ワークショップ「消して、見る 星空ドローイング」を開催しました
7月22日(土)、開催中の企画展〈第6回新鋭作家展 影⇆光〉の関連ワークショップ「消して、見る 星空ドローイング」を開催しました。講師は展覧会出品アーティストの金沢寿美さんです。金沢さんの作品は、これまでもご紹介してきたとおり10Bという最高濃度の鉛筆で、余白を残しつつ新聞など、日常の中にありふれた紙を塗り消すことによって星空のようなドローイングをするというもの。
作品の制作過程というと、ひたすら鉛筆で紙を塗る…そんな一見単調な行為です。しかし、じっくり続けていくうちに「日常の時間と離れて光を感じる瞬間がある」と金沢さんは言います。
今回のワークショップではそんな感覚を参加者の皆様にしっかり味わっていただくため、たっぷり時間を取って、展示室の静かで落ち着いた環境の中行われました。
まず初めに、参加者各自持ち寄った「自分の日常の中にあった紙」について紹介しあいます。
「クラフトビールが好きなので、定期的に取り寄せている納品書を持ってきました。」
「私たちの身のまわりって、番号が溢れかえっているなと思って…マイナンバーの封筒や、抽選番号の書かれた紙を持ってきました。」
「家にあったチラシや、買ったものに付いていたタグ、包み紙などを持ってきました。」
「テーマパークに毎年行っていて、使い終わったチケットを持ってきました。」
などなど…
それぞれの日常が垣間見えたところでいよいよ「星空ドローイング」の開始です。
紙面のどこを塗り消すか、塗り残すかは自由です。文字の部分だけ塗り消したり、印刷された絵柄にそって絵を描くように塗り消したり、数字だけ塗り残したり、思い思いにドローイングを施していきます。
それぞれ、金沢さんとコミュニケーションをとりながら塗り続けること1時間以上、だんだん紙が「星空」になってきた頃、参加者の皆様の中にはどんな感情・思いが巡っていたのでしょうか。完成した「星空」を、全員で見せ合い、感想を話し合います。
「とにかく真っ黒に塗ってみたくて紙が疲れた感じになるほどひたすら塗りました。」
「はじめは分からなかったけど、だんだん日常の紙が別の何かに変わっていく感じが楽しかった。」
「ただ身近にあった紙が、星空になっていくのが面白くていろんな塗り方をしてみました。」
と、それぞれ自分の日常をたどりながら、非日常的な時間の中で生まれる不思議な感覚を感じていただけたようでした。
今回参加者がつくった「星空」は金沢さんがいったん持ち帰り、ワークショップ中に交わされた会話の中で出てきた言葉や完成した星空のイメージにあう新聞記事を選び、合体させるようにして手を加えてあらたな作品として展示に加えられます。
果たして、どんなコラボレーションが生まれるのでしょうか。
今後のブログで詳しくご紹介いたします。ご期待ください。
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第6回新鋭作家展 影⇆光
展覧会期2017年7月15日(土)~8月31日(木)
開館時間10:00~18:00(土曜日のみ20:00まで開館)
※その他詳細はアトリアHP「展覧会」ページをご覧ください.