制作を始める前に今西さんから日本画の絵具について解説を受けました。日本で古くから使われている「岩絵具(いわえのぐ)」は孔雀石(くじゃくいし:マライカイト)や藍銅鉱(らんどうこう:アズライト)などの言わば宝石を原料にしたもの。各地の土を精製してつくられていた「水干絵具(すいひえのぐ)」は後に色鮮やかなものが開発されたそうで、これらに動物の皮や骨からとった「膠(にかわ)」を接着剤として加え、練り混ぜてから水で溶いてようやく1色が使えます。棒状に固められた「三千本膠(さんぜんぼんにかわ)」は残念ながら職人が少なくなり、材料全ての貴重さが増しているのだとか。
使う絵具の1つ1つを画家の手で調合する日本画の制作には非常に手間と時間がかかりますが、今回主に使う「顔彩(がんさい)」は、湿らせた筆で表面を撫でれば使える固形絵具。色を濁らせることなく仕上げるには描きたい絵の全体をイメージして薄い色から順に塗っていくこと、太いものから細いものまで筆をうまく使い分けるコツなどが寺澤さんより伝えられました。
描くための基礎知識を得たところで作品の下絵に取り掛かります。参加者各自が用意してきた図案は身の回りの草花をスケッチしたものから動物図鑑のページまで様々。色紙への描き写し方、より良い構図のとり方などについて三澤さんや津久井さんにアドバイスを受け、鉛筆で輪郭線を描いていきました。
そして最後に全員の作品を並べて鑑賞会。津久井さんが1人1人の作品に見られる良さや工夫についてコメントし、その成果を称える拍手が上がりました。参加者からは
「日本画はよく観に行きますが描くのは初めてでとても難しかったです。」
「奥深さと難しさ、楽しさを学ぶことができました。」
日本画ウィーク第一弾:日本画ウィーク第一弾:やさしい鑑賞講座[日本画をみる‐明治~昭和を中心に]を開催しました