ATLIA STAFF BLOG
カテゴリ:鑑賞講座・実技講座( 27 )
やさしい鑑賞講座[トークセッションPart.1 ともに歩む川口の木型と鋳物]を開催しました
去る10月24日(日)、秋の企画展〈川口の匠vol.5信頼をつなぐ〉に関連して、やさしい鑑賞講座[トークセッションPart.1 ともに歩む川口の木型と鋳物]を開催しました。
出演いただいたのは、本展の出品者である井上芳久さん、鋳物師の永瀬勇さん、そして科学技術ジャーナリストの赤池学さん。木型・鋳物とは何かという基本的なところから世界をリードする技術まで、出演者それぞれの専門分野から解説いただいたのち、これからの展望を話し合っていただきました。

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前半は一人ずつスライドを用いてプレゼンテーションを行います。トップバッターの赤池さんは、ご自身が研究しているユニバーサルデザインの視点から木型・鋳物の重要性を説きました。日本から世界へ広がったヒット商品として、センサー付きの家電やロボットなど日本から世界へ広がったヒット商品を紹介。新しいものをつくるにはパーツの部分から新しい発想を組み込まなければならず、様々な鋳造と木型づくりの技術がそれを形にしていると言います。
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これからのものづくりには人の「感性」に訴える力や「公益性」が求められると赤池さんは考察しています。使いやすさを考えて次の手に渡す木型や鋳物も、他者を思いやる愛情と結びついていると語りました。
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永瀬さんのお話は、川口の鋳物の歴史とご自身の手掛ける仕事について。東京オリンピックの聖火台が川口でつくられたことはよく知られていますが、技術は大きく発展し、永瀬さんの工場では電子部品やその製造装置を手掛けているそうです。部品自体はアジア諸国でつくられているけれど、基となる製造装置を鋳造できるのは日本だけ。
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精度の高い鋳物をつくるには優れた木型が必要です。高度な条件を満たす木型屋があって初めて他国の追随を許さない鋳造品を生み出すことができると永瀬さんは強調しました。

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出品者の井上さんは、経営者としての広い知見から日本全国または海外と比較しての川口の木型業の特徴を語りました。減少傾向にあるものの、川口市では百数十軒もの木型屋が操業しています。一方海外は大手メーカーの一部門に組み込まれているところが多いとのこと。川口は関連産業の鋳物や機械加工の工場も含めて世界でも例がないほど集積度が高いそうです。
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優れた技術をもつ鋳物屋と連携して、井上さんは自動車メーカーの試作部品を手掛けています。提携先との相談や資材の調達も即時にできる川口の奇跡的ともいえる環境をもっと強みとして意識していく必要があると語りました。


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休憩を挟んでトークは後半へ。三者で川口の木型と鋳物・ものづくりのこれからについて話し合います。永瀬さんからは現場で中核を担う技術者の採用難が問題点として挙げられました。コンピュータを多用するようになっても重要な判断を行うのは人であり、ものづくりへのこだわりや勘を持つ人間が品質を決めると言います。 
その論に井上さんも共感を示しました。若手社員全員に手仕事の基本的な技能を身につけさせていますが、目標となる国家試験の廃止や就労時間の減少などが懸念されると言います。市内の仲間と連携し、異なる業種や役所など様々な人を巻き込みながら創意工夫することが今後ますます大事だと次の世代へのエールを送りました。  
二人の話を受けて赤池さんは、コンピュータや機械では再現できないものづくりの本質について語りました。人に備わる多様な経験から創造力が生まれるのであり、テクノロジー以上に製品が生み出されるまでのプロセスやつくり手の人間的なエピソードを発信していくことが大切であると締め括りました。


今回の講座を通じて、日本のものづくりにおける川口の街と、技術とともに受け継がれた感性の重要さが改めて浮き彫りになりました。休憩時間と閉幕後には出演者に熱心に質問し、歓談する参加者の姿が見られました。現代の暮らしの中では見えにくくなっている地場産業を見直し、「キューポラのある街」以来の固定したイメージを新たにする機会となったのではないでしょうか。
by atlia | 2015-10-29 07:29 | 鑑賞講座・実技講座
やさしい鑑賞講座[浮世絵に描かれた日本の遊び]を開催しました
1月25日(日)、やさしい鑑賞講座[浮世絵に描かれた日本の遊び]を開催しました!

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今回の講師は国際浮世絵学会常任理事の新藤茂さん。
数多くある浮世絵の中から、遊戯や玩具について描かれている作品をご紹介いただきました。

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映し出されたのは、羽子板、福笑い、双六、かるた、凧あげが描かれた浮世絵の画像。開催中の企画展〈アートな年賀状展2015〉にあわせ、お正月らしい遊びが並びます。
ご紹介いただいた双六の一つ「宿下がり樂雙六」は、奉公人が里帰りしようとするまでの道中、花見や芝居小屋など様々な寄り道をするというストーリー仕立て。内容が大人向けになっていて、子どもだけでなく幅広い年代の人が双六を楽しんでいたことが分かります。

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その他、着替絵(着せ替え)、組上絵(紙を切って糊づけして組み立てる立体工作)もご紹介いただきました。
現代でも親しまれている遊びの原型が江戸時代からあり、その一つひとつが芸術作品としての完成度が高いことに驚かされます。

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講座の最後は、「十六むさし」という遊びを新藤さんと参加者が一緒に実践しました。
ルールはとてもシンプルですが、相手の心理を読みつつミスしないようにコマを進めるのはとても頭を使います。マス目とコマさえあればできるので、どこでも気軽に遊ぶことができそうです。

参加者は途中質問を投げかけながら、プロジェクターで映された作品画像を真剣に見つめていました。
身近な題材について描かれた浮世絵を見て実際に体験し、江戸の人々の豊かな暮らしぶりに思いを馳せることのできる講座となりました。

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by atlia | 2015-01-28 16:42 | 鑑賞講座・実技講座
たのしい鑑賞講座[版画表現入門「木口木版の世界」]を開催しました
12月14日(日)、12月21日(日)全2回のたのしい実技講座[版画表現入門「木口木版の世界」]を開催しました。参加したのは18歳以上一般の9名です。
講師は版画家の高松久子さん。木口木版の制作を中心に活動し、木口木版と紙版画を融合した表現も試みています。今回は木口木版に挑戦。10cmにも満たない小さな版木の中に世界を表現していきます。
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まず高松さんから木口木版についてのお話を伺います。木口木版は西洋で発展した版画技法で、細密な表現が可能であり、版木自体が硬くて丈夫であることから、書物の挿絵として使用されてきた歴史があります。板目木版とは材料の板の切り出し方が異なり、木を輪切りにした版木を使用します。「バームクーヘンのような状態です」という高松さんからの説明に、参加者も合点がいった様子。説明の後、高松さんの作品を鑑賞します。
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ため息が出るほど繊細で、物語の世界を垣間見るような作品に参加者はびっくり。モノクロの世界につい見惚れてしまいます。次に高松さんが版木の表面を磨く作業を見学。木とは思えないほどつるっと滑らかな感触に参加者も驚きの表情。
版木は虫食いや節などひとつひとつ異なったかたちを持っています。表現したいものに合わせて版木を選んだり、版木から表現したいものを決めたりします。みなさんはどのような版木で、どのようなものを表現するのでしょうか。
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制作はまず表現する題材を決め、下絵を描くことからはじまります。それぞれ写真や図鑑を参考にしながら下絵を描いていきます。版木が小さくて、細かいところまで表現できるので、下絵も悩みます。「下絵の段階でしっかり描きこむことが大事」と高松さんのアドバイスを受け、参加者はより細かく下絵を制作します。
下絵を版木に転写したら、いよいよ彫りの作業に。今回は彫刻刀の中でもビュランという変わった道具を使います。版木がとても硬いため、彫りだすということが難しい木口木版。版木にビュランやニードルなどとがった道具で傷をつけるように表現していきます。ビュランの扱いになかなか慣れない参加者たち。高松さんが適宜アドバイスをしていきます。
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掘り進んだら試し刷り。インクを版木に乗せて紙に写し取ります。版木が小さいためバレンの代わりにスプーンの背を利用してくるくると擦っていきます。非常に細かい彫り跡は目で確認するのは難しいため、試し刷りで進行状況を確認。どう彫れば刷った際にどんな線になるのかを参加者は実感した様子。ここで1日目の制作は終了。来週は制作を続けて完成させていきます。木口木版は特殊な道具は不要で、スプーンなど身の回りの道具で制作出来ます。尖ったもので版木を刺すことで点が表現できるので、参加者は版木を持ち帰り、目打ちなど思い思いの道具を使い、家で制作を続けました。
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2日目は、家で制作をした人を中心に試し刷りし、中間講評を実施しました。参加者の制作も順調なのか、1日目の最後の試し刷りの時より彫った部分が明確に表現できています。高松さんも完成に向けて細かい部分をアドバイス。それを元に参加者は制作を開始します。完成に向けて彫り、刷りを行います。
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ひとりひとり作業の進度が異なるため、高松さんは会場を回り様子を見ていきます。どこを彫り進めればよいか悩む参加者に対して、高松さんは声をかけます。「版画は一度彫ったら元には戻せません。進めるだけではなく途中何度も同じものを刷るのもとても大事なんです。」その声に参加者は進むだけでなく、たくさんの枚数を刷っておく大切さに気付きます。制作していると熱中して気付かなかったことを高松さんが優しく教えてくださいます。
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「刷っただけでは実は完成ではないのです」と高松さん。「台紙に貼って、タイトルやサイン、エディションを書き込んで完成になります」というお話の後に実際に台紙に作品を貼り付ける貼りこみという作業を実演していただきました。刷った版画を版木の形にくり抜いて、台紙にのりで貼り付けていきます。「額に入れる前の段階を想像していただけると分かりやすいです」とお話しながら、高松さんは手際よく貼り付けていきます。貼りこみの後にタイトルやエディションのお話しを伺いました。版画はひとつの版木から何枚も刷れるので、何枚刷ったうちの何枚目ということをエディションという形で記載します。これで作品の完成です。
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みなさんの作品を囲んで、作品や制作についての感想を発表します。タイトルやモチーフに込めた想いを話してもらいます。木口木版はみなさん初めてで、苦労した点もありましたがとても充実した時間を過ごせたようでした。
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作品は高松さんが張り込みを行い参加者に返却します。
どのような仕上がりになるのでしょうか、お楽しみに!
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by atlia | 2014-12-25 14:15 | 鑑賞講座・実技講座
やさしい鑑賞講座[根付と粋の文化/掌中に宇宙を創造する]を開催しました
 去る11月16日(日)、秋の企画展〈川口の匠vol.4麗のとき〉関連として、やさしい鑑賞講座[根付と粋の文化/掌中に宇宙を創造する]を開催しました。
 講師は本展出品者のひとり、現代根付師の齋藤美洲さん。江戸時代から伝わる根付の伝統技術を受け継ぎながら新しい表現に精力的に取り組み、その精緻な技術と動的な表現により、世界的にも「BISHU」の名で知られています。
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 やさしい鑑賞講座の導入として、まずは「根付とは何か」という基本的なところからお話しくださいました。根付の起源は燧石(ひうちいし)など旅の必需品を入れて腰に提げる袋、いわゆる「提げ物(さげもの)」と深く関わっているそうです。着物の帯に提げ物を固定して便利に持ち運ぶための留め具として生み出され、江戸時代に武家は印籠、庶民は煙草入れなどを提げる習慣ができてからは、その意匠に合わせて凝った根付がつくられるようになったのだとか。当時の人々のお洒落と身だしなみとともに発展していったのですね。

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 その粋の文化を、古典根付の名品に見ることができます。故事を題材にした根付からは当時の日本人の教養の高さが伺え、使い込まれて表面が磨り減った獅子にはそれを計算に入れての着色と彫りが施されており、ものへの愛着や変化を美しさと捉える感性が表れています。
 歌舞伎などの流行りものをドラマティックに表現した根付もあれば、省略の美を感じさせる、非常にシンプルな形をもつ動物の根付も。美洲さんイチ押しは懐玉斎(かいぎょくさい)という名工が手がけた兎の根付で、ほぼ楕円形の塊の中に絶妙に抑えた動きがあり、その量感と柔らかな曲面から生き物の温もりや息づかいまでもが感じられるようです。

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 人々の暮らしに寄り添い、時代の流れや価値観を映し出す根付。実際にはどのように愛用されたのでしょうか。美洲さんに多くの作品を依頼し収集している愛好家のひとりにスポットを当て、使い方の妙を見てみます。根付は、提げ物とその口を締める緒締(おじめ)との三つを組み合わせて使うのが基本で、郷土の詩を題材にイメージを膨らませた組み合わせ、仕事の赴任先で手に入れた素材をもとに、依頼者自身の思い出を表した組み合わせなどが紹介されました。
 依頼者から出されたお題を美洲さんが豊かに肉付けして根付に表し、更にそれに見合った組み合わせを依頼者が発想して揃える。根付の制作依頼を通じて作り手と問答し、人生の欠片のように集めたコレクションを通じて愛好家同士の親交を深めているのだとか。根付そのものだけでなく、楽しみ方も奥が深いですね。

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 休憩を挟んだあとは、展示室にもある美洲さんの作品を紹介。1971年に始まり根付界のエポックとなった「現代根付運動」や、制作の重要なテーマとなっている「温故知新」「制約の中の自由」「掌中に宇宙を創造する」について解説していただきました。身に着けて愛用する根付本来の価値と美しさを捉えながら、いかに自由な表現を実現し得るか。小さな根付の中に大きな世界を包括していく美洲さんの挑戦は続きます。

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 最後はお待ちかね、美洲さんの作品を手に取り「掌中の宇宙」を感じ取る時間です。この日のために特別に用意された作品の前に集まる参加者たち。まるで宝石を扱うかのように慎重な手つきでためつすがめつ、全方位に行き届いた匠の技と表現に感嘆の溜め息がもれます。別の作品へと移動してからお気に入りの作品の前に戻ってくる参加者も。作品の感想や質問を交えて作者と歓談する有意義な時間となりました。

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 展覧会の会期最終日だったこの日。講座を通じて、展示だけでは紹介し得なかった根付の歴史文化とそれに携わる美洲さんの見識の深さ、掌に気持ちよく馴染む作品の本質的な美しさを実感していただくことができました。この体験をもって、閉館間際まで熱心に展示をご覧になる参加者多数。これからも地域に息づくものづくりの文化とその魅力を様々な手法で伝えていきたいと思います。


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秋の企画展〈川口の匠vol.4麗のとき〉会期は終了しましたが、館内およびホームページにて図録を販売中。約半年間の取材をもとに、匠たちの技や精神、ものづくりとともに刻まれる豊かな時間について詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
by atlia | 2014-11-21 15:25 | 鑑賞講座・実技講座
やさしい鑑賞講座[画筆から生まれる美/筆の制作実演]を開催しました
11月9日(日)、開催中の展覧会〈川口の匠vol.4麗のとき〉関連として、やさしい鑑賞講座[画筆から生まれる美/筆の制作実演]を開催しました。

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講師は大阪国際大学准教授・財団法人筆の里振興事業団特別研究員の村田隆志さん。ご専門は、絵を描くための「画筆」の歴史とその書画表現への影響、近代南画史など。趣味として水墨画も描いていらっしゃるそうで、研究者の視点だけでなく描き手の視点も含めた研究をされています。

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村田さんはスライドで例をあげながら、画筆が現在のような形になるまでのいきさつをお話しくださいました。
江戸時代頃までは、竹の先を細かく裂いてつくった筆や、穂の芯毛に和紙を巻きつけた「紙巻筆」が普及していたそうです。その後、制作技術が向上し優れた筆師や牽引者が出現したことによって、私たちがよく見かける穂と軸で構成された「水筆」が「紙巻筆」に取って代わったのだとか。また、牧畜が発達し材料として得られる毛の種類が増えたことで、用途に合わせた多種類の画筆が生み出され、今日の日本画・水墨画の多様な表現を支えているのだそうです。

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日本画・水墨画を描いたことのない方にとっては、画筆の違いといってもピンとこないかもしれません。そこで村田さんは、出品者の関芳次さんが制作した画筆で紅葉や筍などを即興で描きながら、その使い心地の良さを解説してくださいました。
延々と続く細長い線や曲がりくねった線、毛先をボサボサにしたまま描く線など、書筆と比べ穂先の稼働域が大きい画筆。墨をたっぷりと保ちながら手の動きに素直に付き従ってくれる関さんの筆は、使えば使うほどその質の高さに驚かされるそうです。

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講座の後半は、関さんが筆の制作を実演してくださいました。
机の上に並べられた数多くの道具や毛束。関さんがそれらを順番に手に取り、1本の筆ができるまでの流れに沿って作業が進んでいく様子を見ると、筆の形状はシンプルであるにも関わらず多くの行程が必要であるということに驚かされます。
「手間をかければかけるほど良い筆になります。関さんの筆は本当に描き心地が良く、丁寧につくられていることが伝わってきます。」と村田さん。
日本画家や人形師との直のやりとりによって技を高めてきた関さんだからこそ、描き手の意図を汲み取った筆づくりができるのですね。

一本の筆に込められた匠の精神性と、そこから生まれる豊かな表現を知ることのできる講座となりました。

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次回のやさしい鑑賞講座[根付と粋の文化/掌中に宇宙を創造する]は11月16日。出品者で根付師の齋藤美洲さんを講師にお招きし、根付に見る日本独自の価値感やご自身の制作に対する思いについてお話しいただきます。また、講座の最後には実際に根付に触れることができる機会も設けます。

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根付と粋の文化/掌中に宇宙を創造する
日時:11月16日(日) 14:00~16:00
参加者:一般50名
参加費:300円
案内:齋藤美洲(本展出品者)
応募締切:当日先着順(当日13:30より受付)
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たくさんのみなさまのご参加をお待ちしております。
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by atlia | 2014-11-12 09:56 | 鑑賞講座・実技講座
たのしい実技講座[和竿師に学ぶ竹釣竿づくり]

9月6日(土)、7日(日)、13日(土)、14日(日)で、たのしい実技講座[和竿師に学ぶ竹釣竿づくり]を開催しました。
講師は和竿師の山野正幸さん。江戸時代から続く川口市の伝統産業である竹釣竿を、山野さんから手順やポイントを学びながら、4日間で制作しました。
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今回つくるのは、長さ6尺(約180cm)の2本並継ぎの竹釣竿です。つくった竹釣竿は、実際に海の船釣りで使用することができます。

1日目(9月6日)最初の作業は節みがきです。表面の汚れやデコボコをヤスリ磨きます。こうすることで、後ほど塗る漆の乗りが良くなります。
次に、竹釣竿づくりの肝となるすげ口づくり(差し込み口のメス部分)です。形が歪だと、負荷がかかって壊れやすくなるため、形をきれい丸く整えます。竹の断面はきれいな丸ではなく、Dの形をしているので、さびという小さな竹でへこんでいるところを整えます。
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次に糸巻きです。筒の中を削るため、薄くなるところを補強するための作業です。すげ口の二か所に糸を巻きます。糸が重ならないように、かつ間が空かないように巻くのがこの作業の難しいところ。うまく巻けず、苦戦している参加者が多く見られました。
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2日目(9月7日)の作業はすげ込みづくり(差し込み口のオスの部分)からです。折れの原因となるので、段差なく均等に仕上げます。
次に仮継ぎを行います。すげ口を削り、仮に継いで様子を見ます。栁葉キリという道具で、山野さんが行いました。継ぎ方にもルールがあります。竹の芽(枝が生えていたところ)を互い違いにするように継ぐのです。竹が生えている本来の姿のように継ぐことにより、自然なしなりが生まれてくるのです。

実際に継いでみると、一気に釣竿らしくなってきました。
次に中矯めです。矯め木を使い、竹をくるくる温めながら竹をまっすぐにしていきます。竹の太さに合わせて、矯め木も変えるそうです。
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竹をじっくり見ながら、細かな曲がりをまっすぐに直していきます。
2日目最後の作業は漆塗りです。竿全体に刷毛で漆を塗ります。黄土色だった竹が漆により艶やかな薄茶色なりました。漆を塗ることで見た目を美しくすることと共に、竹を保護できるのです。
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3日目(9月13日)も細かい作業です。まずはガイド付け。穂先から付けていきますが、どこに付けても良いわけではありません。芽を横にした位置で、その上にガイドがくるように糸で付けます。ガイドは小さいものは3mmくらいの小ささ!振動で付けたガイドが落ちてしまうこともあるので、しっかり固定します。
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とても細かい作業ですが、1日目の糸巻きで慣れてたのでしょうか、皆さんするすると巻いていました。
次にリールシート付け。シートは手元の下から握りこぶし3つ分上のところに付けます。
次に尻手ロープ付け。船からの竿の落下防止用のロープを、手元の下から握りこぶし1つ分のところに付けます。

最終日の4日目(9月14日)は、いよいよ仕上げの作業です。まずは山野さんが行う上矯め。コンロで温めながら、矯め木で竹をまっすぐに仕上げます。
次に、収納する時にすげ口を保護するための口栓(キャップ)をつくります。
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そして最後の作業、ガイド、シート、尻手ロープ、竿底に漆塗りです。通常は糸を巻いたところを補強するために塗りますが、参加者は自分の思い思いに塗っていました。それぞれの個性が一番出る作業でした。
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今回の実技講座の醍醐味は、つくることと使うこと、2つの楽しみ方があることです。自分でつくった釣竿で釣った魚の味は格別でしょう。今回の講座をきっかけに、伝統産業を身近に感じていただけたら幸いです。
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by atlia | 2014-09-15 11:36 | 鑑賞講座・実技講座
実技講座[和竿師に学ぶ竹釣竿づくり]参加者追加募集!
実技講座[和竿師に学ぶ竹釣竿づくり]追加募集を行います。

江戸時代から続く川口の伝統的な産業である「竹釣竿づくり」に挑戦します。和竿師から手順やポイントを学びながら、実際に海の船釣りで使用できる竹釣竿を制作します。釣りの初心者や和竿に初めて触れる方でも気軽に参加できる実技講座です。
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たくさんのみなさまのご応募、お待ちしております!

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実技講座[和竿師に学ぶ竹釣竿づくり]

日時 9月6日(土)、7日(日)、13日(土)、14日(日) 全4回 各回13:00~17:00
定員 15名(18歳以上、全日程に出席できる方)
講師 山野正幸(和竿師)
参加費 5,000円(材料費込)
申込締切日 9月4日(木)
申込はお電話(048-253-0222)または窓口にて直接受付いたします。

http://www.atlia.jp/ws_lecture/

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by atlia | 2014-08-21 16:38 | 鑑賞講座・実技講座
やさしい鑑賞講座「ゴッホ、印象派を超えて」を開催しました!
5月31日(土)、やさしい鑑賞講座[西洋近代美術絵画編「ゴッホ、印象派を超えて」]を開催しました!
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今回の講師は画家・絵画研究家であり、愛知県立芸術大学名誉教授である小林英樹さん。
数々の名画を残したフィンセント・ファン・ゴッホの特に造形について、お話しいただきました。

まずは、ゴッホの製作がはじまる流れをふり返るところからです。ゴッホは故郷、オランダで絵を描き始めました。当時のゴッホの絵画はモノトーンが大半で、貧しい人々、厳しい自然をありのまま描くことで、「上辺」の美しさではなく、内側から滲み出てくる真実を描きたかったのです。
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後にゴッホはパリへ移り住みますが、そこでは印象派が流行していました。明るい色彩が特徴の絵画ですが、ゴッホにとっては上辺の美しさでしかないと感じられ、受け入れられるものではありませんでした。

しかしゴッホは、印象派の絵画を描けなければ新しい絵画を描くことができないと気付き、自分でアレンジして習得しようと試みました。その結果、色彩は明るくなりましたが、今まで培ってきた多くのものを封じ込めてしまうことになりました。
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また、ゴッホの絵画は浮世絵から多くの影響を受けたといいます。パリからアルルへ移り住んだ頃、南仏の鮮やかな色彩・浮世絵の平面的な表現が融合し、多くの名画が誕生したのです。
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ゴッホの代表作である《14輪の向日葵》(1888年夏、ロンドン・ナショナルギャラリー)は、花瓶が縁どられています。今までの西洋の絵画では描かれてこなかったものです。また、ひまわりの花の影も描かれていません。これは、浮世絵の影響を受けた結果なのです。

参加者はプロジェクターで映された作品画像などを真剣に見つめ、お話に聞き入っていました。ゴッホのあまり知られていない絵画も紹介され、新たな魅力を発見できる講座になりました。
by atlia | 2014-06-04 17:38 | 鑑賞講座・実技講座
たのしい実技講座[墨と水で描く]を実施しました。
3月30日(日)には春の企画展関連講座として、たのしい実技講座[墨と水で描く]を実施しました。
前日のワークショップに引き続き、講師は日本画家の新恵美佐子さん。
新恵さんのはつらつとした指導のもと、既成概念に捉われることのない自由で伸び伸びとした水墨画の表現に取り組みました。
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まずはデモンストレーション。
モチーフを「面」で捉える意識を持つこと、また濃墨・薄墨・その中間の墨という3種の特徴を活かしながら描くことを教わりました。
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用意した宣紙(せんし)という紙はにじみ止めの加工がされておらず、墨の伸びやかな表情が楽しめるのが特徴。
また、固形の墨は描く直前に摺ることで、水分に導かれて煤の粒子が紙に浸透していく動きを活発にし、これが滲みを豊かな表情にしていくとのこと。
この宣紙(せんし)と摺りたての墨(今回は油煙墨(ゆえんぼく)という黒色に光沢と深味があるものを使用)によって、美しい滲みが生まれることなども詳しく解説頂きました。
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さあ、いざ実践! モチーフを見つめ、面を捉えて、濃淡を使い分けていきます。
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参加者の皆さんの表情は真剣そのもので、椅子から立ち上がって描く方も多くいらっしゃいました。
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スタッフが事前に摺っていた墨も紙も裏打ち用の糊も途中で追加となるほどで、皆さんの意欲あふれる姿に講師の新恵さんもとても喜んでいらっしゃいました。
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最後は裏打ちの加工を施し、完成した一つの作品として楽しめるようにしました。
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どの参加者の方も蟹・野菜・魚・鳥など様々なモチーフに挑戦し、何枚もの作品をダイナミックに描いていただき充実した講座となりました。
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ご参加いただいた皆様、ありがとうございました!
今後も様々な内容でワークショップ・講座を実施していきたいと思います。ご期待ください。
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by atlia | 2014-04-04 09:35 | 鑑賞講座・実技講座
実技講座「布表紙でつくる上製本ノート」を開催しました
1月26日(日)、たのしい実技講座「布表紙でつくる上製本ノート」を開催しました。
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講師は上島明子さん(美篶堂)。「美篶堂」は長野県伊那市に工場を、東京(神保町)にショップを構えている手製本会社で、手製本をはじめ本づくりの魅力を分かりやすく丁寧に伝える活動もしています。
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今回つくるのは、布表紙の角背ハードカバー(二つ折、天糊無線綴じ)のノート。
表紙カバーには、埼玉の伝統織物「双子織」を使いました。縞模様が特徴的なこの生地は、蕨で開発された後川口へも広がり明治末期には需要の拡大に合わせて多くの反物がつくられたと言われています。
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先ずは布の裏打ち作業。布を厚く丈夫にするため布の裏側に糊で和紙を付けていきます。次はノートの中面になる紙を折り、背面に糊を付けてプレスする作業。今回は無線綴じなので中面の紙が外れたりしないよう、背面を揃えてしっかりと糊を付けていきます。
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製本の作業は、糊や水の乾き具合も出来上がりに関係するため、丁寧かつ素早く進めていくのがポイントです。
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参加者も講師の実演をしっかりと目に焼きつけていきます。中には、手順やポイントなどをメモしながら学んでいる熱心な方も。
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最後に、裏打ちした布表紙をしっかり貼り込み、1日プレスしたら完成です。
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完成したノートからは、なんとも言えないあたたかさと愛おしさを感じ、手製本の魅力を改めて体感することができた講座でした。
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by atlia | 2014-01-29 17:54 | 鑑賞講座・実技講座



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