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ATLIA STAFF BLOG
やさしい鑑賞講座[画筆から生まれる美/筆の制作実演]を開催しました
11月9日(日)、開催中の展覧会〈川口の匠vol.4麗のとき〉関連として、やさしい鑑賞講座[画筆から生まれる美/筆の制作実演]を開催しました。

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講師は大阪国際大学准教授・財団法人筆の里振興事業団特別研究員の村田隆志さん。ご専門は、絵を描くための「画筆」の歴史とその書画表現への影響、近代南画史など。趣味として水墨画も描いていらっしゃるそうで、研究者の視点だけでなく描き手の視点も含めた研究をされています。

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村田さんはスライドで例をあげながら、画筆が現在のような形になるまでのいきさつをお話しくださいました。
江戸時代頃までは、竹の先を細かく裂いてつくった筆や、穂の芯毛に和紙を巻きつけた「紙巻筆」が普及していたそうです。その後、制作技術が向上し優れた筆師や牽引者が出現したことによって、私たちがよく見かける穂と軸で構成された「水筆」が「紙巻筆」に取って代わったのだとか。また、牧畜が発達し材料として得られる毛の種類が増えたことで、用途に合わせた多種類の画筆が生み出され、今日の日本画・水墨画の多様な表現を支えているのだそうです。

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日本画・水墨画を描いたことのない方にとっては、画筆の違いといってもピンとこないかもしれません。そこで村田さんは、出品者の関芳次さんが制作した画筆で紅葉や筍などを即興で描きながら、その使い心地の良さを解説してくださいました。
延々と続く細長い線や曲がりくねった線、毛先をボサボサにしたまま描く線など、書筆と比べ穂先の稼働域が大きい画筆。墨をたっぷりと保ちながら手の動きに素直に付き従ってくれる関さんの筆は、使えば使うほどその質の高さに驚かされるそうです。

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講座の後半は、関さんが筆の制作を実演してくださいました。
机の上に並べられた数多くの道具や毛束。関さんがそれらを順番に手に取り、1本の筆ができるまでの流れに沿って作業が進んでいく様子を見ると、筆の形状はシンプルであるにも関わらず多くの行程が必要であるということに驚かされます。
「手間をかければかけるほど良い筆になります。関さんの筆は本当に描き心地が良く、丁寧につくられていることが伝わってきます。」と村田さん。
日本画家や人形師との直のやりとりによって技を高めてきた関さんだからこそ、描き手の意図を汲み取った筆づくりができるのですね。

一本の筆に込められた匠の精神性と、そこから生まれる豊かな表現を知ることのできる講座となりました。

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次回のやさしい鑑賞講座[根付と粋の文化/掌中に宇宙を創造する]は11月16日。出品者で根付師の齋藤美洲さんを講師にお招きし、根付に見る日本独自の価値感やご自身の制作に対する思いについてお話しいただきます。また、講座の最後には実際に根付に触れることができる機会も設けます。

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根付と粋の文化/掌中に宇宙を創造する
日時:11月16日(日) 14:00~16:00
参加者:一般50名
参加費:300円
案内:齋藤美洲(本展出品者)
応募締切:当日先着順(当日13:30より受付)
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たくさんのみなさまのご参加をお待ちしております。
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by atlia | 2014-11-12 09:56 | 鑑賞講座・実技講座