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ATLIA STAFF BLOG
時間の位置の物語(4)―レポート!ワークショップ[闇を封印する]
好評開催中、平成28年秋の企画展/開館10周年記念事業第2弾〈河口龍夫―時間の位置〉。
本展がより楽しめる情報をスタッフ目線でお届けする連載:「時間の位置の物語」、はやくも第4弾!
今回は10月8日(土)、オープン初日に行ったワークショップ[闇を封印する]のレポートです。

ワークショップ[闇を封印する]では、本展で初公開となる注目作品《DARK BOX 2016 ―地下からの闇》の仕上げを行いました。
当館のまさに隣で建設中の「並木元町地下調整池」にできる闇を、川口市の鋳物技術を生かした箱によって封印する(切り取る)ことで、本作は完成します。その構想・意志については、第1弾記事をご参照くださいね。

さて、本番当日、午前中は雨だったものの、午後が近づくにつれて晴れてまいりました!
今回は講師としてご一緒いただく河口龍夫さんは、相当な晴れ男だとか。少し霧雨っぽく残ったものの、無事に工事現場にアクセスすることができそうな天気に。

まずはアトリアの建物内で、今回のワークショップの意図・作業工程、さらにこれから降りていく「雨水調整池」のお話をしました。
今回は川口市下水道部の全面協力!工事担当者の方から、このインフラ整備の理由などをお話しいだきます。
さらに、調整池内で何を行うのか簡単にお話ししてくださったのは、協力者の河口祐毅さん。いつもDARK BOX封印のワークショップをコーディネイトしている方です。
20本のボルトによって固定されるDARK BOXの底と蓋ですが、そのボルトの1本ずつを参加者が担当する、というお話をいただきました。

と言っても、すぐにはピンと来ないかも?ということで、実際に工事現場へ移動。もちろん全員ヘルメット!
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ここから地下30mに階段で潜っていきます。コンクリートの階段室を慎重に降りると…
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とても広い空間にでます。ここが実際に雨水がたまっていく水槽の部分。圧倒的なスケール感!

DARK BOXの底と蓋は、その中でも雨水の入り口として少し凹んだ小部屋のように設計されている部分に置かれました。
参加者と講師・協力者が入るともういっぱいになるほどの大きさの空間です。
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懐中電灯で照らしながらBOXの準備。

まずはリハーサル。参加者のみなさんはそれぞれに番号とボルト・ナットのセットをもらいます。全部で20本あるボルトはそれぞれに番号がつけられており、対応する穴に自分の手でボルトを入れ、ナットで締めていくのです。
最初はそのボルト・ナットの使い方に慣れるため、あるいはBOXとの距離感をつかむため、目をつむってその作業を練習してみます。何故目をつむるのかって、それは本番は真っ暗闇で同じ作業をしないといけないから。
こわごわBOXと小空間の壁を行き来する参加者のみなさま。
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ボルトを蓋側から落とすように入れ、ナットを下からあてがって回します。
どきどきしていると、結構時間がかかるもの。「ナットを落としそう!」などという声も聞こえてきます。本番、大丈夫かな?

懐中電灯を落とせば、辺りはもう真っ暗です。普段は経験したことのないほどの暗闇に、ちょっと驚く参加者も。
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もちろんカメラにも何も映りませんね。いや、闇が写っていると言うべきでしょうか。

視覚で捉えられる情報が闇だけである以上、「音」が重要な役割をしはじめます。講師・協力者によってBOXの上下が合わされるのも、鉄やパッキンの擦れる音が耳に届くことで感じるのです。
ここで重要なのは、自ら声を上げて自分の動きを知らせること。協力者の「闇が中に入りましたよ!1番のボルトの人からお願いします!」という声にならって、「では、1番、いきます」という、別の声。最初の参加者が暗闇の中でBOXへと近づいていったことがスムーズに知らされました。
続いて、かちゃかちゃというような金属音。ボルトと鉄の箱が触れあい、さらにナットが回る音です。
「閉まりました!」そして手探りで壁ぎわに戻っているだろう時間があり…「1番、戻りました。」
そして、2番、3番と参加者が続きます。小さな空間は、参加者の熱気で少しずつ暑くなっていくよう。
ナットを落とすのでは、という不安はどこへやら。少しずつ「あ、今触った!」といったような、少しの恐怖と戦うような声はするものの、闇のなか、ずっとそばで活動すると自然と人との距離が縮まるような感じがするみたい。

ようやっとすべてのボルトが閉まると、自然と拍手が起こります。
「封印が完了しました!電気お願いします!」ここで懐中電灯をつけると、一瞬、目が慣れずにとても明るく感じます。
中央には、まさに生まれたばかりの闇を抱えた、《DARK BOX 2016 ―地下からの闇》。

最後は調整池の中央に作品をおいて、記念撮影。
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こう見ると小さな箱かもしれませんが、多くの人の協力によって、今までにない「地下の闇」がここに切り取られたことになったのです。
これから先なかなか入れないであろう雨水調整池の中での制作は、地域にとって重要なポイントとなっただけでなく、DARK BOXシリーズの中でも特異な制作過程を踏んだものとなりました。
参加者のみなさま、ありがとうございました!

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本作はもちろん会場で公開しています。
不思議なのは、このBOXに闇が封印され、それを光の中で鑑賞している、ということ。
つまり、光の中で闇を認識するということ。河口龍夫さんは、わざとこの作品にスポットライトを当て、強く光と闇を感じるように展示しました。

闇が生まれた現場である地下調整池の中にはもう入れません。しかし、本作でその中にある闇と同じものと対峙することができます。
この現場に掘り起こされた、「闇の時間」。ぜひお楽しみに、会場でご覧くださいませ。

(撮影:齋藤さだむ)


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川口市立アートギャラリー・アトリア
開館10周年記念事業第2弾/平成28年秋の企画展
〈河口龍夫―時間の位置〉

時間は、現場に掘り起こされる。

2016年10月8日(土)~11月26日(土)
10:00~18:00(土曜日のみ20:00まで開館)

休館日:月曜日(ただし10月10日(祝)は開館、翌11日(火)は休館)
※11月1日(火)に展示替え予定

観覧料:300円(高校生以下無料)
※開館10周年記念リピーター割:当館ロゴの入っているチケットやチラシ(本展のものを除く)を受付でご提示いただいた方は半額(他の割引制度と併用不可)
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by atlia | 2016-10-16 10:55 | 企画展