3月22日(日)、天気予報は怪しかったものの、快晴!良いおさんぽ日和となりました。
一緒にまちを歩くのは、出品作家の川崎義博さん。
様々な場所で様々なものに耳を傾けながら、アトリアから駅までを歩きます。
最初は「音拾いさんぽって何したらいいの?」、少し不思議な顔をしている参加者のみなさん。
川崎さんは「とりあえずここは出て、まちの中を歩いてみましょうか」と、出発を促しました。
まずは「音を捉える」トレーニングです。
川崎さんはアトリアのご近所の公園で「ちゃりちゃり」と鳴るキーホルダーを取り出しました。
遠くまで歩いて、鳴らしてみる。聞こえたら手をあげます。高い音を捉える能力は、年齢が下であればあるほど高いと言われているそうです。
小学生のみなさんの方が聞こえる音が多い、と教えてくれた川崎さん。
耳の感覚がつかめたら、目を閉じて色々な「音」を聞いてみます。
そういうときは、音そのものや印象を絵にしてメモします。
どんどん駅の方へ歩いて、駅の連絡デッキの上へ。
西口に近づくにつれ、東口の賑やかさを過ぎて、自分の足音が聞こえるようになりました。
西公園で少し風景が広がって、ここでもしばらく耳をすませます。
さぁ、東口側へ戻ろうかというところで、今度は地下に降りてみようと川崎さんは提案しました。
天井の低い通路は音がよく響きます。ここでは声を出して、それが重なるのを実験しました。
東口に抜けると、最後は商店街を通ります。日曜日ということもあって、たくさんの人が行き交っています。
たくさんのお店があることは知っていたけれど、音がこんなにたくさん溢れていることを意識したことはありませんでした。
参加者さんのメモはどんどん埋まっていきます。最初よりも、ずっと「音」を捉える耳になっているみたい。
アトリアへ帰ってきたら、持ち歩いていたメモをもとに、《音の絵図》をつくりました。
今回は全員がたくさん描けるように大きな紙が用意されました。
一通り描いた後は、その《音の絵図》を囲んで鑑賞しながら、今日の感想をお話しました。
川崎さんは、まず絵図の中に描かれているものを見て、「これはどんな音?誰が描いてくれたの?」と質問します。
「普通の文字じゃ表現できなかったから、濁点をつけてみました」
「この音の印象は、こういう色っていう感じだった」
「鳥の声がたくさん聞こえた場所だったから、鳥を描きました」
それぞれに描いたものについて説明をきくと、印象に残っている音はもちろん、捉え方もさまざまだと気がつきます。
駅までの往復を1時間かけて「聴いた」あいだ、一緒に歩いていたけれど少しずつ感じるものが違い、それが面白い発見につながりました。
歩いていたときの感想を聞いてみると、
「普段、自分がいかに視覚に頼っているかがよくわかった」
「まちにこんなにたくさんの種類の音があるのには気がつかなかったです」
「自分よりも子どもの方がたくさんの音を聴けているみたいで驚きました」
これもさまざまな発見があった様子。
普段はここまで耳の感覚に頼ってまちを歩くことは、なかなかしないのだな、と、改めて気づいた瞬間。
さらに、その経験を話し合い、一枚の《絵図》にすることで気付きを共有することができました。
このアートさんぽで制作された《音の絵図》は企画展〈日常事変〉の会場で公開されています。
会期いっぱい展示しますので、ぜひご覧ください!
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春の企画展〈日常事変〉
2015年3月14日(土)~5月10日(日)
10:00~18:00(土曜日のみ20:00まで開館)
休館日:月曜日(ただし5月4日(祝)は開館、7日(木)休館)
観覧料:300円(高校生以下無料)