講師は、鋳物師の永瀬勇さん(永瀬留十郎工場)と、歴史的建造物の保存や研究を行う福田喜文さん(NPO川越蔵の会)のおふたり。
まず、福田さんから街歩きのポイントをお話しいただいた後、アトリア前の「SL青葉通り」を通って金山町へ向かいます。
金山町には、川口鋳物を代表する工場や関連企業などがあり、昭和の趣きある建築物なども多数見ることができます。
川口神社の中にある金山神社に立ち寄り鋳物製の「天水桶」を見た後は、原田木型製作所へ。
ここでは、鋳物の工程に欠かせない木型(鋳物製品の原型となるもの)をつくっています。
金山町には、こうした多くの職人や工場などが集まっており、まるで町全体が工場であるかのようです。
さらに南へと歩いて、旧鋳物問屋鍋平別邸(現・川口市母子福祉センター)に到着。
ここは鋳物問屋の島崎平五郎が西洋文化の風情を取り入れて明治45年頃(その後増築あり)に建てたもので、遊び心あふれる装飾や意匠をこらした建築が見どころです。
居間に集まり、永瀬さんより川口鋳物の歴史や特徴について分かりやすくお話いただきました。
そしていよいよ、永瀬留十郎工場へ!
明治4年創業の工場は、現在は半導体製造装置や液晶製造装置など最先端の精密部品をつくっています。
今回は特別に、湯入れ(金属を溶かし流し込むこと)の現場を見学させていただきました。
機械音が轟々と鳴り響く中、目の前で溶けた金属が型に流し込まれます。
その温度は1000℃以上!飛び散る火花と職人たちの緊張感、工場の雰囲気に圧倒されました。
帰りは旧日光御成街道(本町一丁目商店街)を通って、明治や昭和に建てられた建物を鑑賞しながら川口駅方面へ向かいました。
今回の「アートさんぽ」では、街角にある歴史的建造物や鋳物業に携わる職人さんを通して、鋳物とともに築かれてきた「街の文化」を改めて感じていただけたのではないかと思っています。
普段は何気なく通り過ぎてしまう景色も、こうした街歩きをきっかけにまた違った角度から見ることができたり、川口鋳物をより身近に感じていただけたら嬉しいです。
【参加者が撮影したひとコマ】
Mさん撮影「ビルの谷間に見えるお稲荷さん」
Kさん撮影
Fさん撮影