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ATLIA STAFF BLOG
AIS12:vol.1 描き出す一歩:うまく描かなくていい。伝わればいい。
9月末から授業がはじまりました、第12回アーティスト・イン・スクール(AIS)。
今年は講師にミヤザキケンスケさんをおむかえし、川口市立東本郷小学校6年生33人が、コミュニケーションとしての「絵」を体得しながらおっきく描く「ぼくらの絵」に挑戦!
本ブログでは授業の様子を随時レポート。今回は1回目の授業の様子をお届けします。

授業初回ということもあってちょっと緊張のスタッフたち、まずは最初のご挨拶です。
ミヤザキさん、小さい頃から「ミヤケン」というあだ名で呼ばれていたということで、今回もこの授業では「ミヤケン先生」と自己紹介。
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それにこたえるように、児童たちは「ちいむー!セカンドー!」のポーズを披露。
ミヤケン先生、すぐにポーズをマスターして、クラスのノリノリな雰囲気にさっそく溶け込みつつあります。フレンドリーな空気で授業スタート!
ちなみに「ちいむセカンド」とは、東本郷小学校6年生の学年目標のこと。「ちいむ」の「2年目」だから、とのこと。(「ちいむ」については記事vol.0 で!)




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ミヤケン先生、さっそくスライドをつかって自身の作品を紹介しながら、今までの活動についてお話をしました。
小さい頃から絵を描くのが好きだったこと。ぱっとみて誰もが幸せになれるような絵を描きたいこと。
一人で描くのではなく誰かと一緒に絵を共有したいこと。
児童たちも真剣な面持ちでお話を聞きます。
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ミヤケン先生がこの日着ていたTシャツにある「OVER THE WALL」は、今まさに進行中の、世界中に壁画を残すプロジェクトの名前。
現地の子どもたちと一緒に大きな絵を描いてきたミヤケン先生、ここでもみんなと大きな絵を描こうと思う、と言いました。
「自分たちらしい絵を描くために、今から絵で考えていることを伝えるトレーニングをします!」

おもむろに配られたのは、なんてことないぺらっとした紙が1枚。指示されるまま、クレヨンを机に出す児童たち。
ミヤケン先生は「これはゲームだけど、最初にルールは教えない!まずやってみよう!」と言うなり、
「お題は、『春』です!3分で描いて!春を描いて!」え、もう?というか、それだけ?
「はい、スタート!」すでにストップウォッチを押してしまったミヤケン先生、あれれ、どうしよう?ちょっと戸惑う児童も見られます。
それでも「上手じゃなくていいよー」「何を描いたかわかればいいんだからね」というミヤケン先生の声に押され、なんとなくクレヨンを手に握って描きはじめました。
「15秒前―」…「はいストップ!」…3分って短いな!でも思ったより児童たちの手元の紙は色がついているように見えます。一斉に紙を持ち上げて、何を描いたか見せ合いました。
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「みんな、何、描いた?」桜の木、花が咲いた野原…など、ピンク色を選択した児童が多い様子。
ここでやっとミヤケン先生、これが何のゲームか発表します。「これはオンリーワンゲーム!同じお題でも、誰も描いてないものを描いた人が勝ち!」えー!?みんな桜描いちゃったよ!互いの顔を見合いながら、すぐそばの人が何を描いたか確かめ合う児童たち。
それでも何人か「すごい晴れた青空」「自分の誕生日会」など…ちょっと無理やり?…とは思えたものの、いくつかのオンリーワンが!

その後「夏」「赤いもの」など、いくつかのお題に挑戦しました。
どうやったら他の人と重ならない絵が描けるのか?自分が見つけられるオリジナルな視点がどこにあるのか?なんとなくつかめてきた児童たち。積極的にオンリーワンを目指して、発表の手を挙げていきます。
2回ほどのゲームでオンリーワンに選ばれた児童たちにはミヤケン先生特製ポストカードがプレゼントされたり、大盛り上がり!
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後半戦は、もう一歩踏み込んで、今度は「誰の絵が一番目立つか?ゲーム」!
これも同じお題で描く中でどんな絵が・誰の絵がぱっと見で人の心をつかむのかを競います。
「じゃ、お題は…『秋』にします!時間はちょっと長くして、4分ね!」ミヤケン先生の明快な指示のもと、すぐにクレヨンを動かすようになった児童たち。
少し考え中の顔の人もいますが、どんどん描けるようになっているみたい。「伝わることが大事だからねー」という言葉に、色や線・かたちも力強くなってきました!
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全員の絵を集めて、黒板に貼っていくミヤケン先生。「おーみんなすごいなー、個性出てるねー」
山、紅葉、どんぐり、きのこ、さんまの塩焼き、月にうさぎ…などなど、確かに秋は秋だけど、クラス中の絵が集まるとバリエーションが出ているのがよくわかります。
「さぁ、じゃ、この中でどれが目立つか、投票しましょう!目立つな、と思ったら拍手ね!1人2回までね」
ここで票が集まったのは、青い背景に描かれたさんま、思い切って線だけで描いたどんぐり、など。
「みんな赤っぽい色を選んでいる中で青が思いっきりくると、目立つよね」「色だけじゃなくて、線で目立つっていうのも、作戦だね」
この絵たちがなぜ目立ったのかを的確に説明するミヤケン先生の言葉に、ふむふむと聞き入る児童たち。
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このゲーム最後のお題「自由」では、もっともっと、児童たちの絵がオンリーワンになっていきました。
4分という限られた時間が長く感じられるようになってくるほど、絵が完成している感じ!
描き終わると早くみんなの絵が見たい、黒板にはり出すのを積極的に手伝ってくれる人もいます。
「どーしよう、こんなにすごい絵がみんな描けると思わなかったよ、迷うね、みんないい感じだよね」とミヤケン先生も驚いている様子。
でもここはゲームです、同じく拍手で5人の「目立ったで賞」を全員で決めました。
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「この中で、図工がちょっと苦手だな、っていう人、いますか?」ミヤケン先生は、最後にそう話を切り出しました。
クラスの半分くらいから手を挙がったのを見て「でもさ、今のゲームで、全然描けなかったって人は一人もいなかったよね」…そういえばそうだな?
うまく描かなくていい、伝わればいい。ゲームの間、ずっとそう言い続けてきたミヤケン先生。
「絵っていうのは、他の誰かとコミュニケーションができる、そういう力があると思います」
ゲームに勝とうと自分を押し出すこと、他の人が何を描くか気になること、そして誰かが描いたものを受け取ること。
たった3.4分で絵を描いて発表しあう、それを繰り返すだけで確かに色々な気持ちが生まれ、迷うことがなかったような気がします。

「絵って、オリジナリティとコミュニケーションだと思う。今日、みんなはそれが良くできていたと思います。すごい絵がたくさん生まれたし」
ミヤケン先生は「自由な絵」が並んだ黒板を見て、とてもうれしそう。
「次回から、もっと自分たちらしい絵を見つけていきましょう。そして、おっきくおっきく、それを描こう」

初回の授業はこれで終了!90分がなんだかとっても短く感じるくらい、たくさんの絵が生まれ、共有されていきました。
次回にまたどんな絵が生まれるか、期待が高まります!



photo: Kozo Kaneda

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第12回アーティスト・イン・スクール
発信!コミュニケーション・ペインターズ ―おっきく描こうぜ!ちいむ:ぼくらの絵
ミヤザキケンスケ×川口市立東本郷小学校6年生33人 
成果発表展@川口市立アートギャラリー・アトリア
2017年11月11日(土)~12月10日(日) 
10:00~18:00(土曜日のみ20:00まで開館)
観覧無料
※関連展示として講師作品展〈カラフル・ザ・ワールド!〉を先行公開 10月28日(土)~
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このプログラムの過去記事はこちら↓から

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by atlia | 2017-10-11 15:05 | 学校×アトリア