今回は江戸東京たてもの園の学芸員、早川典子さんに来ていただきました。
江戸東京たてもの園には、江戸時代から昭和初期までの文化的価値の高い歴史的建造物が建ち並んでいます。
そのうちの一つである前川國男邸は、日本の近代建築の発展に貢献した建築家:前川國男の自邸として建てられた住宅。吹き抜けのある居間や前川夫妻がくつろいでいる姿など、スライドで当時の邸宅の様子を振り返りました。
前川國男は近代建築の巨匠ル・コルビュジェの直弟子で、県内では埼玉会館や埼玉県立歴史と民俗の博物館などの設計を行っています。前川建築について早川さんは、外壁の個性的なタイル張り、ガラスの使い方、周囲の環境と調和させるための工夫など、いくつかのポイントを紹介してくださいました。
講座の後半では、日本の洋館を見るときの3つのポイントを教えていただきました。
日本は明治時代に西洋様式が一気に普及したため、ローマ時代の建築物に由来する柱飾りやギリシャ神殿を模した装飾など、様々なスタイルが一つの建築に混在している場合があるそうです。川口にある旧田中家住宅にも、西洋風のデザインが多く用いられています。
また、日本の和風住宅(町屋)を見るときのポイントとして、出桁造(だしげたづくり)と看板建築と呼ばれる様式についてお話を聴きました。どちらも関東圏で流行した建築様式で、当時のままの姿で現存しているものはとても貴重だそうです。
前川國男建築の特徴や日本近代建築鑑賞のポイントについて知ることができ、
建築を見るために街あるきしてみたくなるような講座となりました。