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ワークショップ[螺鈿(らでん)で描くこころのかたち]を開催しました。
10月26日(日)、開催中の企画展〈川口の匠vol.4 麗のとき〉に関連したワークショップ、[螺鈿で描くこころのかたち]を開催し、小学3年生~6年生の11名が参加しました。

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講師は本展出品者で蒔絵師の豊平翠香さん。蒔絵とは、器などに漆で文様を描き、固まらないうちに金粉などを蒔いて定着させる技法です。長い時間をかけて幾度も塗り重ねた漆の上に端正な蒔絵を施し、伝統の技法とともに独創的な表現にも取り組んでいます。
今回のワークショップでは漆器の装飾技法の一つである螺鈿で、こころのなかにある風景や、素敵だと思う形を描きました。螺鈿とは、アワビや夜光貝といった貝の内側の真珠層を削ったものを貼り付けていく技法です。今回は黒い石にアワビの貝を貼り、世界に一つだけの宝物になるような作品をつくりました。

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まずは好きな石を選びます。同じような黒い石でも大きさや色の濃さが違うし、傷にも味わいがあってどれも個性的!見ただけで「これがいい!」と決める参加者もいれば、じっくりと触り心地を確かめたり一度選んだ石を「やっぱり違う」と選び直したりする参加者も。

次に、石に蒔絵用の筆を使って漆を塗っていきます。漆は直接触れるとかぶれてしまうことがあるため、注意しながらの作業です。線や点で絵を描いたり、石全面に塗ったりなど、塗り方も様々ですね。
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そして、塗った漆の上に貝を、先を尖らせた割り箸で貼っていきます。貝は2~3mm程度の大きさですが、近くで見ると赤や緑に輝いています。貝は角度によって輝き方が違うので、一番輝いていて綺麗だと思う角度のまま貼っていくのがコツです。
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ここでもう1つ、螺鈿の技法を教えてもらいました。机の上に出ている物よりももっと細かい貝を、粉筒という道具を使って漆の上に蒔くという方法です。2種類の大きさの貝を使い分けることにより、作品の表情もグンと変わります。
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参加者はみんな真剣に黙々と作業をしていました。まるで石や貝とこころのなかで会話をしながらつくっているようですね。
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漆を乾かしている間に、企画展を鑑賞しました。豊平さんの展示室では、本人からもお話を聞きながらの鑑賞でした。ワークショップで使ったアワビの削る前のものも展示してあり、参加者は興味深そうに見ていました。漆の活用法を発見したのは実は蜂だったこと、貝の輝きは海を伝って届く太陽の光の色であることなど、たくさんのことをお話ししてくださいました。
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最後につくった作品の鑑賞会。どの作品も個性的で、キラキラと輝いていますね!
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猫や馬などの動物、花や太陽を描いている作品もあれば、貝を石全体に敷き詰めた作品もありました。石の形から絵のデザインを思いついたり、漆を塗ったところに貝を貼らずに敢えて残すといったアイディア満載の作品もありました。
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漆も貝も、何千年経っても風化せずに残り続けます。今回のワークショップは、日本が誇る素晴らしい文化を体験できる貴重な時間だったことでしょう。今回つくった作品が、参加者にとって一生の宝物になると嬉しいです。

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by atlia | 2014-10-29 10:09 | ワークショップ