谷本さんは本展にて、空間の中に布団・ぬいぐるみ・粘土などの素材が散りばめられたインスタレーションを出品しています。制作上の関心事は素材の「感触」を楽しむことにあり、何か明確なかたちをつくるのではなく遊びや動きの「痕跡」をそのまま提示しています。
今回は谷本さんと同じように様々な素材の「さわり心地」を見つけた後、その体験を踏まえて展示作品を鑑賞しました。
作業の前にまず谷本さんの作品を鑑賞し、率直な感想を話し合います。
「秘密基地みたい。」「幼い頃に布団に落書きいたずらして怒られたことを思い出す。」「粘土で布団が汚れていて、住むとしたらちょっと抵抗感がある。」との呟きが。散らかったように見える空間に懐かしい思いを抱いたり、自分が住むことを想定したり。身近な素材をつかっているためか、自分の生活に置き換えた感想が多く聞こえてきました。
次に作業場に移動し、自分の好きな「さわり心地」を探します!スポンジ、針金、ネット、新聞紙、消しゴム…いくつもの素材から気になるものを選びます。
「これだ!」という素材が決まったら、思いおもいの触り方で一番お気に入りの感触を探します。紙をくしゃくしゃにして布のように柔らかな感触にしたり、重ねた紙をずらす行為に心地よさを見出したり、針金を伸ばす抵抗感を楽しんだり…。同じ素材でも固くなる瞬間を楽しむかた・柔らかい感触を楽しむかたの両方がいて、一つの素材の中にも様々な感触が見つかりました。
心地よい感触を見つけた後にもう一度谷本さんの展示エリアへ。
じっくり触った後に作品を見ると、先ほどとは違うものが気になる様子。
「裸足で歩き回って粘土や布団の感触を確かめてみたい。」「どうやって楽しんだのか、粘土の触り心地はどうなったのか、気になる。」「ポップに感じる!」などの声が上がります。スタッフが「ポップに感じるとはどういうことか?」と質問すると、「白い壁に青や緑のテープが散りばめられていて明るい感じがする」という意見が。一方「ポップではないと思う。けれども、そういう見方をすることもできるのかと驚かされた」「ポップというより夢見心地に感じる」と、他の参加者の意見をきっかけにどんどん話題は膨らみます。アートウォッチングの前よりもたくさん感想の言葉が聞こえ、作品の違った見え方や思いが心に浮かんだようでした。
谷本さんの作品に触れ、かたちを変えられる参加可能日は8月26日(火)と8月27日(水)の残り2日間です!夏休み最後の思い出づくりに、ぜひアトリアへお越しくださいませ。