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カテゴリ:企画展( 109 )
型ハマりぽーと:3
7月16日(土)よりスタートする企画展〈型にハマってるワタシたち〉
本展では公募「第5回 新鋭作家展」優秀者の大石麻央さん・野原万里絵さんが、多くの方と一緒に「型」を使ってパターンを集めることで制作を行います。

この「型ハマりぽーと」は、担当スタッフ目線で展覧会の準備の様子などについて紹介するリポート。
第3弾は出品作のアイディアが決まるまでの、長ーい紆余曲折をたどります。

じっくりと1年間かけて準備をしてきた「プロセス」の中には、作品としてかたちにならなかったもの、いくつものトライ&エラー、そしてボツ案もあったのです…。
しかしその中にも、きっと出品作や展覧会を楽しんでいただくきっかけとなるものがあったのではないでしょうか。

今回は大石さんがこれまでに提案したアイディアやスタッフとのやりとりなどをご紹介。
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公募「第5回 新鋭作家展」提出プラン(一部)

【経過① 2015年秋頃】
審査の結果発表から数か月。大石さんは、そのときに提出したプランをベースとしたプロジェクト・展示のビジョンを持ち続けていました。(審査時のプランはりぽーと1にて紹介中!)
動物のマスク・スーツ状の作品を地域の方々に着ていただき、その姿を撮影した写真をインスタレーションとして作品化する試み。同じ「型」にはめて全員の見た目をおそろいにすることで、一人ひとりの「内面」を浮かび上がらせるのだとか。

でも人の内面は目には見えず、しかもとっても複雑なもの。マスク・スーツを着た状態の写真で本当にそれらを写し出すことができるのでしょうか?
大石さんには、少し時間をかけて考えていただくことにしました。

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《となりどなり》2010年

【経過② 2016年初春頃】
制作するマスク・スーツのモチーフについてお話を伺いました。
これまでにもたくさんの動物を作品にしてきた大石さんですが、その種類は展示場所の歴史・特性と関係のあるものをチョイスしています。
今回選んだのは、鳩。多くの方が行き交う川口のまちと、いくつかの種が混ざって生息している鳩の様子に共通点を感じたのだとか。
過去にも作品のモチーフになったことがあり、大石さんにとって特別な意味を持つ生き物のようです。

しかし、そのマスク・スーツを地域の方に着ていただくためのアプローチの方法と、その「内面」を浮かび上がらせるための工夫がまだ見えてきません。
なかなか良いアイディアが出ないまま、次回の打ち合わせに持ち越しとなりました。


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大石さんとスタッフのメールのやりとり、打ち合わせ資料など(一部)

【経過③ 2016年春~】
対面での打ち合わせ・メールでのやりとりを、何度も何度も繰り返しました。
地域の方との関わり方や作品の見せ方について大石さんとスタッフの間で意見が食い違い、話し合えば話し合うほど堂々巡りのどつぼにハマっていくことも。
打ち合わせにかける時間もメールの文章量も、どんどん長くなる一方…。
何とか良い展覧会にしようと互いにアイディアを出し合っては、一進一退が続きました。


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「着るアート体験&撮影大会」リハーサルの様子

スタッフからどんなに厳しい意見が出されようとも、納得のいく作品をたくさんの人と一緒に制作することにこだわりを持ち続けてきた大石さん。そのこだわりは「多くの方に新しい価値観に触れていただきたい」という思いから生まれています。
そこで、どなたでも気軽に作品を着ていただけるイベントを企画し、とにかくたくさんの人にハマっていただけるような制作を目指すことにしました。
展示に向け準備も佳境に入っています。今後の活動と本展での発表にどうぞご期待ください。

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みなさまも、大石さんの作品を着ていただくことができます!
鳩のマスク・スーツでちょっとした変身気分を味わい、しかもこっそり展示の一部にもなれる機会。お友だちとの話題づくりに、SNSのネタに。
どうぞお気軽にお越しくださいませ。

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「着るアート体験&撮影大会」

ナゾの鳩人間がスタジオに出現!?夏の企画展に出品されるモコモコの作品を体験し、写真を撮影できるミニイベントを開催します。撮った写真はその場でプレゼント!奇妙な変身写真で、家族や友だちを驚かせてみませんか?
※撮影した写真は作品の一部として夏の企画展で公開されます。
※ウール、ほこりアレルギーがある方はご遠慮ください。

日時:6月18日(土)・19日(日) 13:00~17:00の間いつでも
案内:大石麻央(夏の企画展出品者/アーティスト)
予約不要・参加費無料。
http://www.atlia.jp/ws_lecture/

型ハマりぽーと2でも紹介中!)
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by atlia | 2016-06-16 16:43 | 企画展
型ハマりぽーと:2 今週末!「着るアート体験&撮影大会」
7月16日より夏の企画展〈型にハマってるワタシたち〉がスタート!
「型」をつくることにハマっている若手アーティスト、大石麻央・野原万里絵が参加するこの展覧会。いくつかのパターンを集めるプロジェクトによって、たくさんの人たちと一緒に制作を行います。

この「型ハマりぽーと」は、担当スタッフ目線で展覧会の準備の様子などについて紹介するリポートです。
(りぽーと1はコチラ

今回は、6月18日(土)・19日(日)の「着るアート体験&撮影大会」のお知らせ!
このイベントはみなさまに気軽にアートに触れながら作品制作にご協力いただく、本展の関連企画です。

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写メを撮られる、変な動きの鳩人間…!?
謎すぎるこの光景は、アトリアスタッフが本イベントのリハーサルをしている様子です。
大石さんが制作した鳩のマスクとスーツを身に着け、謎のポージングで記念撮影しています。

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羊毛フェルトを固めて制作した、思わず触ってみたくなるモコモコの作品。
触るだけでなく、服を着るようにして身に着けていただくことができますよー!
やり方は簡単、専用のTシャツを着て手袋をはめ、マスクをすっぽり被るだけ。
着衣の上からでも大丈夫。

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撮影した写真はその場でプリントアウトしてプレゼント!後日、本展〈型にハマってるワタシたち〉でも展示いたします。
もちろんお手持ちのカメラや携帯での撮影も大歓迎。
ご家族とのちょっとした話題に、お友だちとの思い出づくりに、SNSのネタに。
奇妙な変身写真を自慢してみませんか?

時間内にお立ち寄りいただければ、その場ですぐ無料でご参加いただけます。
たくさんのみなさまのご参加をお待ちしております!

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「着るアート体験&撮影大会」

ナゾの鳩人間がスタジオに出現!?夏の企画展に出品されるモコモコの作品を体験し、写真を撮影できるミニイベントを開催します。撮った写真はその場でプレゼント!奇妙な変身写真で、家族や友だちを驚かせてみませんか?
※撮影した写真は作品の一部として夏の企画展で公開されます。
※ウール、ほこりアレルギーがある方はご遠慮ください。

日時:6月18日(土)・19日(日) 13:00~17:00の間いつでも
案内:大石麻央(夏の企画展出品者/アーティスト)
どなたでも参加OK!予約不要・参加費無料。
http://www.atlia.jp/ws_lecture/
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by atlia | 2016-06-14 17:27 | 企画展
型ハマりぽーと:1
7月16日より夏の企画展〈型にハマってるワタシたち〉がスタート!
「型」をつくることにハマっている若手アーティスト、大石麻央・野原万里絵が参加するこの展覧会。いくつかのパターンを集めるプロジェクトによって、たくさんの人たちと一緒に制作を行います。会期中は気軽に参加していただけるイベントも盛りだくさんです。
どうぞお楽しみに!

この「型ハマりぽーと」は、担当スタッフ目線で展覧会の準備の様子などについて紹介するリポートです。
ブログ読者のみなさまに出品作家や作品を身近に感じていただきたい!そんな思いを込めて、普段は表に出ることのない展覧会の舞台裏もお見せしていきます。

第1弾は、本展の始まりと出品作家をご紹介。
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〈第5回 新鋭作家展〉二次審査のプレゼンテーション

実は大石さん・野原さんは、審査によって選ばれたアーティスト。
本展はアトリアで毎年開催している公募〈新鋭作家展〉がベースとなっていて、お2人は第5回目(2015年開催)の応募者だったのです。
※ただいま〈第6回 新鋭作家展〉が進行中!本公募についての詳細はこちらをご覧ください。
審査時に行ったプレゼンテーション(展示・ポートフォリオ)では、お2人それぞれにパターンを集めるアイディアの片鱗が。

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大石さんは「着る」ことでオオカミ人間のようになることができる作品と実際に着た状態での写真を6枚提出。どれも同じように見えますが、よく見るとそれぞれ微妙に立ち方や姿勢が違います。
中に入っているのは年齢も性別も全く違う6人なのだとか。

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一人ひとりの見た目をすべて均一にパターン化するこの作品は鑑賞者の「人を判断する基準」に揺らぎを起こそうと意図したもの。自分や他者の存在を振り返るきっかけになるのではと、地域の方々にも同じ姿になっていただくプランを提出しました。

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野原さんは壁に直接シートを貼り付けた平面作品と、いくつかのオブジェのようなものを提出。この立体物は、通りすがりの人にいきなり「絵のモチーフになりそうなものをください」と声をかけ、譲っていただいたのだとか。壁の平面作品は、その外形を写し取って絵画化したもの。
偶然に出会った方々から集めたものを「型」として取り入れる実験的な制作です。

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新たなめぐり合いが起こることを期待し、鑑賞者から作品のモチーフを集める実験室の開設と、それをもとに制作するインスタレーションのプランを提出しました。

それぞれに作品の印象は全く異なりますが、「パターンを集めながら、たくさんの人たちと一緒に制作したい」という想いは同じ。
そこで昨年の結果発表後から、どうすればより良い展覧会にできるかを担当スタッフとともに考え、1年間という長い時間をかけてブラッシュアップしてきました。
来月からスタートする本展では、上記の審査時のプランからグレードアップした内容をお届けしますよー!
ぜひ会場にて、お2人の1年間の成果をご覧ください。

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新鋭作家展 第5回優秀者 大石麻央・野原万里絵
型にハマってるワタシたち
型をつくることにハマってしまったアーティストとたくさんの人たちが一緒に制作するアートプロジェクト。
窮屈な日々も隠せない差異も、全部浮き彫りになるアートな体験に、アナタもハマってしまうかも!

7月16日(土)~8月31日(水)
10:00~18:00(土曜日は20:00まで開館)
※月曜休館(祝日の場合は翌平日休館)
http://www.atlia.jp/exhibition/
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by atlia | 2016-06-11 11:30 | 企画展
ここにも通信!作品・アーティスト紹介⑯
開館10周年記念展〈ここにもアート かわぐち〉いよいよクライマックス。
連載「ここにも通信」、出品作やアーティストをを企画スタッフ目線で紹介するシリーズ記事も第16回目の更新です!

今回は高野浩子さん《想う人-月に臨んで-》。
こちらはキュポ・ラ内川口駅前行政センターに設置されています。
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無機質な鉄骨と窓とのコントラストが印象的な展示になりました。

彫刻というと、石膏や鉄あるいはブロンズなどのイメージを持たれる方が多い印象ですが、こちらは「焼き物」と言うこともできます。
テラコッタという粘土、学校の授業などで聞いたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
赤い土の粘土、それを焼いてそのまま(素焼き、と言います)の素朴な風合いです。
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例えば、胸の前にきている手の部分。
焼くときの温度はもちろん、水の混ぜ具合などによって色やざらつきなどに変化を見せる焼き物の特徴がよくあらわれています。
褐色の部分と白くなった部分が凹凸をつくり、まるで本当にこんな人いそう、という感じの肌を表現していますね。
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その手には、少し不思議なかたち、穏やかな曲線を持った何かを抱えています。
これは、三日月のかたち。

タイトルにある「月に臨んで」が、ここでつながってきました。
「臨む」を辞書で調べると、それに面していること・対している状態を示すことから発展して、支配する、という意味を持つそうです。
しかし、支配する、と言ってしまうと、その肌と同じく優しい雰囲気の顔立ちからはイメージが違いますね。

高野さんは「思い出を守る存在」に興味があると言います。
「守る」と言われると、この女性像が「月を守る女神」に見えてきて、ちょっと納得。
支配する、というよりは、つかさどる、という印象に近いでしょうか。
テラコッタの風合いと穏やかな表情が、優しい月のひかりを運んできそう。

転入出などの手続きでちょっと忙しい雰囲気の行政センターですが、
この作品がひとつ、和やかな空気を加えてくれていますよ。
ささやかですが、しかし、確かにそこにいる、優しい存在に目を向けてもらえたら、うれしいです。

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平成28年春の企画展/開館10周年記念事業
〈ここにもアート かわぐち〉

アトリアから作品が飛び出した!ここにも、そこにも、どこでも、アート!

今まさに発展を遂げているまち:川口で、みずみずしい感性のアーティストたちの表現があふれ出す!油絵・日本画・彫刻はもちろん様々な作品を市内の施設でご覧いただけます。
開催期間:2016年3月19日(土)~5月14日(土)
展示会場:川口市立アートギャラリー・アトリア、川口駅前複合施設キュポ・ラ内各所、川口市立グリーンセンター
観覧可能時間:施設によって異なりますので、下記施設のホームページへのリンクをご参照ください。


出品アーティスト:片庭珠実、角野泰範、馬場知子、山本智之、青木邦眞、高野浩子、佐藤裕一郎、杉田 龍、小林美樹、八田真太郎、後藤雅樹、羽山まり子、青木聖吾、遠藤研二、大和由佳、對木裕里、堀口泰代

展示会場リンク
施設名をクリックすると該当の施設のホームページへリンクします。
開館時間やアクセス情報をお確かめの上、ご来場ください。
川口市立アートギャラリー・アトリア 
川口市立映像・情報メディアセンター メディアセブン(キュポ・ラ7階)
かわぐち市民パートナーステーション
(キュポ・ラM4階)
川口駅前行政センター(キュポ・ラ4階)
川口市立グリーンセンター

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by atlia | 2016-05-07 14:16 | 企画展
ここにも通信!作品・アーティスト紹介⑮
開館10周年記念展〈ここにもアート かわぐち〉、会期も残りわずか!
連載「ここにも通信」、企画スタッフがアーティストや出品作を紹介するシリーズ記事も終盤です。

今回のピックアップは、羽山まり子さんの作品《足裏を辿って》。
川口駅前複合施設キュポ・ラの1階エントランス部分に展示中。実はこの作品、お問い合わせが多い作品なのです。
特にここに初めてきてくださる方が多いのですが(これを目当てにきてくれたならば大変うれしい!)、
「どこに展示してあるんですか?」…というご質問をいただくのです。

作品は、こちら!
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…と言っても、目の前にある像ではありません。
後ろの、光る箱のかたちをしたもの。
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こちらが、今回の展示のために制作されたインスタレーションです。

インスタレーションとは、ちょっと説明が難しいですが、場所にあわせて様々な要素(作品だったり、自然物の場合もある)を配置して空間全体を作品として構成すること。
本作は一見すれば光る彫刻とも言えそうですが、この場所の特徴をうまく取り入れて、さまざまな表情を見せてくれます。
エントランスから入ってすぐに見たときの印象は、まるで銅像のバックライト。
他の作品のそばにさりげなく、くっつくように居るのですが、ちょっとずつ後ろからはみだして自己主張しているようです。

さらにゆっくり近づいてみましょう。光っている部分を覗いてみると…
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ちょっと、模様のようなものが浮かび上がっているのがご覧いただけますでしょうか。
これは、ステンドグラスやレースのカーテンをモチーフにしている、とのこと。
そういえば、こんなシートが窓に貼ってある街の美容室があったなぁ、などと思うのは私だけでしょうか?

更に面白いのは、これが設置された空間は上からも覗ける場所であること。
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1枚目の写真に通行している方の後姿が写っていましたが、この作品に沿って螺旋状になった階段を昇っていくことができます。
そこから見下ろすと、光が意外な強さで壁に反射して上に向かっていることに気付きます。なんだか光がついてきたみたい?
こう観ると、確かにこの作品はまさに空間を取り入れて増大しています。ある意味では、場所そのものを変えていっているのかもしれません。

ちなみに普段、作品が構成されていないと、こんな感じ。
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階段下のちょっとしたスペースはひっそりとしています。足元の方であまり顧みられなかった空間は、ちょっとした秘密基地みたい。
むしろ小さなお子さんの方が気が付くかもしれません。時々この中でカードゲームなどして友達同士で遊んでいるようなところにも遭遇します。

この作品は、その「秘密基地」がこんなところにもありますよ、と照らしているみたいに感じられます。
こういう忘れがちだったものに光が当たると、ちょっと気恥ずかしい気持ちにもなるけれど、なつかしく思いだす時間と記憶があることに気がつきます。
そう言われれば、(街の美容室的な)ステンドグラスのシートも、最近では見かけませんね。でも確かに、ちょっとした記憶の片隅にあるもののような、気がします。

タイトルにある「足裏を辿って」も、まさにそのイメージ。
自分の足の裏には、頭では覚えていない、思わぬ景色を辿ってきた時間があるのかもしれません。
覗いてみることで、意外な記憶の発見につながる、かも?

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平成28年春の企画展/開館10周年記念事業
〈ここにもアート かわぐち〉

アトリアから作品が飛び出した!ここにも、そこにも、どこでも、アート!

今まさに発展を遂げているまち:川口で、みずみずしい感性のアーティストたちの表現があふれ出す!油絵・日本画・彫刻はもちろん様々な作品を市内の施設でご覧いただけます。
開催期間:2016年3月19日(土)~5月14日(土)
展示会場:川口市立アートギャラリー・アトリア、川口駅前複合施設キュポ・ラ内各所、川口市立グリーンセンター
観覧可能時間:施設によって異なりますので、下記施設のホームページへのリンクをご参照ください。


出品アーティスト:片庭珠実、角野泰範、馬場知子、山本智之、青木邦眞、高野浩子、佐藤裕一郎、杉田 龍、小林美樹、八田真太郎、後藤雅樹、羽山まり子、青木聖吾、遠藤研二、大和由佳、對木裕里、堀口泰代

展示会場リンク
施設名をクリックすると該当の施設のホームページへリンクします。
開館時間やアクセス情報をお確かめの上、ご来場ください。
川口市立アートギャラリー・アトリア 
川口市立映像・情報メディアセンター メディアセブン(キュポ・ラ7階)
かわぐち市民パートナーステーション
(キュポ・ラM4階)
川口駅前行政センター(キュポ・ラ4階)
川口市立グリーンセンター

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by atlia | 2016-05-05 14:41 | 企画展
ここにも通信!作品・アーティスト紹介⑭
開館10周年記念展〈ここにもアート かわぐち〉、好評開催中です。
連載「ここにも通信」もひきつづき更新中。
アーティストや出品作について企画スタッフ目線でご紹介しています。

今回ご覧いただくのは川口駅前複合施設「キュポ・ラ」の7階「川口市立映像・情報メディアセンター メディアセブン」に展示されている佐藤裕一郎さんの作品《Glacier》。
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自立している大型の日本画です。

爽やかな青のグラデーションが大変印象な本作。
グラデーション、と言っても、機械的に・段階的に色が変わっていくのではなく、波打つような、あるいはしわが寄っているような、有機的な線と面の連続。
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色の濃く見える部分はもう黒に近いような、深海を思わせる深い青。瑠璃色、瑠璃紺のような少し紫がかった色も溶け込んでいるように見えます。
そこからにじむように広がるウルトラマリン。日本画としては群青、と表現したいところでしょうか。
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白っぽく見える部分にも色々な青が潜んでいます。
水色、空色。紺青色を水に落としたような透明感のあるひろがり。紫色の飛沫は波のようにも見えます。

タイトルにある《Glacier》は「氷河」を意味する言葉ですが、そう言われると氷のような印象も受けますね。
しかし、この作品から受ける印象は冷たさだけではありません。
どこか懐かしい、どこかで知っているような、あたたかさも覚えます。

それはひとつ、この作品が描かれている「和紙」という素材の特徴にあるのではないでしょうか。
先ほどは「水に落としたような」と申し上げましたが、自然な滲みがつくれるのは和紙の特徴でもあるでしょう。
すっと沁みていく色は、目にも爽やか、身体のなかにも同じくすっと沁み入ってきます。

大きな画面にむかうとき、佐藤さんは「故郷の匂いや風、熱を感じる」と言います。
寒い、けれどあたたかな、ふるさとへの想いが絵具と一緒にじんわりと和紙に滲みひろがっていく。
観る者が感じる「懐かしさ」は、そういうところから来るのかもしれません。

「メディアセンター」と位置付けられているメディアセブンという施設の中では、ある意味では特異な存在感を放つ本作。
しかし、作品の周りにある空気にも、凛とした青がじんわりとひろがっていくように、力強く、そこに存在しています。


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平成28年春の企画展/開館10周年記念事業
〈ここにもアート かわぐち〉

アトリアから作品が飛び出した!ここにも、そこにも、どこでも、アート!

今まさに発展を遂げているまち:川口で、みずみずしい感性のアーティストたちの表現があふれ出す!油絵・日本画・彫刻はもちろん様々な作品を市内の施設でご覧いただけます。
開催期間:2016年3月19日(土)~5月14日(土)
展示会場:川口市立アートギャラリー・アトリア、川口駅前複合施設キュポ・ラ内各所、川口市立グリーンセンター
観覧可能時間:施設によって異なりますので、下記施設のホームページへのリンクをご参照ください。


出品アーティスト:片庭珠実、角野泰範、馬場知子、山本智之、青木邦眞、高野浩子、佐藤裕一郎、杉田 龍、小林美樹、八田真太郎、後藤雅樹、羽山まり子、青木聖吾、遠藤研二、大和由佳、對木裕里、堀口泰代

展示会場リンク
施設名をクリックすると該当の施設のホームページへリンクします。
開館時間やアクセス情報をお確かめの上、ご来場ください。
川口市立アートギャラリー・アトリア 
川口市立映像・情報メディアセンター メディアセブン(キュポ・ラ7階)
かわぐち市民パートナーステーション
(キュポ・ラM4階)
川口駅前行政センター(キュポ・ラ4階)
川口市立グリーンセンター


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by atlia | 2016-05-04 10:28 | 企画展
ここにも通信!作品・アーティスト紹介⑬
開館10周年記念展〈ここにもアート かわぐち〉、ゴールデンウィークに入って多くのお客様にご来場いただいています。
会期も終了間近。どうぞお早目に、足をお運びくださいませ。

ゴールデンウィークと言えば、川口市立グリーンセンターでは春のお祭り「スプリングフェア2016」を開催中。
5月3日(火)~5日(木)までの祝日3連休、大変賑やかです。

そして、グリーンセンターと言えば、もちろん〈ここにもアート かわぐち〉、シャトー赤柴会場があります。
そこで今回は展示中の青木邦眞さんの作品をご紹介。

ひとつが、こちら。写真にするとちょっと逆光、見えづらいでしょうか…。
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ざらっとした土の肌にとげとげがついた、彫刻です。
陶器と同じつちをつかって焼いているので、「彫陶(ちょうとう)」とも呼ばれます。
しかしこの作品、とげとげ、などと言うとちょっと怖いですが、サボテンみたいな存在感。可愛い印象です。

あるいは、こーんなかたちのものも。
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花のつぼみのようでもあり、花そのもののようでもあり。あるいは、球根みたい。
やっぱり、ちょっと植物のようなイメージですね。

これらの作品は「土からの収穫」と題されたシリーズ。文字通り、土からつくられている、ということも言えるでしょうか。
粘土を細いひも状にし、それを何本も重ねて成形された作品は手間ひまをかけてつくられています。
しかし、いかに時間をかけて成形しても、焼いたときにどんなかたち・表情になるのか、窯から取り出すまではわかりません。
もちろん失敗することもあるでしょう。でもそんなところも、植物を種から育てる感覚に似ているかもしれません。

大地からまさに取り出されたかのような、やさしく、しかししっかりとした生命感をもつかたちから受ける印象も、「収穫」というキーワードに合致しているようです。
グリーンセンターという、いわば植物園の中にあるものとしては、そのイメージにもばっちり。

青木さんの作品は、計4体、展示されています。
すべて窓際に置かれているのですが、鑑賞するとき面白いのは、外の景色と重なって見えること。
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ゆったりと続く緑の直物たちをバックにすると、ちょっと見え方も変わりますね。
確かに写真にしてしまうと逆光になりがちなのですが、光が入って作品にかかると、あたたかな土の表情がよく見てとれます。
さらに窓の向こうも、より青々と輝いてきますよ。芝生だけでなく、これからはサツキやバラも咲き始めます。
季節が変わり、景色が変わると、作品を観る楽しみも倍増。近くから・遠くから鑑賞することで、また異なるイメージを抱くはずです。

建物や周囲の魅力を取り込むのも、〈ここにもアート かわぐち〉で展開している作品たちの特徴。
さまざまな魅力をさがしに、ぜひおでかけください。


川口市立グリーンセンターで開催の「スプリングフェア2016」の情報は、下記「展覧会場リンク」から!
開催当日は駐車場等の混雑が予想されますので、公共交通機関のご利用をおすすめします。

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平成28年春の企画展/開館10周年記念事業
〈ここにもアート かわぐち〉

アトリアから作品が飛び出した!ここにも、そこにも、どこでも、アート!

今まさに発展を遂げているまち:川口で、みずみずしい感性のアーティストたちの表現があふれ出す!油絵・日本画・彫刻はもちろん様々な作品を市内の施設でご覧いただけます。
開催期間:2016年3月19日(土)~5月14日(土)
展示会場:川口市立アートギャラリー・アトリア、川口駅前複合施設キュポ・ラ内各所、川口市立グリーンセンター
観覧可能時間:施設によって異なりますので、下記施設のホームページへのリンクをご参照ください。


出品アーティスト:片庭珠実、角野泰範、馬場知子、山本智之、青木邦眞、高野浩子、佐藤裕一郎、杉田 龍、小林美樹、八田真太郎、後藤雅樹、羽山まり子、青木聖吾、遠藤研二、大和由佳、對木裕里、堀口泰代

展示会場リンク
施設名をクリックすると該当の施設のホームページへリンクします。
開館時間やアクセス情報をお確かめの上、ご来場ください。
川口市立アートギャラリー・アトリア 
川口市立映像・情報メディアセンター メディアセブン(キュポ・ラ7階)
かわぐち市民パートナーステーション
(キュポ・ラM4階)
川口駅前行政センター(キュポ・ラ4階)
川口市立グリーンセンター

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by atlia | 2016-05-03 10:40 | 企画展
ここにも通信!作品・アーティスト紹介⑫
開館10周年記念展〈ここにもアート かわぐち〉、いよいよ会期も残り2週間!
連休中、ぜひお気軽におでかけくださいませ。

スタッフブログ連載「ここにも通信」、スタッフ目線でアーティストや出品作を紹介するシリーズ、ご好評いただいています。恐縮です。いつの間にやら12回目の更新。

今回ご紹介するのは小林美樹さんの作品たち。アトリア会場の展示室内でご覧いただけます。
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小林さんは油絵6点を出品していただいています。
どれもちょっと小ぶりな、部屋に飾っておきたいサイズの作品たち。全体に少し重たい色あいで統一されています。
幼さを帯びた丸みをもちながらも、どこか憂いを含んだ表情を持つ登場人物たちが印象的です。
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こちらは最新作の《針路》。
船の舵を回しながら双眼鏡を手にとり、ホイッスルをくわえた主人公。
…と言ってしまうと、いかにもありそうですが、よーく見てみると…
画面では、それが同時に起こってしまっています!舵をまわす・双眼鏡を目に当てる・ホイッスルを口元に持ってくる、それぞれの造作を行っている腕が、計6本。
思わぬ自然さで描かれているので、すぐには気がつかないかもしれません。が、しかし。ちょっと薄く描かれているものもありますが、確実に6本の腕があります。

その他にも、舵そのもののつくりもちょっと変わっています。
どうやら、木の部分が、人物のかたちをしているみたい?右の方では学生鞄を背負っているようですが、左に行くにつれてちょっと年齢が高くなっている様子?
そう言われれば、双眼鏡に写って見える船の様子も、右と左では異なります。

この作品の中では、時間が混在している、と言っていいでしょう。
タイトルの「針路」という言葉は、「進むべき方向」という意味。
進んでいく時間を混在させることで、これからどうなっていくのかを想像させているのです。

小林さんの作品は、自然に隠れた意味を探りたくなる、そういう雰囲気を持っていますね。
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図録でも紹介している《永遠》という作品でも、確かにすぐに∞(無限大)のマークを発見することができます。しかし、それ以上に、何かがありそうだな?と疑いたくなるのです。

来館者の方からいただいた興味深い考察をご紹介しましょう。
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端の方に描かれている「うさぎ」を子孫繁栄の象徴と読みとり、中心にいる男の子・女の子が手をつないでいるところに注目した、とのこと。
これは鋭い考察力!よくよく細かなところまでご覧くださったようです。
特に不安そうな表情には、新しいことを始める不安があるのではないか、とコメントもいただきました。
うさぎちゃんさん、ありがとうございました!

たしかに、人は新しいものにむかうとき、わくわくもありますが、不安があるというのは正直なところかもしれません。
あるいは、「永遠」、つまり、どこまでも続くよ、と言われたら、それもちょっと不安かも。
そういう隠れた気持ちは、人におおっぴらに言うほどのことではないけれど、しかし確かに存在している、何気ないもの。

小林さんは「日常の風景をちょっと違う視点で表現できると、充実した気持ちになる」と言います。
かわいいだけではなく憂いを帯びている登場人物も、その「ちょっと違う視点」から生まれたものかもしれません。
そういう気持ちで見ていくと、幼さがあると思っていた登場人物の顔立ちにも、意外な大人びた表情が見えてきます。

見る時間が経っていくたびに、作品に持つ印象にちょっとした変化が現れる。
鑑賞するという行為も、時間を追うごとに成長していくのかも、しれませんね。


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〈ここにもアート かわぐち〉では、「ここにも通信」連携企画として、「特派員レポート」を募集中!
展覧会や作品へのご意見・ご感想、あるいはアーティストへのメッセージなどを書いて投稿してください。
用紙はアトリア会場で配布中。あなたのレポートも、紹介される、かも?
ぜひお気軽にご記入くださいませ。

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平成28年春の企画展/開館10周年記念事業
〈ここにもアート かわぐち〉

アトリアから作品が飛び出した!ここにも、そこにも、どこでも、アート!

今まさに発展を遂げているまち:川口で、みずみずしい感性のアーティストたちの表現があふれ出す!油絵・日本画・彫刻はもちろん様々な作品を市内の施設でご覧いただけます。
開催期間:2016年3月19日(土)~5月14日(土)
展示会場:川口市立アートギャラリー・アトリア、川口駅前複合施設キュポ・ラ内各所、川口市立グリーンセンター
観覧可能時間:施設によって異なりますので、下記施設のホームページへのリンクをご参照ください。


出品アーティスト:片庭珠実、角野泰範、馬場知子、山本智之、青木邦眞、高野浩子、佐藤裕一郎、杉田 龍、小林美樹、八田真太郎、後藤雅樹、羽山まり子、青木聖吾、遠藤研二、大和由佳、對木裕里、堀口泰代

展示会場リンク
施設名をクリックすると該当の施設のホームページへリンクします。
開館時間やアクセス情報をお確かめの上、ご来場ください。
川口市立アートギャラリー・アトリア 
川口市立映像・情報メディアセンター メディアセブン(キュポ・ラ7階)
かわぐち市民パートナーステーション
(キュポ・ラM4階)
川口駅前行政センター(キュポ・ラ4階)
川口市立グリーンセンター

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by atlia | 2016-05-01 08:54 | 企画展
ここにも通信!作品・アーティスト紹介⑪
いよいよゴールデンウィーク!
気持ち良く晴れて連休のスタートからお出かけ日和ですね。

連載「ここにも通信」も大分の回数を重ねてまいりました。お付き合いいただいているみなさま、ありがとうございます。
出品作やアーティストをスタッフが紹介するブログシリーズ、今回で11回目!

本日は大和由佳さん《Knocking on the Land - Kawaguchi》をご覧いただきます。
こちらは川口駅前複合施設キュポ・ラの7階、川口市立映像・情報センター「メディアセブン」の全体をつかったインスタレーション。
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通路の奥に、窓が。ここはちょっとした休憩スペースとして使われている、不思議な存在感の小部屋です。
そしてその窓の手前には、何やらもやっと映像が映し出されています。
これが、作品の一つの要素。
ずっと観ているとさまざまな風景写真がスライドショーのように流れていくのですが、その写真たちに共通しているのは、「中心で杖が自立していること」。

…というと超常現象的に聞こえますが、観た印象ではその通り「自立している杖」。
この映像が流れているガラスの隣の壁には、プリントしたものも展示されています。
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ほら、自立している杖たち、でしょう?
それは超常現象的ではなく、静かに、その写真に主題として写っています。
まるで自分たちでそこまで歩いていったみたいに、主人公のような顔をして。

実際に施設のなかを歩いていくと、別のところでも杖たちに遭遇します。おっと、こんなところにも。
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よくよく見ると、この場所で撮られたもののようですね。周りの景色がそっくりです。

施設中心部にあるカウンターの近くの壁には、もう一つの映像作品が流れています。
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ここには、実際に杖が。そしてこれと同じような杖が、映像の中にある景色の中をまるで歩いていくように、重なって写っています。
ここで流れている景色は、すべて川口市内で撮影されたもの、とのこと。
今回の会場のひとつでもある川口市立グリーンセンター、あるいは芝川沿いの遊歩道、図書館の中…色々な場所を、杖が辿っていきます。

大和さんは、杖とそれを持つ人と出会った場所で、杖だけを撮影し記録しています。
同じ方法をつかって各地で制作を行ってきました。本作は、その川口バージョンです。
市内のさまざまな場所に自ら出向き、多くの人のご協力をいただきながら、杖や土地の話をきいたそうです。

普段、人と一緒に歩いている、杖。
杖は、歩いてきた場所をどういう風に記憶しているのか。
あるいは、普段それを携えている人・身体の一部としてそれを持つ人、その柔らかさを、杖自体はどういう風に記憶しているのか。

そこには、たくさんの「思い出」があるかもしれません。
地面を、とん、とん、と叩きながら進む杖は、少しずつ傷つきながら、しかししっかりと、その足元を捉え続けます。
人が歩くのを手助けする、それだけでなく、自らも歩いている、のかもしれない。持ち主が忘れかけていることも、杖たちは覚えている、かもしれません。
そう思うと、この作品の中の杖が持つ「自立している」イメージがつながってきます。

そこに自立している杖を見ていると、思わず手にとってしまえそうな、そんな気さえします。
杖が誰かに手渡されれば、その記憶も、また別の誰かと一緒に歩いていく。
これを見た私も、ちょっとだけそれを受け取っている、のかもしれません。

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平成28年春の企画展/開館10周年記念事業
〈ここにもアート かわぐち〉

アトリアから作品が飛び出した!ここにも、そこにも、どこでも、アート!

今まさに発展を遂げているまち:川口で、みずみずしい感性のアーティストたちの表現があふれ出す!油絵・日本画・彫刻はもちろん様々な作品を市内の施設でご覧いただけます。
開催期間:2016年3月19日(土)~5月14日(土)
展示会場:川口市立アートギャラリー・アトリア、川口駅前複合施設キュポ・ラ内各所、川口市立グリーンセンター
観覧可能時間:施設によって異なりますので、下記施設のホームページへのリンクをご参照ください。


出品アーティスト:片庭珠実、角野泰範、馬場知子、山本智之、青木邦眞、高野浩子、佐藤裕一郎、杉田 龍、小林美樹、八田真太郎、後藤雅樹、羽山まり子、青木聖吾、遠藤研二、大和由佳、對木裕里、堀口泰代

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by atlia | 2016-04-29 14:02 | 企画展
ここにも通信!作品・アーティスト紹介⑩
会期も終盤、開館10周年記念展〈ここにもアート かわぐち〉。
もはや夏日も近いかと思えるお天気の日もありますね。

連載「ここにも通信」、アーティストや出品作品を企画スタッフ目線でご紹介するシリーズも終盤です。
今回もアトリア会場から。山本智之さんの作品をご覧いただきましょう。

山本さんの作品は展示室内の壁一面に。3つのおそろいのサイズ、アクリル絵具で描かれた絵画です。
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正方形のキャンバスが整然と並んで、すっきりとした印象に。
強い色がつかわれているのにその表面が凸凹としていないことも、「すっきりさ」を強調するようです。

最新作は一番右側の《ほんの少し遠い昔》。
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夕暮れ時から夜へと変わっていく空の色が美しいですね。
画面の右上から左側に走り抜けようとしている列車が、「急行」らしく勢いをもってぐわっと迫ってきます。

しかしその勢いと同時に感じるのは、静けさ。
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中央に印象的に描かれている少女の顔は、どこかぺったりとしています。無表情とも言えないけれど、しかし、何を考えているかわからない。
風に吹かれている髪も、ばさばさともせず、異様にまとまってなびいており、いよいよ現実味がありません。
「すっきり」な平面は同時に「ぺったり」にも見えるのです。

どこかで見たような・知っているような場面だ。
しかし、どこかで夢にみたような、現実味のないシーンでもある。
でも、それが万人に共通するような、「ノスタルジー」を体現している。

山本さんは「変わってはいけない本質的なこと」を表現したい、と言います。
それは夢であり、あるいは物語ではないでしょうか。
矛盾するようですが、失わずにいたいものというものは、理想的なものとも言えるでしょう。
同時に、それは思い出であるとも言えるかもしれません。

あーこんなのあったな、あるいはこういう話読んだ気がするな、と思わせる要素がちらほらと描かれているのも憎いポイント。
例えば、チョークで書いたような、相合傘。
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電車にちらりと見える、人影。
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おっと、ここにはちょっと懐かしいかたちの電話も見えますね。

そういう細部にも、それぞれの物語を発見できる。
そこには、山本さんの思う懐かしさだけでなく、観る者の思う懐かしさも反映できる包容力があるようです。
どこか現実味がないという特徴があるからこそ、素直に自分の中にある思い出を反映出来るのかもしれません。
「ほんの少し遠い昔」の物語は、誰の心の中にも、ちょっとずつ存在している、はずなのですから。



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by atlia | 2016-04-27 11:19 | 企画展



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