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ATLIA STAFF BLOG
4月20日(土)・21日(日)の二日間、春の企画展〈絵画展...なのか?〉に関連し、ワークショップ「手のなかのかたち」を行いました。1日目は大人、2日目は子どもの回です。講師は今回の出品作家の1人である原田要(はらだ かなめ)さんです。

初日は、夕方5時からの開催。はじめに会場の講師作品を鑑賞をしました。今回の展覧会のテーマは「絵画とは何か」ですが、原田さんの出品作品の多くは立体です。 講師からは解説として、「絵画は四角く平らでなければならないのか?」という疑問に始まり、現在の作風に至ったとのお話がありました。
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作品鑑賞ののち、制作に入ります。今回のワークショップは、参加者が自身の手を合わせ、その中の空間を型取るというもので、文字通り自分自身で「かたち」を生み出していきます。

粉の石膏を水と混ぜていきます、これが今回の材料です。しっかりと攪拌したら、絵の具で好きな色をつけます。
石膏は水に触れると化学反応が起こり、30分ほど時間をかけて固まっていくのですが、硬化しはじめてトロっとしたところで、合わせた手の中へ流し込みます。そのあとは、こんな感じかな?と手を握り直してみて、楽な姿勢を作ります。
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流し込んでから10分ほど待っていると、硬化が進んだ石膏が熱を帯び、参加者は「かたち」ができていくという変化を感じることができます。講師と会話をしながらゆったりと作業は進んでいきます。

しばらくして、手をそっと外すと、意外な形が出てきました!それぞれに美しい、オリジナルの「かたち」です。
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仕上げは磨きの作業です。やすりでいらない部分を削り、気に入った部分はいかして、手から生まれた「かたち」が、「さらに良いかたち」になるよう整えていきます。ふと気がつくと会場にはやすりの音だけが響いて、みなさんの集中が伺えます。

そして作品は完成!ゆったりと時間が過ぎていく中、大人の参加者のみなさんは、何かに見立てたり、質感を楽しんだりと、それぞれの「かたち」との向き合い方があったようです。




翌日は、朝10時に小学3年生~中学1生までの参加者が集い、子どものワークショップがスタートしました。前日同様、はじめは講師作品の鑑賞からスタートしましたが、参加者とのやりとりは昨日よりも少し賑やかです。

講師からは、この大きな作品の中はどうなっているでしょう?というクイズが。
 ①中身が詰まっている
 ②空洞になっている
 ③何かが住んでいる
の三択で、一番人気は①番!でしたが、正解は②番。作品の中の空洞は、実際に隙間からちらっと覗いて見ることができます。講師によればこれらのキノコのようにも、花のようにもみえる作品は、「四角い絵画がギューっと巾着(きんちゃく)ように変形したもの」、そのため内側の面にも色がついているそうです。
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子どもたちが展示作品に親しんだところで、こんどは制作に入っていきます。「手のなかのかたち」とは?どんなものができるのかわからないけれど、みんな想像しながら作業をすすめていきます。色をつけた石膏を、手を合わせた中に流し込んだら、一人ずつ静かに硬化を待つ時間へ入っていきます。手の中が温かくなるまでじっと待ちます。
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石膏が固まったら、手から取り出し、磨きをかけていきます。はじめはにぎやかだった子どもたちも、ごつごつ、すべすべした「かたち」を色々な角度から見てみながら黙々と磨いていきます。そして…それぞれの「かたち」は完成!ミニ展示台に載せられた「かたち」は小さいけれど立派な彫刻です。
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講師からは、「どうぞおうちで、今日作った「かたち」をかわいがってくださいね」との言葉。石膏は、手で触っているとツヤも出るそうです。触って、見て、作った後も色々な方法で楽しめる作品ができあがりました。

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春の企画展〈絵画展…なのか?〉
2019/3/21~5/12(日)

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# by atlia | 2019-05-17 15:17 | ワークショップ
ようやっと春の陽気、と思っていたら、暑さを感じる日も増えてきた今日この頃。当館では夏の時期に行う展覧会の準備が始まっています!
出展アーティストを公募で選出する「新鋭作家展」、第8回の審査で選ばれた上坂直さん・蓮沼昌宏さんの発表である本展のタイトルは〈あ、これ、ウチのことです。〉。
地域のなかに取材に出たり、近隣の方と一緒に制作したり、さまざまな活動を経て新作を発表します。

上坂直(うえさか・なお)さんは、建築を学んだ経験のあるアーティスト。本展ではその技術をも生かして、「暮らしのミニチュア」をつくります。
衣装ケースを集合住宅の一室に見立てて様々な「暮らし」を収納した不思議な作品のなかには、家具や雑貨が配置されているだけでなく、動いている住人まで登場!
まちなかに並ぶ整然としたマンション、もちろん川口にもたくさんあります(ベッドタウンですので)。そのひとつひとつの部屋…同じような見た目の外観からは見えない「ウチ」ならではの暮らしを捉えます。
参考作品:《個人的聖域群》2018年
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一方で蓮沼昌宏(はすぬま・まさひろ)さんは多文化共生などに興味を持ち、川口市内にある団地を取材中です(報道などでも見かけます)。
そこは様々な国から来た人々が暮らす、小さな「まち」。でも、現代の都市では、おとなりの人とお話しすることもなかったりするし、ちょっとしたルールやマナーなんかも違ったりします。
それぞれの「ウチ」にある個人的な「物語」をパラパラ漫画や紙芝居に仕立てた作品を追っていくと、意外に身近に知らなかった暮らしの姿が見える、かもしれません。
参考作品:《豊島》2017年
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ちょっと変わった(?)印象の本展タイトルにある「ウチ」には、いろいろな意味が含まれています。私のこと、家族のこと、家(建物)のこと、仲間たちのこと、地域のこと、国内のこと…つまり「自分」のことであって、「周囲」のことでもあるのです。
でも、「ウチ」って本当はどんなもの?「ウチ」って言ったって、いったいどこまでそう言えるの?
上坂さん・蓮沼さんの作品のなかにも、一見は「ウチと全然関係ないじゃん」と、そう思うものがあるかもしれません。
だけど、少しだけ立ち止まって、ちょっと覗いて、考えてみてもらえませんか?
「これ、もしかして知ってる…?」「あ、ウチのことかも」と思える瞬間が、きっとあるはずです。
「ウチ」について考えることは、自分とその周囲、そして暮らしについて考えること。決して他人事ではない「暮らし」が、そこにあります。

身近な事柄がアート作品になるのも〈新鋭作家展〉の重要な視点。
「現代アートって難しいな…」と思っている方にこそご覧いただきたい、「今、ここで、生まれる作品」の展示です。


もちろん作品の制作に参加できたり、アーティストとお話しいただく機会も多数計画中!
詳細は公式webやfacebookなどでも随時お知らせいたします。
これからの活動をどうぞお楽しみに!


〈新鋭作家展 第8回優秀者 上坂直、蓮沼昌宏 「あ、これ、ウチのことです。」〉
2019/07/13(土)~08/25(日)
10:00~18:00(土曜日のみ20:00まで)
休館日:毎週月曜(ただし07/15・08/12は開館)07/16(火)、8/13(火)
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# by atlia | 2019-05-03 15:39 | 企画展


3月29日(金)午後7時から、春の企画展〈絵画展...なのか?〉の関連イベントとして、やさしい鑑賞講座「絵画の現在(いま)を楽しむ」を開催しました。

講師は成相肇(なりあい はじめ)さん。東京ステーションギャラリーの学芸員です。
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成相さんには〈絵画展...なのか?〉の図録の論文の執筆もお願いしていますが、今回の講座では展覧会の出品作品を離れて、現代の絵画を中心とした美術作品の見方、楽しみ方についてお話しいただきました。

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会場は展示室内。一旦閉館した後、講座用に会場を整えて特別に開館。

参加者の皆さんは山本修司さんの作品に囲まれながら熱心に聴き入っていました。

東京ステーションギャラリーの前は府中市美術館で教育普及を担当していたという成相さん。まずはその頃、子どもたちによく見せてお話ししていたという清水登之の作品から始めます。

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描かれている様々な要素に気づくことで同じ絵でも見え方や解釈が大きく変わる、ということを丁寧かつ具体的に説明。聴講の皆さんも見え方が大きく変わったようでした。

絵の中の要素だけで見え方が変わるということは、ただ見ているだけでは見えていない、見落としているものが多くあるということ。

次には「丁寧に見る」ための方法として「ディスクリプション」という方法を説明しました。美術史の学生が必ず学ぶというディスクリプション。感想や解釈を交えずに淡々と作品の様子、何がどのように描かれていくかを記述していくものです。

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成相さんは優れたディスクリプションの例として、印象派のピサロの風景画に対する美術評論家の藤枝晃雄さんの記述を紹介しながら、詳しく絵を見ていきました。

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講座は著作権裁判や絵本など多岐にわたる話題によって展開され、さまざまな時代とジャンルの作品が取り上げられました。むしろ現代美術の方が少ないくらい。しかし、時代やジャンルに関わらず、どのように見たら作品をより楽しむことができるか、ということを「作品の仕組み」をキーワードに解説しているため、ここで紹介されていない作品を楽しむ際にも応用できます。

それはまた、「今後の美術鑑賞の幅を広げる」という展覧会のねらいにもつながる内容でした。

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# by atlia | 2019-04-24 11:00 | 鑑賞講座・実技講座
3月24日(日)、企画展〈絵画展...なのか?〉に関連して、ワークショップ[コチラとムコウin川口]を開催しました。
講師は中島麦さん、本展出品作家です。

実は中島さん、このワークショップの前から当館内で公開制作を行っていました。
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窓のムコウに見えるものをそのまま白いクレヨンに似た画材で写し取っていく制作は、今まで何度か別の会場でもやったことのあるシリーズだそう。
今回はそのアトリアバージョン、ワークショップで描く窓の範囲をひろげていきます。大きな窓が特徴的な建物にはぴったりの内容!

参加者は小学生~おとなまで、1人での参加や親子・兄弟のペアなども。
中島さんがつかっていたものと同じ画材を受け取って、それぞれに窓から見える景色を眺め、何が見えるか探しながら描いていきます。
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当館の窓のムコウは芝生の公園、そこで憩う人々、桜の木、大型のマンション…など、描くものはたくさん!参加者もまよわずに手を動かしはじめます。
「あ、これ、どこに見えんの?何書いてんの?」「これ、もっと大きく見えへん?」などなど、中島さんも積極的に声をかけます。
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ところが、ここで難しいのは、動くものを描こうとするとき。例えば、さっきまで芝生にいた人を書こうとすると、中島さんは「あ、その人もういない、書いちゃダメ!」と言うのです。
あくまで「今、ここから見えるものを、見えるとおりに描く」ことが、今回のルールです。
「あーワンちゃんが!動かないで!」などなど、高速描写が求められることも!

逆に言えば、自分が立っている位置が変われば動かないものの見え方や位置も変わる、という意味になる、このルール。
それをうまーく利用したのが、中島さん特製の持ち運びできる、窓。
アトリアの大きな窓いっぱいに描ききったところで、この小窓を渡された参加者たち。中島さんは、今度は自分の書きたいもののところまで自ら窓を持ち運んで(動いて)、外で同じ制作をしてみようと言いました。
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さっそく公園内に散っていく参加者たち、窓を覗きながら歩いて、面白いものを探します。
ここ!と思った場所にじっと座って描いたり、ハトを追いかけて描いたり!?
描きながらずっと窓を持っているとちょっと腕が疲れることも…そういうときはスタッフなどが積極的にサポート。
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先ほどまで大きな窓に描いていたからか、小さな窓はすぐに描く場所がなくなってしまいました。きりのいいところで館内に戻り、それぞれが描いたものを見せ合います。
「描いてて一番面白かったのはどこですか?」「一番難しかったのは?」など、中島さんがインタビューすると、作品の一部を指さしながら積極的に答えてくれる参加者たち。
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コチラからムコウを写す。たったそれだけの方法だったからか、参加者それぞれがどんなことに注目したのか、個性がはっきりあらわれたようです。
なるほどそういうものもあったかと改めて発見があったり、どこから見ればこんな風に見えるのか探したり。鑑賞の方法もいろいろありそう。

このワークショップで大きな窓に描かれたものは、企画展開催中、そのまま展示いたします!
参加者のみなさまが描いたものはもちろん、中島さんが公開制作で描いた部分も、そのままですよ。
どんなものが描かれたのか、窓とそこから見える景色はどんな作品になったのか、ぜひご覧ください。


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春の企画展〈絵画展…なのか?〉
開催中~2019/5/12(日)
10:00~18:00(土曜日のみ20:00まで)
休館日:毎週月曜(ただし4/29・5/6は開館)、5/7(火)
詳しい情報は公式webサイトの「展覧会」のページから!
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# by atlia | 2019-03-30 09:10 | ワークショップ

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
去る114日(月祝)、新春企画展〈アートな年賀状展2019〉に関連し、[アートなお正月あそび]を開催しました。来館者のみなさまに新年のご挨拶を込めて、お正月にちなんだゲームやミニ工作などの体験広場をご用意。事前申込なし・無料でどなたにも気軽に参加いただける恒例イベントです。
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# by atlia | 2019-01-17 10:00 | サポートスタッフ