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ATLIA STAFF BLOG
ここにも通信!作品・アーティスト紹介⑩
会期も終盤、開館10周年記念展〈ここにもアート かわぐち〉。
もはや夏日も近いかと思えるお天気の日もありますね。

連載「ここにも通信」、アーティストや出品作品を企画スタッフ目線でご紹介するシリーズも終盤です。
今回もアトリア会場から。山本智之さんの作品をご覧いただきましょう。

山本さんの作品は展示室内の壁一面に。3つのおそろいのサイズ、アクリル絵具で描かれた絵画です。
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正方形のキャンバスが整然と並んで、すっきりとした印象に。
強い色がつかわれているのにその表面が凸凹としていないことも、「すっきりさ」を強調するようです。

最新作は一番右側の《ほんの少し遠い昔》。
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夕暮れ時から夜へと変わっていく空の色が美しいですね。
画面の右上から左側に走り抜けようとしている列車が、「急行」らしく勢いをもってぐわっと迫ってきます。

しかしその勢いと同時に感じるのは、静けさ。
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中央に印象的に描かれている少女の顔は、どこかぺったりとしています。無表情とも言えないけれど、しかし、何を考えているかわからない。
風に吹かれている髪も、ばさばさともせず、異様にまとまってなびいており、いよいよ現実味がありません。
「すっきり」な平面は同時に「ぺったり」にも見えるのです。

どこかで見たような・知っているような場面だ。
しかし、どこかで夢にみたような、現実味のないシーンでもある。
でも、それが万人に共通するような、「ノスタルジー」を体現している。

山本さんは「変わってはいけない本質的なこと」を表現したい、と言います。
それは夢であり、あるいは物語ではないでしょうか。
矛盾するようですが、失わずにいたいものというものは、理想的なものとも言えるでしょう。
同時に、それは思い出であるとも言えるかもしれません。

あーこんなのあったな、あるいはこういう話読んだ気がするな、と思わせる要素がちらほらと描かれているのも憎いポイント。
例えば、チョークで書いたような、相合傘。
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電車にちらりと見える、人影。
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おっと、ここにはちょっと懐かしいかたちの電話も見えますね。

そういう細部にも、それぞれの物語を発見できる。
そこには、山本さんの思う懐かしさだけでなく、観る者の思う懐かしさも反映できる包容力があるようです。
どこか現実味がないという特徴があるからこそ、素直に自分の中にある思い出を反映出来るのかもしれません。
「ほんの少し遠い昔」の物語は、誰の心の中にも、ちょっとずつ存在している、はずなのですから。



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平成28年春の企画展/開館10周年記念事業
〈ここにもアート かわぐち〉

アトリアから作品が飛び出した!ここにも、そこにも、どこでも、アート!

今まさに発展を遂げているまち:川口で、みずみずしい感性のアーティストたちの表現があふれ出す!油絵・日本画・彫刻はもちろん様々な作品を市内の施設でご覧いただけます。
開催期間:2016年3月19日(土)~5月14日(土)
展示会場:川口市立アートギャラリー・アトリア、川口駅前複合施設キュポ・ラ内各所、川口市立グリーンセンター
観覧可能時間:施設によって異なりますので、下記施設のホームページへのリンクをご参照ください。


出品アーティスト:片庭珠実、角野泰範、馬場知子、山本智之、青木邦眞、高野浩子、佐藤裕一郎、杉田 龍、小林美樹、八田真太郎、後藤雅樹、羽山まり子、青木聖吾、遠藤研二、大和由佳、對木裕里、堀口泰代

展示会場リンク
施設名をクリックすると該当の施設のホームページへリンクします。
開館時間やアクセス情報をお確かめの上、ご来場ください。
川口市立アートギャラリー・アトリア 
川口市立映像・情報メディアセンター メディアセブン(キュポ・ラ7階)
かわぐち市民パートナーステーション
(キュポ・ラM4階)
川口駅前行政センター(キュポ・ラ4階)
川口市立グリーンセンター

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by atlia | 2016-04-27 11:19 | 企画展