1日目の参加者は小学3年生~6年生の15人。まずは日本の紙幣や古代中国の青銅器などを例に、色々な書体と文字の成り立ちについて学びました。桐生さん愛用の筆も素材・形ともに多種多様。
「うまく書こうとしなくていい。思い通りにならないところも楽しみながら、面白い発想で驚かせて欲しい。」
との期待を受け、参加者それぞれ自分だけの【書】を探す旅に出発しました。
会場には市内で採取された植物や石、木材や金属片などが雑多に積まれています。各自が持参した材料も活かしつつ、何をどう組み立て筆にするかは閃き次第。
不規則に曲がった鉄筋やスプリングを柄にしたもの、穂が2つあるものなど、他に類を見ない独創的な筆が次々と生み出されていきました。
1人ずつ分担して叩いた藁を束ね、大筆を合作する場面も。
そしていよいよオリジナルの筆を使っての【書】に挑戦です。自由な心でつくった道具の影響か、姿勢も身のこなしも威風堂々、体の重心を前に力強い描線を広げていきます。
合作した大筆を全員で回し、来年の干支である「午」の古代文字を一画ずつリレー。2014年の抱負を寄せ書きし、参加者15人分の力と想いを巨大な絵馬に込めました。
2日目は10代~70代と幅広い年齢層の11人が参加。
「筆の概念にとらわれず、オブジェをつくるような気持ちで」
との桐生さんの助言を受け、ブーケや生け花のように装飾的なもの、古代の石器を思わせるもの、大切な思い出をイメージしたものなど、各々の美意識とこだわり溢れる筆が形づくられていきました。描く線のバリエーションを意識して、なんと10本以上つくった人も!
それらを使い分け、あるいは接地の角度や力加減を実験しながら調節して、多彩な【書】の表現を自在に生み出していきます。
最後に「午」の字と2014年の抱負を絵馬に描き入れました。文字を描くことを通じて自分自身と向き合った時間の集大成です。
参加者力作の筆と【書】の作品は、来年1月に開催される〈アートな年賀状展2014〉に一堂に展示されます。身近なものに向ける視点を変換して広がるアートの世界。アトリアの迎える新年が、今回のワークショップと同じく驚きと発見に満ちた日々でありますように!