連載「ここにも通信」もひきつづき更新中。
アーティストや出品作について企画スタッフ目線でご紹介しています。
今回はグリーンセンター会場で展示中の堀口泰代さんの作品《浮遊する頭部》。
タイトルからして「おや?」と思わせるインスタレーションです。
本作は展示空間内にいくつかの要素が散らばっています。
写真が何枚か、立体物がいくつか。
白いドレスを着た女性と思わしき人物の頭が、飛行船になっています。
これにはシャンデリアが写り込んで見えるのも面白いですね。
先ほどは「人物の頭が、飛行船になっています」と、さらっと申し上げてしまいましたが、これはおかしな事態!
タイトル通り、「浮遊する頭部」を持っている人物(と言って良いのか?)、ということになります。
しかし、もちろん、頭が勝手に浮かんで飛んでいってしまうはずはありません。
堀口さんは、身体性のある作品を制作しつづけているアーティスト。その身体性を基軸に、矛盾する「夢」のようなものを造形しています。
例えば、空が飛べたら良いな、とか。小さい頃は誰でも少しは考えた、かもしれないこと。
今思えば、出来るはずもないのに、とくすっと笑ってしまうようなこと。
くすっと笑ってしまう、という意味では、こういう立体物も。
サロンで目立ちたいあまり、あるいは誰もやったことのないファッションをしたいあまりに、おしゃれな髪形として船をアクセサリーとして髪に飾った、というお話、聞いたことがありますか(本当は嘘かはわかりませんが)?
本人は一生懸命に考えて真面目にやったことかもしれませんが、周囲から見たらびっくり仰天だったことでしょう。後世の私たちは、そこまでやらなくても、と苦笑するほかありません。
本作では、きれいにまとめられて見える作風の中に、そういった異質なものを共存させています。
「おかしさ」には、「変だな?」ももちろんですが「ちょっと面白いね」も含まれています。
「おや?」が「ちょっと面白いね」にすぐにつながるのは、もしかしたら私たちの「身体」が基準になっているからかもしれません。
身近なものだからこそ、そこにある「おや?」にすぐに気付き、自分の距離で考えることができるのでしょう。
グリーンセンター「シャトー赤柴」は、結婚式等でもつかわれる場所。
そこにドレスやカツラといったキーワードで近づきながらも、「異質さ」を投げかけています。
部屋のあちこちにこっそり点在する、「おかしさ」に、気付いてください。
グリーンセンターへの詳しいアクセス方法は過去の記事で紹介しています!そちらもぜひご覧くださいませ。
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平成28年春の企画展/開館10周年記念事業
〈ここにもアート かわぐち〉
アトリアから作品が飛び出した!ここにも、そこにも、どこでも、アート!
今まさに発展を遂げているまち:川口で、みずみずしい感性のアーティストたちの表現があふれ出す!油絵・日本画・彫刻はもちろん様々な作品を市内の施設でご覧いただけます。
開催期間:2016年3月19日(土)~5月14日(土)
展示会場:川口市立アートギャラリー・アトリア、川口駅前複合施設キュポ・ラ内各所、川口市立グリーンセンター
観覧可能時間:施設によって異なりますので、下記施設のホームページへのリンクをご参照ください。
出品アーティスト:片庭珠実、角野泰範、馬場知子、山本智之、青木邦眞、高野浩子、佐藤裕一郎、杉田 龍、小林美樹、八田真太郎、後藤雅樹、羽山まり子、青木聖吾、遠藤研二、大和由佳、對木裕里、堀口泰代
展示会場リンク
施設名をクリックすると該当の施設のホームページへリンクします。
開館時間やアクセス情報をお確かめの上、ご来場ください。
川口市立アートギャラリー・アトリア
川口市立映像・情報メディアセンター メディアセブン(キュポ・ラ7階)
かわぐち市民パートナーステーション(キュポ・ラM4階)
川口駅前行政センター(キュポ・ラ4階)
川口市立グリーンセンター