ATLIA STAFF BLOG
カテゴリ:鑑賞講座・実技講座( 27 )
実技講座「身近にたのしむ伝統工芸 ~はじめての箔絵~」を開催しました
本講座は、伝統的な技法を実際に体験しながら作品を制作することで工芸をより身近に感じ、またその魅力を再認識していただくことを目的に開催しました。
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講師は、漆芸家で鳩ケ谷在住の豊平江都さん。
蒔絵をはじめ様々な伝統技法を用いて、自然美にあふれる凛とした佇まいの作品を多数制作しています。
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今回は、12cm角のプレートに漆を塗ってその上に金箔を貼る「箔絵」に挑戦しました。
制作には「漆」の乾く時間も必要となるため、3日に分けて行いました。
1日目(2013年12月22日)は、まず下絵を考えて描いていきます。
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季節感にあふれるもの、思い出を描いたもの、デザイン性に優れたものなど、参加者それぞれの下絵が完成したら、その文様を薄い紙(雁皮紙・がんぴし)に写して、紙の裏側から弁柄漆で描いていきます。それをパネルに転写し、本銀消粉を蒔きつけたら1日目は完了です。
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2日目(2014年1月12日)は、いよいよ漆を塗って、その上に金箔を貼っていきます。
漆が接着剤の役割を果たすので、丁寧に薄く塗っていくのがポイントです。
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筆は、なんと猫の毛でつくられた専用の蒔絵筆。道具ひとつを見ても、構造や繊細さなど日本の伝統美がぎゅっと詰まっています。
塗り終えて室(ムロ)に入れ、漆が乾き始めたらその上に金箔を貼っていきます。
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少しの風でも箔が飛んでしまうため空調を止め、呼吸も止めながらの緊張感あふれる作業です。
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「こんなに緊張したのは久しぶり!」と、一発勝負の作業を終えて心地よい達成感に包まれている方も。

最終日(1月19日)は、金箔がはみ出してしまった余分な部分を整えて仕上げたら、朱漆、緑漆、黒呂色漆などの色漆を使って彩色を施していきました。
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最後の作品鑑賞会では、じっくりと時間をかけて完成した素晴らしい作品がずらりと並びました。
参加者からは 「箔絵の技法を学べたことで、漆器などにも興味を持つようになった」 「工芸の作品に親しみを感じるようになった」という嬉しい感想もいただきました。
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今回は3日間とも本漆を使ったので、取り扱いに注意しながら時間をかけて乾燥させていきました。
手間も時間もかかりましたが、それ以上に自然の時間の流れに身を置いて制作していくことの楽しさと素晴らしさを体験することができ、工芸作品が長い時間をかけて丁寧に作られているとこを改めて知ることができました。
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今回の講座をきっかけに、工芸により興味を持っていただき身近に親しんでいただけたら嬉しいなと思います。
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by atlia | 2014-01-19 16:26 | 鑑賞講座・実技講座
鑑賞講座「楽器にみる美学」を開催しました
11月9日(土)、〈川口の匠vol.3 音をつくる〉関連として、やさしい鑑賞講座「楽器にみる美学」を開催しました。


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今回のゲストは、武蔵野音楽大学楽器博物館 主任学芸員の守重信郎さん。

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音色だけでなく、姿形も美しいバイオリン。しかしその起源や最初の製作者は明らかになっておらず、近年でも多くの学説が立てられているそうです。
例えば、くびれを持つ独特な胴体の形。これは元々洋梨形だった楽器を弓を使って演奏するようになった際、弓の邪魔にならないようにへこませたという意見がありました。しかし現在では、胴のくびれは弓の発明よりも前からすでに存在して、木材の力学上の問題でくびれが生まれたとする説が有力視されているとのこと。


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さらに今回、武蔵野音楽大学楽器博物館から様々な変形バイオリンを守重さんにお持ちいただきました!
鉄の板でできたものやステッキに内蔵されているもの、さらにはラッパの付いたものまで、どんな音がするのか想像もつかないようなバイオリンがズラリと並びました。

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こちらは「ハーディ・ガーディ」という手回しバイオリン。右手でハンドルを回し、左手で鍵盤を押さえて演奏します。

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こちらはラッパのついた「ホーン・バイオリン」。一定方向に音を強く出すためにつくられたもので、ラッパ部分から大きな音が出る代わりに、演奏者にはほとんど音が聞こえません。

驚くほど特殊な形をした変形バイオリン。一般的なものとは姿も音色も全く違い、バイオリンの奥深さを知ることができました。


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講座の後半には、出品者の賴德昌さんがバイオリン製作の一部(表板のf字孔のカットと、裏板の鉋がけ)を実演してくださいました。

f字孔はまず板に小さな穴を開け、そこに糸のこぎりを通して大まかに形を切り抜いた後、下書きに沿ってナイフで慎重に孔を整えます。このとき使用するナイフは、使いやすいように先端の形を変形させています。
「バイオリン製作は道具づくりから始まる」
と賴さん。工房にある道具類の多くは自作されているそうです。

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また裏板は豆鉋という真鍮製の小さな道具を使い、板の厚みを確認しながら削ります。板厚は部位によって微妙に異なるため、目視だけでなく測定器を使用しながら鉋掛けします。一番小さいものだと8mmの豆鉋を使用するそうです。


普段は工房の中で集中して行われる作業。
賴さんの手仕事を拝見できる貴重な機会となりました。
by atlia | 2013-11-12 11:51 | 鑑賞講座・実技講座
やさしい鑑賞講座[建築をみるために]を開催しました!②
9月21日(土)、鑑賞講座[建築をみるために]の第2回目「アート×建築-空間をつくるということ」を開催しました!
講師は保坂健二朗さん(東京国立近代美術館主任研究員)。
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保坂さんは、建築に関することが専門ではないものの鑑賞者に近い視点から企画がやってみたいと考えていると言い、これまでに手掛けられてきた企画展についてのお話・そこで実際に展示された建築家に関するお話からスタート。
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今回は近代~現代に活躍する建築家とその活動を概観する入門編です。
たくさん登場する建築家の名前がキーワード。
現代の建築家が大きく影響を受けている近代の建築家として、第1回「江戸東京×建築」でも登場した前川國男・坂倉準三、吉阪隆正などル・コルビュジェから学んだ建築家、またフランク・ロイド・ライトやアントニン・レーモンドなどの作例を紹介。
ル・コルビュジェの国立西洋美術館の向かいに建つ東京文化会館は前川國男の設計であるといった師弟の不思議なめぐり合わせの建築物は、今でもご覧いただけますね。

戦後の建築のはじまりを学んだ後は、丹下健三・磯崎新・篠原一男など、今まさに注目が高まっている現代の建築に影響を与えた建築家の作例も登場しました。
ユニットを加減できるなど拡張する社会に有機的に対応する「メタボリズム」といった建築家たちの動きも紹介され、菊竹清訓・槇文彦なども、このあたりのキーワード。
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その槇文彦が命名したという「野武士たち」と言われる建築家たちは、安藤忠雄・伊藤豊雄など、現在でも第1線で活躍する建築家たち。
注目の若手建築家だった彼らの作例はその当時ほとんどが個人住宅。
長谷川逸子・石山修武の作例は、なんと川口にもあるようです。
もちろん個人住宅はすぐに覗けるものではありませんが、近くにあると思うとなんとなく身近に感じられるもの。
日本の建築家は著名になっても個人住宅や小さな建築物の設計を続けていく人が多い、と保坂さん。
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これまでの建築家を「赤派/白派」として概観している藤森照信の論も紹介。
素材感がある「赤派」には磯崎新・石山修武・そして藤森さん本人も。抽象的な印象の「白派」には槇文彦・ミース・ファン・デル・ローエなどが挙げられています。
面白いのはその両方の特徴がみられる「桃色派」。今回の講座では、安藤忠雄・伊藤豊雄がここに挙げられました。
最後には、最近川口でも注目が集まっている伊藤豊雄さんの設計である斎場なども紹介され、近代の建築から現在設計中である建築まで、大きな流れを概観していただきました。

ぎゅっとつまった内容を丁寧に説明いただいた保坂さん、参加者の皆さまの顔を何度も振り返りながらお話してくれました。
参加者の皆さまも、メモを取りながら真剣な面持ちで聞いてくださり、嬉しい限り。

アトリアで建築に関する企画は初めての試み、全2回の開催でスタッフもたくさん勉強させていただきました!
お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。
by atlia | 2013-09-22 11:38 | 鑑賞講座・実技講座
やさしい鑑賞講座[建築をみるために]を開催しました!①
9月8日(日)、鑑賞講座[建築をみるために]の第1回目「江戸東京×建築 前川國男を中心に」を開催しました!

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今回は江戸東京たてもの園の学芸員、早川典子さんに来ていただきました。


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江戸東京たてもの園には、江戸時代から昭和初期までの文化的価値の高い歴史的建造物が建ち並んでいます。
そのうちの一つである前川國男邸は、日本の近代建築の発展に貢献した建築家:前川國男の自邸として建てられた住宅。吹き抜けのある居間や前川夫妻がくつろいでいる姿など、スライドで当時の邸宅の様子を振り返りました。

前川國男は近代建築の巨匠ル・コルビュジェの直弟子で、県内では埼玉会館や埼玉県立歴史と民俗の博物館などの設計を行っています。前川建築について早川さんは、外壁の個性的なタイル張り、ガラスの使い方、周囲の環境と調和させるための工夫など、いくつかのポイントを紹介してくださいました。


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講座の後半では、日本の洋館を見るときの3つのポイントを教えていただきました。
日本は明治時代に西洋様式が一気に普及したため、ローマ時代の建築物に由来する柱飾りやギリシャ神殿を模した装飾など、様々なスタイルが一つの建築に混在している場合があるそうです。川口にある旧田中家住宅にも、西洋風のデザインが多く用いられています。


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また、日本の和風住宅(町屋)を見るときのポイントとして、出桁造(だしげたづくり)と看板建築と呼ばれる様式についてお話を聴きました。どちらも関東圏で流行した建築様式で、当時のままの姿で現存しているものはとても貴重だそうです。

前川國男建築の特徴や日本近代建築鑑賞のポイントについて知ることができ、
建築を見るために街あるきしてみたくなるような講座となりました。
by atlia | 2013-09-11 13:01 | 鑑賞講座・実技講座
やさしい鑑賞講座「建築をみるために」開催のお知らせ①
少しずつ秋の空気になってきたこの頃。
9月のアトリアでは、一般の方に貸しギャラリーとして会場をお貸出ししています他、
やさしい鑑賞講座[建築をみるために]を開催いたします。
テーマを変えながら、全2回の開催。1回だけでも、お気軽に参加いただける当日受付
第1回目は、今週末の開催です!

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やさしい鑑賞講座[建築をみるために]
第1回 江戸東京×建築 -前川國男を中心に
9月8日(日)13:30~15:30

         13:00より受付開始

建築家:前川國男の作品は、東京や埼玉に数多く残されています。
身近に見られる例を中心に紹介いただきながら、近代建築を観賞するポイントをお話いただきます。

講師には江戸東京たてもの園から、学芸員の早川典子さんにきていただきます。
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                  江戸東京たてもの園にて公開中の前川國男邸

皆さまお誘い合わせのうえ、ぜひご来場ください。



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第2回は、こちら!
第2回 アート×建築 -空間をつくるということ
9月21日(土)13:30~15:30

         13:00より受付開始
講師:保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員)

詳しい情報はアトリアのホームページ、やさしい鑑賞講座のページでもご案内しています。




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by atlia | 2013-09-06 17:05 | 鑑賞講座・実技講座
鑑賞講座「篠原有司男を反芻する」vol.2開催しました
5月19日(日)、現在開催中の展覧会〈反芻 篠原有司男展〉関連イベントとして、鑑賞講座「篠原有司男を反芻する 第2回 日本の前衛-マンガ、ウキヨエ、チョウジューギガ」を開催しました。第1回に引き続き、日本美術史家・山下裕二さんを講師にお招きしました。
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もともとは古美術を専門としていた山下さん。その後前衛芸術に出会い、60~70年代の美術に関心を持ったことをきっかけに、篠原さんと交流するようになったそうです。赤瀬川原平の「千円札裁判」やベストセラーとなった岡本太郎の美術評論書「今日の芸術」など、篠原さんと接点のある芸術家についてお話してくださいました。


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また、雪舟や伊藤若冲などの画家、鳥獣戯画や百鬼夜行絵巻などと篠原さんの作品との共通点を、画像を見せながらお話してくださいました。「篠原さんは雪舟でもマンガでも、どんなジャンルのものでもフラットに見て、自分の中に取りこんでしまう」という言葉通り、今回の展示作品にも様々なモチーフが画面の中に取り込まれています。


最後に、山下さんが日本前衛芸術の原点と捉えている、つげ義春のマンガについて、初めてページをめくったときの感動を交えながらお話してくださいました。
講演を通して、日本の前衛芸術の一端に触れ、篠原さんの制作の根底にある様々な人物や作品について知ることができました。
ご来場の皆さまありがとうございました。


〈反芻 篠原有司男展〉も残すところあと1週間!魅力あふれる篠原さんの作品を、是非ご鑑賞ください。
by atlia | 2013-05-19 18:51 | 鑑賞講座・実技講座
鑑賞講座「篠原有司男を反芻する」開催しました
4月14日(日)、現在開催中の展覧会〈反芻 篠原有司男展〉関連イベントとして、
鑑賞講座「篠原有司男を反芻する 第1回 芸術×反芸術」を開催しました!

今回は出品作家・篠原有司男さんと日本美術史家・山下裕二さんをお招きし、対談形式で語って頂きました。

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「あえて打ち合わせはしなかった。その方が何が飛び出すか分からなくて面白い」と言ってトークを始めたお二人。
その言葉通り、篠原さんのニューヨーク生活や学生時代の思い出、過去の作品や活動、そしてネオダダイズム・オルガナイザーズ(ネオ・ダダ)や他のアーティストと繋がりなど、様々な方向へと話題が展開していきました。


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作品を実際に見せたり、ホワイトボードに絵を描いたりしながら、篠原さんのお話はどんどん進んでいきます。
今回の出品作品にも登場するカエルの写真やワンダーウーマンなどのアメリカンコミックも資料として提示。
山下さんも絶妙なあいづちと突っ込みを入れ、会場に笑いがあふれるシーンも。


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ロバート・ラウシェンバーグの作品のコピーとして有名な≪コカコーラ・プラン≫も、会場に持って来て下さいました。
「実際に組み立ててみてよ。」という山下さんの提案で、おもむろに電動ドライバーを取り出す篠原さん。目の前で手早くパーツを組み合わせます。手を動かしながらも話は絶えず、作品の背景にあるラウシェンバーグとのやりとりなども聞かせてくださいました。


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最後に、篠原さんと妻・乃り子さんのドキュメンタリー≪Cutie and the Boxer≫について、映画作成のいきさつや裏話を語ってくださいました。
この映画は、第29回サンダンス映画祭(アメリカ)にてドキュメンタリー部門の最優秀監督賞を受賞し、日本でも公開される予定だそう。


お二人の掛け合いに所々で笑いの渦が巻き起こる、楽しいトークとなりました。
対談を通して、アーティスト・篠原有司男の人がらや世界観に触れることが出来たのではないでしょうか。


次回の鑑賞講座は、「日本の前衛-マンガ・ウキヨエ・チョウジューギガ」というテーマで、山下さんに再びお話して頂きます。
こちらも、ぜひご参加くださいませ。

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平成25年度春の展覧会〈反芻 篠原有司男〉関連
やさしい美術鑑賞講座 「篠原有司男を反芻する」
「第2回 日本の前衛-マンガ・ウキヨエ・チョウジューギガ」
5月19日(日)15:30~17:30
講師:山下裕二(日本美術史家、明治学院大学教授)
定員:50名 当日先着順(開始1時間前より整理券を配布します)
参加費:300円(観覧料別途)
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by atlia | 2013-04-16 08:07 | 鑑賞講座・実技講座



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