第6回目は10月30日(日)に開催いたしました[トークセッション いとおしき「時間」たち]をレポート。
ご登壇いただいたのは、ご存知、作家の河口龍夫さん。
![時間の位置の物語(6)―レポート!トーク[いとおしき「時間」たち]_c0222139_17212014.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201611/03/39/c0222139_17212014.jpg)
![時間の位置の物語(6)―レポート!トーク[いとおしき「時間」たち]_c0222139_17215651.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201611/03/39/c0222139_17215651.jpg)
近年では工芸を中心としたアートを「いとおしさ(インティマシー)」というキーワードで読み解く著書などを発表している方で、今回のトークテーマである「いとおしき「時間」たち」もそこから頂戴したものになっています。
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最初の話題は「闇」について。
本展の機軸となった《DARK BOX 2016 -地下からの闇》を制作したワークショップを振り返りつつ、「見えないものを可視化する」という姿勢についてお話くださった河口さんの話を起点に、《DARK BOX》の連作についてのお話。
初日のワークショップで真っ暗闇を一緒に体験した建畠さんからは、その時の身体の感覚が「まるで浮遊しているような」感じであったという感想が述べられました(ワークショップの様子は連載第4回目で!)。闇の中では何も見えない、いやしかし、闇が見えている、という感覚に気付いた、というのはそれに対する河口さんの返答。
人にとっては見えないけれど身体・精神を拘束している稀有なものとしての、闇。そして、同じ特徴が時間にも挙げられる、と河口さんは述べました。闇の中で認識したのは、自分の身体であり、その「時間」ではなかろうか、と。
自分が持っている時間は有限です。それは全く公平にそれぞれの人に存在している、と河口さんは述べました。だから自分の時間を振り返ることもしてみたい、他者の時間に触れることもしてみたい。
特に話が盛り上がったのは、《「陸と海」からの時相》という作品について。自身が45年も前に撮影した写真作品に、2016年の今、続きを鉛筆で描いていった作品ですが(作品についての簡単なご紹介は連載第2回目で!)、これをご覧になった鞍田さんはゲーテのある詩を思い出していたそうです。
そのエピソードは、自身が若い頃に訪れた山小屋の壁に書いた詩が、約50年経って同じ場所を訪れた際に、まだそこに残っていたのを発見し読み直した、というもの。
振り返るからこそ、見出せることがあります。そして、新しい意味を自身の手によって見出すこと…芸術家としての生き方が、造形としてそれを提示させるのかもしれません。
建畠さんは《陸と海》そのものも素晴らしい作品だ、と続けました。それを見出した作家についてはもちろん、作品が発表された展示〈人間と物質〉についても言及しました。
それを企画し成功させたは、河口さんを世界的作家に導いたとされる美術評論家の中原佑介さん。残念ながらお亡くなりになりましたが、美術評論家と作家の関係として、大変稀有な、あるいは理想的なつながりが2人にはあったといいます。
中原さんも今日来ているかもね、と言った河口さんは、プレッシャーを感じると言いながらも、どこか楽しそうな表情。晴れ晴れとした態度からは言葉をつくる評論家への尊敬の念さえも感じるようでした。
![時間の位置の物語(6)―レポート!トーク[いとおしき「時間」たち]_c0222139_9114593.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201611/05/39/c0222139_9114593.jpg)
まだまだ聞きたいと思える内容ばかりでしたが、大変早く感じる1時間半となりました。この記事でも全部は紹介しきれなかったなー!申し訳ありません。
建畠さん・鞍田さんの河口作品への視点は、ぜひ展覧会図録で。加えて、河口さんのエッセイも掲載されていますよ。会場でぜひご覧ください(図録のお話は連載第5回目で!)。
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展覧会図録
特別価格:500円(税込)
編集:秋田美緒(川口市立アートギャラリー・アトリア)
翻訳:工藤亜由美
撮影:齋藤さだむ
※一部編集者撮影
デザイン:中新(Lallasoo Poopo Lab.)
印刷・製本:有限会社山北印刷所
※ご予約いただいているお客様への発送を完了しました!
お手元にまだ届いていないよ、という方は申し訳ありません、お問い合わせくださいませ。
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川口市立アートギャラリー・アトリア
開館10周年記念事業第2弾/平成28年秋の企画展
〈河口龍夫―時間の位置〉
時間は、現場に掘り起こされる。
2016年10月8日(土)~11月26日(土)
10:00~18:00(土曜日のみ20:00まで開館)
休館日:月曜日(ただし10月10日(祝)は開館、翌11日(火)は休館)
※10月12日(水)、11月1日(火)に展示替え予定
観覧料:300円(高校生以下無料)
※開館10周年記念リピーター割:当館ロゴの入っているチケットやチラシ(本展のものを除く)を受付でご提示いただいた方は半額(他の割引制度と併用不可)
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![時間の位置の物語(6)―レポート!トーク[いとおしき「時間」たち]_c0222139_1556160.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/201610/29/39/c0222139_1556160.jpg)