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ATLIA STAFF BLOG
22年度春展 作家インタビュー
こんにちは、S.Y.です。私は現在、来春のアトリアの独自企画展の準備まっただ中です。
この展覧会では、じっくり見つめて絵画作品を生み出している3名の作家、野田弘志さん、諏訪敦さん、大野廣子さんを取り上げます。

その名も「見つめる」展! 現代の魅力的な写実絵画を見ていただく展覧会です。

今年も作家さんの人となりや作品に対する思いなどを紹介するハンドカタログを作ります。先週はそのためのインタビューを行いました。

大野廣子さんは、現在ニューヨークにお住まいですが、日本でのお仕事にあわせて帰国されたほんの少しのあいまのお時間をいただきました。場所は都内の某倉庫会社にて。展示候補の作品も部屋に並べていただき、その作品に囲まれてのインタビューとなりました。
大野さんは日本画の技法を用いていますが、日本画としてはとても珍しく、屋外に画材を持ち出す制作スタイルで、木々や星などをじっくり見つめながら描くことを大事にしておられます。
作品からは、自然界の生の生命力のうごめきのようなものが感じられ、とても魅了されました。
お人柄は非常に闊達でおおらか。地球を舞台にしていると言ってもよいほど、世界の各地を旅して作品制作をしていらっしゃいます。
時代を切り開いてきた過去の芸術家への心からの敬意を払いながらも、自然をじっくり見て描くことでさらに新たな発想が生まれると信じながら、自らの作品制作を続けていると話しておられました。

野田弘志さんのインタビューでは、北海道へ向かいました。雨の中、千歳空港から車で洞爺湖ゴルフ場のさらに山へ向けて走った先に、ご自宅兼アトリアがありました。
まずアトリエに通していただきましたが、このアトリエたるやびっくりもので、内部を真っ白に塗り固めた暗箱になっており、約200本ほどの蛍光灯が描く対象物を左右から照らし出すように仕立てられていました。野田さんの時間のかかる緻密な写実作品は、このような聖域とも言える場所から生まれるのかと、心が震えました。
野田さんの作品のモチーフとして用いられる様々な動物の骨が飾られていましたが、とりわけオオジカの頭蓋骨が美しく、アトリエを見せていただいただけでも、川口から来たかいがあったと思いました。
野田さんのお人柄は、とても穏やかでお優しいのですが、制作についてのお話の一言一言にたぎるような情熱を感じました。

諏訪敦さんには、ご自宅近くの喫茶店でお会いしました。
ちょうど北海道からの帰りに室蘭に寄ったことを話したところ、室蘭は諏訪さんの故郷ということで、話が大変盛り上がりました。
諏訪さんは、人物を緻密に描きながらその内面性やバックグラウンドなどを喚起させる作品や、日本人のステレオタイプと考えられる要素を過剰なまでに描きこむことで、逆に現実とのずれを描き出すシリーズなどを発表されてきました。これからの現代日本の美術シーンをけん引する作家の一人といっても過言ではないでしょう。
今回のアトリアでの展示では、ご自身で作品選定と構成もされ、また、新作も発表するということで大変気持ちを入れて臨んでくださっています。どんな展示になるのか!? どうぞご期待ください。

インタビューの詳細は、「見つめる展」のハンドカタログに掲載します。展覧会で販売予定です。お楽しみに!
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↑大野廣子さんと私たち。大野さんの作品に囲まれながら。
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by atlia | 2009-11-19 20:03