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ATLIA STAFF BLOG
時間の位置の物語(7)―《漂う時間の時間》
平成28年秋の企画展/開館10周年記念事業第2弾〈河口龍夫―時間の位置〉、会期終盤。
本展がより楽しめる情報をスタッフ目線でお届けする「時間の位置の物語」も、気づけば連載7回目。
今回は本展の会場にあるからこそ!より意味を強くする作品として《漂う時間の時間》を紹介します。

本展は3つのゾーンに分かれて構成されています。
最初の部屋「闇への地下時間」は、この連載でも何度か紹介してきた《DARK BOX 2016 ―地下からの闇》(連載第1回目第4回目を参照!)を中心に「地下」「闇」をキーワードにした作品が並んでいます。
次の部屋「推移と水位」は《石になった森》をはじめとした化石のフロッタージュがぐるりと壁にある部屋。「折り重なる時間」への導入となる、本展の中心部です。
最後の「浮遊する時相」と題された部屋は外が唯一見える空間。今まで足元にあった時間たちが「階段」をあがって空中へ、文字通り「浮遊する」ような不思議な時間を表現しました。

本展の中心部、と紹介した「推移と水位」という部屋の、さらに中心に位置しているのがこの《漂う時間の時間》と題された作品なのです。
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特徴的な黄色(カドミウムイエローと言います)と白い時計のコントラストが印象的な本作は、長方形を少し変わったかたちで仕切っているようです。

実はこれ、アトリアのかたち。正確にはこの展覧会の展示空間のかたち、と言っていいでしょうか。
館内マップ(画像荒くてすみません)と比べてみると…
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ちょっと向きが異なりますが、赤く囲った部分が本作で立体化された部分です。館内の作品はこの範囲で並んでいるのですね。

《漂う時間の時間》では、当館の展示室(3つのゾーン)それぞれに異なる深さで水がはられています。そこにはいくつかの時計が浮かび、これもすべて異なる時間を示しています。
拡大してみてみるとこんな感じ。
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時計と同じく水に浮かぶのは、鉛で包まれた蓮の種。この「蓮の種」も河口作品にはよく登場する存在。
鉛で封印され発芽を止められた種子は、自身の時間を既に「止めた」のか、あるいは一次的に「止めている」のか。

スタッフがこの作品について話をするときは、時計はお客様自身です、と申し上げます。
異なる時間を刻む人々が、同じ「時間の位置」に設定された部屋の中をふよふよと漂うように共存している空間。そこには鉛によって封印され時を止めている存在――つまり「作品」たちのようなもの――も一緒に浮かんでいます。
漂う時間の中では、時にぶつかりあうこともありますが、うまくつながって止まったり移動したり、絶えず動き続けているのです。
これを、展覧会の中では、「いくつかの水位のなかを、見る者自身が漂い、推移する」と説明しています。本作が設置されている部屋「推移と水位」というタイトルの由来です。

実は本作、この作品のためだけにつくられたのではありません。水をはってタイトルがつけられる前は、展覧会の計画をするためにもつかわれていたのです。
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これが先ほど拡大した場所と同じ位置。こうしてみると、模型らしい役割をしていたのですね。
壁には展示しようと考えた平面作品がずらっと並んでいます。もちろん縮尺も正確。
よくご覧いただくと、右側の部屋(「闇への地下時間」の部屋)に、小さな《DARK BOX 2016 ―地下からの闇》、左側の部屋(「推移と水位」の部屋)にはこの《漂う時間の時間》が、それぞれ中心に置かれているのも分かりますね。
丁寧に展示を構想し、空間をつくろうとした痕跡が、この作品とも言えるかもしれません。

このように展覧会の構想を設計した模型が、展覧会そのものの状態を表す作品となる。
河口さんの制作には、およそ「習作」(作品にはならないけれどその制作の練習をしたもの)のようなものが無いように思えます。すべてが作品へと昇華していく、そんな印象。
展覧会そのものだってそうです。アトリアの空間をも作品化しようとした、そういう気持ちが、この作品からは感じられるよう。

この空間に飛び込めるのも、残りわずか1週間!ここでしかできない体験を、ぜひどうぞ。


(《漂う時間の時間》(1枚目・3枚目)撮影:齋藤さだむ その他資料・記録はスタッフ撮影)

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川口市立アートギャラリー・アトリア
開館10周年記念事業第2弾/平成28年秋の企画展
〈河口龍夫―時間の位置〉

時間は、現場に掘り起こされる。

2016年10月8日(土)~11月26日(土)
10:00~18:00(土曜日のみ20:00まで開館)

休館日:月曜日(ただし10月10日(祝)は開館、翌11日(火)は休館)

観覧料:300円(高校生以下無料)
※開館10周年記念リピーター割:当館ロゴの入っているチケットやチラシ(本展のものを除く)を受付でご提示いただいた方は半額(他の割引制度と併用不可)
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by atlia | 2016-11-20 12:18 | 企画展