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ATLIA STAFF BLOG
AIS12:vol.5 「ぼくら」を伝えたい:35のタイトル
第12回アーティスト・イン・スクール(AIS12)の授業レポートも、いよいよ最終回。
ミヤザキケンスケさん(ミヤケン先生)と川口市立東本郷小学校6年生33人が取り組んだ「発信!コミュニケーション・ペインターズ-おっきく描こうぜ!ちいむ:ぼくらの絵」。
全5回の授業の最後は、発表展の会場であるアトリアに遠足!コミュニケーションとしての「絵」、ここで本当の完成です。

2週間ぶりの授業にわくわく、児童たちは学校からバスに乗り込んでアトリアへと移動します。
貸し切りの路線バスが珍しいこともあって車内はとっても賑やか!早く作品とミヤケン先生に会いたいです。
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ギャラリーに着いたら、一番奥の部屋にまっすぐに入っていきます。
そこでミヤケン先生と「ぼくらの絵」が待っていました。「おぉー!」とすぐに挙がる歓声!

さてさてここから授業は本番です。壁にかかった作品を前に座り、まずは制作の振り返りを行いました。
「作品、思ったより大きくない?これみんなで描いたんだよ、すごいよね」と、ミヤケン先生がはじめます。
「はい!」とすぐに返事をした児童たち、そういえば床に這いつくばるようにして描いてばかりいたので、こうやって眺めるのは初めて。壁をいっぱいしている作品は、座って眺めていると首が痛くなっちゃいそうなくらいのサイズ!自分たちが描いたもののはずなのに、なんだか感心してしまいます。
「僕は、美術館とかそういうところに自分の作品を飾られるってこと、夢だったから。みんなはもうそれを実現しているんです。それもすごいことだよ」





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この経験をどこか頭の片隅にでも留めておいてほしいと言ったミヤケン先生。
特別な経験になるだろう今回の作品、だから制作中の児童一人ひとりの様子も、実はすごくよく見てくれていたのです。
「ハートはシンボリックな仕上がりになりました、まさに中心っていう感じで迷わず描けてたね」
「縄跳び係は面積がすごい広いのに少ない人数でやってくれてて、勢いがあったし」
「空も超ひろいのに2人とかで大変だったと思う、雲もたくさん描けて、よく頑張りました」
「虹の係はすごい仕事が早かったね。人数もいたし、他の部分を上手に手伝ってくれる人がたくさんいた」
「ファームの担当は野菜の色をすごくこだわってつくってくれたこと、いもとか、よく覚えてるよ」
「校舎も色がすごく面白いよね、ここも僕は何も言わなかったけど、2人でうまく決めてたよね」
「富士山と、そのうえのK-1もいいよね、人の並びかたとか超ユニークだし、青が混じらないようにしたりとか」
「その隣の遊具はすごく計画的に進めてたと思う、3人の話し合いが生きてたよね」
「校章は漢字と稲のバランスが難しいけど、縁取りとか入れてきれいに仕上がった」
「花のところは僕が色々言っちゃったこともあったけど、色が作品全体を引き締めてくれてます」
すべての係について、ミヤケン先生は仕事ぶりにコメントしました。児童たちからはその係へのあたたかい拍手がおくられます。
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作品の全体を振り返り、それぞれの役割を認め合ったところで、ミヤケン先生は「最後の仕上げをしないといけない」と言いました。
それは、タイトルをつけて、サインを入れること!
「最後は、オンリーワンゲームの文章版!それぞれのタイトルをつけてください!5分!」
タイトル、それに込めた思いや他の人にぜひ見てほしいポイントを書くための用紙が配られ、ゲームがスタート!
真剣な顔で取り組む児童たち、打って変わって静かに…絵を見ながら考えつつ、鉛筆を動かしました。ギャラリーにかつかつと書く音が響きます。
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「じゃ、発表してくれる人ー?」とミヤケン先生が声をかけると、「はい!はい!」とたくさん手が挙がります!
「わたしがつけたタイトルは、《ちいむセカンド みんなのおおきな思い出》です」
「ぼくのタイトルは、《なかよし東本(ひがほん)》です。みんな、仲良しだから!」
「《世界にひとつだけのみんなの東本郷小学校》にしました。一人一人が絵を描いて、世界にひとつだけの作品になったから」
どのように作品と向き合い、制作した時間を捉えているのか。これを見てくれる人に、何を感じてほしいのか。
それぞれの視点がよくわかる、まさにオンリーワンのタイトルが33通り、児童たちから発表されました。
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そこに担任のヒガシ先生と、もちろんミヤケン先生が考えたものも加わって、全部で35個になった「おっきなぼくらの絵」のタイトル。
すぐに作品のそばにある小さな衝立にすべてのカードが賑やかに貼り出され、会場にきたお客さまにも読んでもらえるようになりました。
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授業を振り返ると、作品がこのタイトルたちと同じようにまとまったいったことを思い出します。
それぞれの視点や意見を持ち寄り、互いを認め合う。譲り合いながらも、それぞれが役割を果たす。
個人が全員に認められること、そしてたくさんのコミュニケーションのなかで、作品はどんどん成長していったのです。

最後にミヤケン先生が代表して、作品にサインを入れました。
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「2017.11.11 M.Kensuke 東本郷小学校6年1組のみんな」
自然と起こる拍手と歓声。ここに「おっきなぼくらの絵」が本当の完成をむかえました。


ミヤケン先生と東本郷小学校6年生が多くの時間と気持ちを重ね合って完成した作品は、その35通りのタイトルとともに、アトリアで公開しています。
今、まさに発信中!コミュニケーション・ペインターズの表現、多くの人に、伝わりますように!

ぜひ会場で彼らの表現に出会ってください。また、「アートウォッチングカード」にメッセージを記入いただくと、
彼らのもとへと届けられ、授業に役立てられます。彼らのコミュニケーションに加わって、お楽しみいただけましたら幸いです。



photo: Kozo Kaneda

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第12回アーティスト・イン・スクール
発信!コミュニケーション・ペインターズ ―おっきく描こうぜ!ちいむ:ぼくらの絵
ミヤザキケンスケ×川口市立東本郷小学校6年生33人 
成果発表展@川口市立アートギャラリー・アトリア
2017年11月11日(土)~12月10日(日) 
10:00~18:00(土曜日のみ20:00まで開館)
観覧無料
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このプログラムの過去記事はこちら↓から
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by atlia | 2017-11-24 15:25 | 学校×アトリア