雰囲気に包まれます。
c0222139_15550102.jpg
しかしこれで終わりではありません。竹ひごを仕上げるまでの工程は更に3つ、丸太に突き立てた2本の小刀の間にひごを通して幅を均等に揃える作業、側面のささくれを取る作業、皮の内側に残った身を小刀でそいで厚みを均等にする作業を経てようやく1本が完成します。ひごを扱う指の感覚と正確さが問われ、わずかなズレでひごが先細ってしまったり長さが半分になってしまったり。「ああ~っ」という落胆の声とともに難しさを痛感しましたがそれもそのはず。竹ひごづくりは「竹割り3年」と言われるほど習得に時間がかかる、高度な技術なのです。

籠を編むのに必要な数十本のひごのうち1本でも幅や厚みが違っていたら編むうちに形が歪んでしまいます。今回つくった竹ひごは残念ながら次回に生かせませんが、心地よい疲労感とともに参加者の表情は晴れやかでした。苦心しながら籠づくりの第一歩を踏みしめたことで、「竹を編む」体験もきっと特別になるはず
c0222139_09195929.jpg

by atlia | 2018-01-16 10:45 | 鑑賞講座・実技講座